2話
稚拙な文章ですが読んでくださって嬉しいです!
「おっはようございまーす!」
「未花ちゃんおはよう。気をつけるのよ〜。」
「了解です!」
今日は特別な日だ。
なんて言ったって、昨日の埋め合わせをするために頼仁くんにサッカーを教える、もといデートする日である。あまりにも楽しみすぎて、思わず口調も足取りも軽くなってしまう。
ただ今、午前8時。
約束の時間は10時である、が、駅前の新しくできたカフェで軽く朝食をとってから、昨日の公園でサッカーをすることになっていた。ちなみに、駅までは歩いて20分ほどなのだが、私の場合はお人好しを発動しまくるために、大体2時間はかかるため、早めに家を出る。そして今日も道行くおばあさんを___以下略。
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もうすでに時刻は9時50分、ギリギリである。
やっと駅に渡るための信号までくることができた。
頼仁くんはもう着いているかもしれない。
そんな時、30メートルほどの横断信号の反対の方からこちらに向かって笑顔で走ってくる頼仁くんを見つけた。
わざわざ迎えにきてくれたらしい。
「未花お姉ちゃん!おはよう〜!!」
「…ガッデム。」
あまりの無邪気さに悶えてしまう。とっさに鼻を抑えた。これは鼻血もんである。
_あの屈託のない笑顔、人目を気にせず私の名前を呼びながら、大きく振る手。少し汗ばんだスポーツTシャツ。
尊い。全てが尊い。
これだからショタコンはやめられないのだ。
私も思いっきり大声で挨拶を返す。
「頼仁くん、おは___」
その時。
「きゃあああああああ!暴走車よ!」
私の声を遮るように、何処かから叫び声が上がった。
ざわつく周囲。
___やばい。
頭の中で警鐘が鳴り響く。なぜなら。
暴走車は頼仁の方へと突っ込んで行こうとしていたから。
「頼仁くん!」
横断歩道の真ん中で恐怖で固まっている。腰が抜けたのか。
___どうすればいい。
(…暴走車はトラック、ただ今この地点から約35メートルの場所、時速150キロ)
轢かれたら、死ぬ。
神経を研ぎ澄ます。
全てがスローモーションのように見える。
幅跳びで全国大会二位という成績を残した、自慢の跳躍力を駆使して、横断歩道の真ん中に座り込んでしまった頼仁くんを、道路脇に投げ飛ばした。
___その瞬間、体に衝撃を感じた。
「…未花、お、ねぇ、ちゃ…」
頼仁くんの声だ。頬にぱたぱたと涙が落ちてくる。
よかった。無事だったのか。
「よ、りひと…く…ごめ…」
こうして、私の18年の生涯は、幕を閉じた。
やっと前置きが終わった感。