目が覚めた、僕。
「えっ、巨大な力を手にすることが出来る……だって?」
「ええ、その通りよ。私があなたに与えるのは私の能力だけですから。それをは言わば、基礎みたいなものなので、あなた次第でそれを鍛えれば、あるいは活用次第では魔王を倒すことだって不可能ではないかもしれないわよ」
「へえっ、それは嬉しい限りですね。でも女神様はどんな能力を下さるのですか?」
「いやいや、それは自分自身で決めて下さいな。あくまで私は願いを与える女神でなくて、願いを叶える女神なんですから」
「そうですか」
「あっ、そうそう。私、結構忙しいので願いを叶えるとしても一日に一個にして下さいね」
「いいですよ。ということは願いを無限に叶えてくれるという願いは叶えて下さるんですね」
「しょうがないですからね。いいですよ」
「やったー! ありがとうございます。女神様」
「いいんですよ。だって私女神ですもん。あっ、そろそろ私行かなくては、また夢で逢いましょうね」
「ちょっと、待って下さいよ! 僕まだ今日の願いを叶えてもらっていないです」
「いや、叶えたじゃないですか。どんな願いも無限に叶えてあげるって願いを」
「あっ、そっか……」
「ではでは、またあなたが眠った時、明日以降だったら、また願いを一つ叶えてあげますよ」
「でも、僕が女神様のことを忘れていたらどうしよう」
「そこら辺は大丈夫です。私があなたのことを夢の中で覚醒させてあげますから。記憶もそのままでね」
「ありがとうございます。あっ、でももしそうしたのならば、僕はこれからずっと夢の中で記憶を維持したままじゃなきゃだめだっていうことですか?」
「いえいえ、もし私が願いを叶えたら、私は姿を消しますから。そしたら、私のことを忘れて、夢の中の世界に浸れますよ。私はあなたの夢の中を荒らすつもりはございませんから。だからその日願いがなければ、私が現れた瞬間に、今日は願いが何もない、とおっしゃって頂ければ私はすぐに、ドロンしますんで」
「そうですか。分かりました。じゃあまた明日会いましょうね。女神さん。あっ、でも目が覚めたらこのこと忘れてしまうんじゃないかしら」
「いえいえ、そうならないように、私との夢の中での会話を忘れさせないようにしておきますね。あとどんな能力を授けたのかというのも」
「ありがとうございます。女神さん」
「いいんですよ。ではよいご目覚めを」
言うと、女神さんは宙に浮かび、そして雲の切れ間に消えて行った。そこに飛行機が飛んでいた。
もしかしたら、女神さんはその飛行機に空中で飛び乗ったのかもしれないな。あの飛行機は女神専用、あるいは神様専用なのかもしれないな、なんて空想を膨らませながら、僕はその飛行機を見つめ続けていた。
そして、僕は目が覚めた。
ああ、夢だったんだ。でもあの夢、本当の出来事だったんだろうか。そんなはずはないよな。でも、もし本当だったとしたら、次に会う時にどんな願いを女神様に言おう。なんせ、無限に願いを叶えてくれるんだからな。とはいえ、無限に叶えてくれる願いをキャンセルして欲しいなんて、願いは絶対に口が裂けても言わないようにしようと僕は心に固く誓った。




