何か一週間後に対決する。
「魔王? こいつが魔王なの?」
「気を付けて、時三。こいつはマジでやばいよ。だって過去10回も色んな星を滅ぼしてきているからね」
「こ、こいつが」
魔王と呼ばれた人物はポリポリと股間を弄っている。
「くっ、何て余裕しゃくしゃくなの? 時三逃げるわよ」
「でも、魔王召喚したまま逃げて、世界は滅ぼされないの?」
「ああ、ん゛ん゛っ」
魔王と言われた人物は咳払いのように何度も喉を鳴らした。
「ちょっとうるさいわね。今魔王をどうするか相談中なのよ。ってあなたが魔王よね」
女神がこんなにも混乱するとはよっぽどの魔王なのだろう。しかし僕にはそうは見えなかった。
「あー、一ついいかな。俺はもう魔王をやめたんだ。というか退職って奴? 俺も魔王として一万年ぐらい生きているしね。飽きたんだよ。魔王に」
「退職?」
女神が目を見開いた。
「そう、自分の魔王としての限界に気づいてね。実は言うと、俺他の星の魔王と闘って完敗したんだよ。10回闘って10回とも敗れた。で、もうやる気なくしたの、自信をなくしたの」
「そ、そうそれは良かったわね。どうぞご帰り下さい」
「そう冷たいこと言わないでくれよ。で、俺負けたら約束していたんだ。負けた方の力を全て相手に上げるってね。それで俺、全部のエネルギーを奪われてさ、今はもうそこら辺にいる犬にも負けると思うよ」
「そんなはずはないわ」
えいっと、彼女は魔王の足を蹴った。
ぽきっと音がした。そう、その一発で魔王の骨が折れたのだ。骨あったんだ。
「だから、やめてくれよ。俺本当に弱いんだからさ。で、俺気づいたんだよ。俺、もう魔王はやめた。今度は勇者になりたい、ってね」
「そんなこと許されるわけないでしょう。あんた何人の人を殺したのよ」
「分かっている分かっているよ。だからけじめはつけるつもりさ」
「けじめ?」
「俺に良心があるかは分からないでも、それにかけて俺の良心と悪の心を分裂させて欲しい、君になら出来るだろう?」
「あの秘術をあなたに? でもあなたがもし100%の悪意だけで出来ているのならば確実にあなたは死ぬわ。そして善意が仮にあったとしてもあなたは早い段階でその別れた悪意を殺さなくてはならない。それが出来なければあなたは死ぬ。いやあなたが死ねば、残りの悪意が生き延びて、更に今よりも悪い魔王になってしまうわ」
「承知の上だ」
「あなたにその覚悟はあるの? いいのね。死んでも」
「別に構わない。俺はもう勇者になると決めたんだからな」
「そう。じゃあちゃっちゃとやるわね」
「ああ、頼むやってくれ」
「もうやっている最中だわ」
「って早いよ! 女神様」
「だって私こいつに本格的に関わりたくないんだもん」
「それは僕も同じだけれど」
魔王の体がドッペルゲンガーのように分裂し二つにわかれた。
「どうやら成功したようね。でもこの二つの体、良心0、1%、悪意99、9%っていう所ね。これもう確実に悪の勝ちね。どうするの、闘うの?」
「今すぐにでなくてはだめなのかな」
「いや、そういうわけではないけど、一週間以内にどちらかがどちらかを倒さないと両方死ぬわよ。まあ私はどっちも死んで欲しいんだけどね」
「女神様」
「だって本当のことだもん」
悪意の方の魔王が良心の魔王に近寄ってきた。
「女神様、どうか中立試合の審判をやって欲しい、一週間後に」
「そういうことね。今なら殺されるけど、一週間の間に鍛えて、悪意の自分をやっつけるつもりなのね」
「そうだ。悪意をやっつければ、俺は晴れて魔王の罪を晴らすことが出来る。なぜならば、今までの魔王での行いは100%こいつの仕業だからな」
「ぎょっぎょ」
悪意魔王は黒い歯を覗かせて不気味に笑った。
「いいでしょう。では一週間後に試合を開始するとします。そして試合会場はあなたの元いた星です。星を半分に区切りその半分を自分の修行場所とします」
「面白い」
善意魔王が笑った。
「でも、どっちの場所を取るかはどうやって決めるのですか?」
「じゃんけんで」
「じゃんけんぽん」「ぎょっぎょっぎょっ」
こうして勝ったのは善意の方で善意は自分の星の陸が多い地を選び、悪意は海が多い地になった。
試合は一週間後、見届け人は女神と僕だ。
で、もし悪魔が勝った場合は最悪だ。力をなくしているとはいえ、再び将来的に魔王として、昔よりも悪意そのものの感情で攻撃をするからだ。善意がいなくなるとはそういうことだ。ここからは遠くの地にとはいえ、力を取り戻したら、ここへくるのは不可能なことではない。つまり悪意が勝ったら、僕達の将来も危ぶまれる可能性がある。
善意魔王頑張れ!
僕は一生懸命心の中で応援した。
書いていて自分でも良く意味が分かっていない。苦笑。




