1話 桜木町の女神
初投稿です。頑張ります!
______容姿端麗、成績優秀、雲心月性。
歩いた道には四季折々の花々が咲き乱れ、小鳥たちは集い、人々は途端に心奪われる。
…と、形容される少女は、いつもの可憐な姿ではなく、鬼のような形相で商店街のアーケードをとんでもない速度で駆け抜けていく。
「はぁっ、はぁっ、間に合わない!やばい!」
ここ桜木町に彼女の名前を知らない人はいない。
____人呼んで『桜木町の女神』
なぜそんな名前で呼ばれるのか。
答えは簡単だ。
先程前述したことも原因ではあるのだが、それに加えて…
__東に大荷物のおばあちゃんがいれば、駆け寄り荷物を持ってあげ、終いにゃお家でお茶をいただき、西に怪我した子供がいれば、即座に消毒、絆創膏。しかも絆創膏は可愛いクマちゃん柄。北に家なき人あれば、暖かい毛布と食料を与え、南にグレ気味の不良がいれば諭して無償の愛で改心させる。___
重度のOHITOYOSHIなのである。
従来から常々囁かれている「可愛い子は性格悪い」という人口に膾炙された謎理論を見事に論破してみせた最高の例だったりする。
そんな彼女は、今日の放課後も野良猫の里親を探し、飛び降り自殺をしようとしている子を説得し、他校の男子の告白を受け流し、川で溺れている女の子を助け出し____エトセトラ、エトセトラ。
とにかく忙しかった。
そのため、長距離で全国一位を誇ったこの足をフル活用し、ある約束を守るために、桜木町唯一の公園へ向かって全力で走っているのであった。
…とは言っても彼女、まだピッチピチの18歳女子高校生なのであって、欠点もある。
人間は誰しも完璧なわけじゃない。この女神だって一応人間である。
しかし、彼女の欠点は、あまりにも想像できないものであり…これを知れば全国の男子高校生がむせび泣く…であろう。
そんな彼女の欠点とは____
「頼仁きゅん!!」
「あ!未花お姉ちゃん!」
「ごめんね…サッカーの練習見てあげるって言ったのにもう6時だ〜!うわーん!間に合わなかったよおおおお!!」
「お、お姉ちゃん!僕は大丈夫だから!明日は小学校休みだし、また明日とかどう?」
「うぇ…いいの?」
「もちろん!!」
佐倉未花、18歳、通称『桜木町の女神』
____重度の「ショタコン」である。
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