表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/146

別にどうでもいいんですけど

 言いたいことはもっとありましたが、安曇先輩が口を酸っぱくして注意していたので、ぐっとこらえました。ああ、私は一体何をしているんでしょうか。


 私的には別に先輩が心配だったとかそういう訳じゃなくて、安曇先輩に頼まれたから、こうして仕方なく先輩の相手をしているだけなんですけど、どうにも胸のムカムカが抑えられないです。


 そもそもの話ですよ? 橘先輩が外国? というかヨーロッパの国(名前忘れた)に行ったっていう一報からして、?だったし、それで私や山本先輩どころか、花丸先輩ですら何も知らなかったって事態に、?……!?って感じですし、そんでもって花丸先輩が、借りてきた猫どころか枯れた猫じゃらしくらいに、大人しくなってるっていうのを聞いて、お、おうって感想しか口から出てこなかったですよね。


 いやほんと橘先輩何考えてるんですか?


 さすがの私も先輩を励ますために突撃することはできなかったんで、しばらく様子を見ることにしたんですけど、安曇先輩から連絡が来て

「心配だから面倒見てあげてくれないかな」

 ってお願いされちゃったわけなんですよ。


 まさかこの年でもう先輩の介護をすることになるとは思いませんでした。


 初手が喫茶店デートというのは踏み込みすぎたかなぁと不安だったんですけど、先輩もひょいひょいついてきました。他の女の人にもこうやってついていくんじゃないかと心配です。あ別に嫉妬とかそういうんじゃなくて、詐欺とかの犯罪に巻き込まれやしないか心配って意味ですから。あとこれデートじゃないですし。


 周りから見ればまるで先輩に好意を持っているふうに思えるのがすごく嫌です。別にそう言うんじゃないですから。


 それをこの人は知ってか知らずか

「俺とお前が付き合ったらこんな感じなのだろうか」と(おん)ほざきなさったわけです。


 全くふざけてますね。よくもまあそんなセリフをしゃあしゃあと言えたものです。

 この人はどうでもいい相手に対してはこういうことを簡単に言っちゃう人なんです。


 ほんと親切心で付き合ってる私が馬鹿みたいじゃないですか。

 泣きそうな顔して私に頼む安曇先輩が可哀想じゃないですか。


 私のこと好きになってから一昨日来やがって欲しいです。


 心配して損したというか、案外平気みたいじゃないですか。流石に百パー元気というわけでもなかったですけど、元々暗めの人ですよね。


 まあそれでも先輩が安曇先輩に対して冷たい態度をとっていたのは気づいていたんで、安曇先輩が落ち込んでいるのを見て、私もなんとかしないとなあと思っていたんです。

 だからその後もいろいろと趣向を凝らして、先輩にカンフル剤を打ってきたんですけど、効果は見ての通り。私もちょっと参ってきました。好意はないにしても、男の人に断られると流石にちょっと傷つくんですよね。

 後夜祭に誘って断られたときとか、なんか私が振られたみたいになって、超恥ずかしかったですし。だからやりたくなかったんですよ。安曇先輩の誘いに乗らなかった人が、私が誘ったところで来ると思えなかったですし。

 

 今日の映画はそれのリベンジというわけでもありませんけど、多少強引じゃないと先輩は言うこと聞かないっていう教訓を活かせたので、一矢報いれたようで気分は良かったです。安曇先輩に足りないのはその強引さだと思うんですよね。


 それにしても安曇先輩はこれで本当に良かったんですかね。安曇先輩にできない事が私にできるとは思えませんし、私がなにかしたところでどうにかなる先輩でもないですし。……それに今日会ったとき、若干寂しそうな顔していましたし。


 そもそも、目の前で超カワイイ女の子が明らかに好意を向けているのに、何もしない先輩がおかしいんですけどね。あ、私のことじゃないですよ。安曇先輩の話です。


 というか安曇先輩も、橘先輩が完全に放棄したお膳なんですから、早く食っちゃえばいいと思うんですけど、私は。据え膳食うのが男なら、隣の膳まで喰らうのが乙女ですよね。


 そもそも橘先輩みたいな女の人が、この平凡の域を出ない……いや確かに普通ではないんですけど、正規分布的には下から九十パーセントの範囲に入るような人? とお近づきになる方がおかしいんですよ。だって橘先輩って、日本経済を牛耳る家のお嬢様ですからね!?


 先輩みたいに、拭いきれない庶民感をまとわせている人には、同等に庶民的な人がふさわしいと思うんです。私みたいな。


 あ、別に私が先輩と付き合いたいとかそう意味じゃないですよ。例として出しただけで。


 先輩と付き合うとか超絶無理だし、生理的に無理ですから。だって先輩の子供とか絶対捻くれてるじゃないですか。育児するの超面倒そうなんで、先輩とお付き合いするのは無理です。大体私まだ男の人は基本的に嫌いですし。


 というわけで、基本的にはどうでもいいんですけど、あんまりじれったいとどうなるか分かりませんよ。


 あ、別に私が行くって意味じゃないですよ。むしろお前が来い、的な感じなんで。そうじゃなくて、どっかの女狐に取られちゃうかもですよって話です。

 まあ、先輩のこと好きになる女の人なんてそうそう現れないとは思いますけど。


 とにかく、くっつくなら早くくっついてほしいです。


 ああ、なんかむかついたせいで、甘いものを食べたくなってきました。帰りにコンビニでおやつを買うことにします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作者の他の作品 詳細 ※画像クリックで作品ページに飛べます
幼馴染に「今更遅い」とざまぁされたツンデレ美少女があまりに不憫だったので、鈍感最低主人公に代わって俺が全力で攻略したいと思います!
花丸くんたちが3年生になったときにおきたお話☟
twitter.png

「ひまわりの花束~ツンツンした同級生たちの代わりに優しい先輩に甘やかされたい~」
本作から十年後の神宮高校を舞台にした話

81frnnd0os468uffu9638gfbtb_ah0_iw_9x_wbg.jpg
― 新着の感想 ―
[良い点] モノローグにキャラたちの切ない気持ちや作者の皮肉がよく込められていて、その世界観に引き込まれる。 [気になる点] 続き見たいです。 [一言] 久しぶりの更新うれしいです。 どのように完結し…
[良い点] 本当にこの物語はどこに進んで行くのか? 興味が尽きませんが、まだ暫くこの展開がじわじわ続くのは厳しいですね。
[一言] 更新の頻度があがってきて、嬉しいです。 この後輩も、ツンデレですが、よい子ですね。 主人公、これからどうやって立ち直るのでしょう。個人的には、ハンガリーの大学の医学部進学かなあと。報道によ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ