気付いたら、たくさんの妖怪が見えるようになっていた。
「どうかしら。具合は」
「具合? 具合は別に悪くないですけど」
「違うわよ。そうじゃないわよ。馬鹿ね。私が言いたいのはさっきと何か変わったことはないかっていうことよ」
「さっきと変わったこと?」
僕はそれを聞いて、自分の体を見回した。でも、どこにも何にも変化は感じなかった。
と、顔を上げた瞬間、僕は異変に気付いた!!
「うわっ、おうふっ! 妖怪だらけだ?」
「やはり、そうね。私の予想した通りね」
「ど、どういうことだ? 女神様、何で僕急に妖怪が見えるようになったんだ?」
「ええ、それはね。まず妖怪を倒したことによって経験値が入り、妖怪が見えやすくなったっていうのが一つ、後はまあ妖怪と生で接触したことにより、退治したことにより、妖怪菌のようなものが体についたのね」
「妖怪菌? 嫌だなあ」
「それは例えよ例え、別の言い方をするならば、妖怪の匂いと言ってもいいかもしれないわね」
「ふーん。そういうものなんだ」
「そう、意識して妖怪に触れる、妖怪を退治する、心と心をぶつけることによって、妖怪界と人間との言わば、深層下でのトンネル交流とでも呼べるような回路があなたの心の中に開けたのだと思うわ」
「そうなんだ。でも、こんなに妖怪が常に見えている状態は嫌だなあ」
「それは、まだあなたが未熟なせいなのよ。それも鍛錬すれば、おのずと制限することが出来るようになるわ。今のあなたは自転車を漕ぐことに夢中で操作することに夢中で、周りが見えていない。つまり心に余裕がないの。でも慣れればもっと鍛えられれば、足元を見なくても自転車は操作すことが出来るようになるわ。妖怪を見なくても、平気な状態へと持って行くことは余裕なのよ。また、別の方法もあるわ。意識の階層の場所を、つまり脳の周波数を変えることによってもそれは可能だわ」
「ふ、ふーん。何にせよ可能だってことだね。まあ今の僕には無理っぽいけど。でもさっき悪い妖怪がいるって妙な言い方をしていたけど、ということは良い妖怪もいるっていうことで合ってる?」
「そうね。その通りよ。良い妖怪とは俗に言う、妖精の一種ね。座敷童とかはその典型ね。まああれは妖精ともまた違うけれど」
「ふーん。でもどうやって良い妖精と悪い妖精の区別をつければいいんだろう」
「それは簡単よ。悪い妖怪は体から瘴気を放っているわ。逆に良い妖怪は体から、プラスの波動を放っているの」
「うわっ、僕気づかなかった」
「でしょうね。でも安心して。私はそれが分かるから。女神界で培った知識もしかり、そして感じる波動もしかりね」
「そうですか。じゃあ僕しばらく女神様の指示に従って妖怪を退治しますね。波動が感じられるようになるまでは」
「オーッホッホッホッホ! 女神様とお呼び!」
「もう、呼んでますけど。何でそんなに持ち上げられるとすぐに調子に乗るんですか? 女神様は」
「わ、私だって人間界で友達なんて出来たことないから、嬉しいのよ! 悪い?」
「いえ、悪くないです」
女神様はこうみえて実は天空でも一人ぼっちで友達もいないのかもしれない。そう思うと何だか少し可哀そうになってきた。それと同時に、実は最近女神様といるのが心地良く感じられるようになってきた。だけど、それはもちろん女神様本人には内緒しておこう」
「さあ! どんどん悪い妖怪を退治していきますよ!」
僕は両手をポンと強く一回叩き、女神様を妖怪退治に誘うように言った。
「う、うん」
女神様はどこか嬉しそうに僕の後を付いて来た。




