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僕の前に活動相手が現れた。

 それにしても自分探しの旅か。聞こえはなんとなくはいいけど、僕の場合特に漠然とした今後の方向性があるわけでもないから、どうなることやら。いや、方向性がないからこその自分探しの旅かもしれないな。

 まあ、なるようになるということことかな。

「おっす!」

 声をかけられた。しかし声の内容とは違い、可愛らしい声だった。

 後ろを振り向くと、そこには見慣れた顔があった。

「あっ、女神様!?」

 ピンポンピンポンピンポンピンポン! とノリノリの様子で頷く女神様。

「どうして、女神様がここに? 女神様は夢の中にしか出現しない。夢の住人だったのではないのですか?」

「うん。そうなんだけどね。実は私、本当は夢の中に監禁されていたの。いや、罰を与えられていたの」

「どういうことですか?」

 女神様は瞳に涙を浮かべながら、そのことについて話し始めた。

「昔々、ある所に超絶美人な女神様がいました」

「どんな人なんだろう」

「あたしだよ!」

「ですよねぇ」

「そして、その女神様は女神であるにも関わらず、何一つ人間にしませんでた」

「そんな女神いるのかなぁ」

「あたしだよ!」

「そしてその女神は神としての地位を奪われ、夢の中に送り込まれたのです。女神の上に立つ、メガ女神によって」

「酷い女神もいたもんだ」

「そうでしょ、そう思うでしょ。ほんと酷い女神よね。メガ女神」

「いや、酷いのは女神であるにも関わらず人間に何もしなかった女神の方だよ」

「あたしかよ!」

「それにしてもメガ女神って、すごい名前だね。というかでかそう」

「そうだよ。名は体を現すっていうけど、その通りだね。彼女、つまり私の上司のメガ女神は自由の女神ぐらいの大きさだよ」

「おお、分かりやすい」

「それで私は、夢の中で人間の願いをたくさん叶えるまでは、夢の中から抜け出せないように閉じ込められたんだよ」

「へえ」

「でも、あなたが、ずるがしこい人間で、下卑で、欲望まみれの人間だったおかげで私は無事に夢の中からはい出すことが出来ました。ありがとう」

「それ、褒めてないよね」

「いいえ。褒めます。というか私そんな下卑な、下卑の極み赤ちゃんのあなたに、惚れました。結婚して下さい」

「お断りします」

「そんないけず~。じゃあこれからはあなたの願い叶えたあげない」

「考えさせて下さい……ってそれ脅迫じゃん」

「そんなことないわよ。男と女の駆け引きというやつよ」

「物は言いようだなあ。でも、女神様、夢の中からはい出してきてそれでもまだ、僕の願いを叶える能力あるの?」

「ないわ。夢の中から出てきた以上、私はただの可憐なる一美少女に過ぎないんだから」

「って、じゃあますます意味ないじゃん。でも天空に帰ったら願いを叶えることが出来るんだろう?」

「それはそうね。私は女神だからね。天空に帰れば天空パワーをもらって、ばんばん願いを叶えることが可能ね」

「でも、天空にいても願い叶えなかったんでしょ」

「そ、それは……ごにょごにょ」

 たぶん面倒臭かっただけなんだろうなあ。この女神怠惰な女神だなあ。

「じゃあ、一回天空に帰れば?」

「それは出来ないわ。私夢の中から抜け出したと同時に女神の仕事を放棄したから」

「はあっ?」

「どういうこと?」

「だから、つまり私はもう女神ではないということよ」

「じゃあ、ますます僕からすれば女神様もういらないじゃん」

「私、お金もっていないのよね。あと身分証もないし。何もかもを一切合切全てないのよね。これがどういうことか分かる?」

「いや、分からないけど」

「た、助けて下さい~~!!」

 女神様は僕に泣きついて来た。いや、泣きたいのはこっちだよ。

 でも、じゃあこれから女神様どうするの? 天空にも帰れない。女神を放棄したから夢の中にも行けない。そして僕の能力はもう貰えない。この嘘つきクソ野郎女神め。

 僕は女神のことを睨んだ。

 女神は膝をついて、両手をがっちりと組んで、神に祈るポーズをとりながら、何かに祈っている。ってあんた女神だろ! 

 女神は上目づかいで僕のことを見て、懇願するような顔をして、まるで捨てないでと言っているようだった。

「捨てないで」

 実際に言っていた。

「はあ」

 僕は盛大にため息を漏らすと、女神を地面から立たせた。

「えっ、えっ」

「いいよ。もともとこの能力は女神様にもらったものだし、もし女神様がいなかったら僕は殺人看護師に殺されていたしね。しょうがないから一緒に行動しようか」

「サンキュー!」 

 お、おい! 急な声の変質に僕は戸惑った。

 女神様はあっけらかんとした表情で「さあ、行こうぜ」と言った。

 もしかして、今までの演技だった?

「嘘ついたら針千本のーます。最期まで私の面倒を見てよね」

 女神は僕のさっきの言葉を撤回しないように、釘を差すかのように言った。

 ていうか、嘘をついていたのはどっちだよ! とはいえ、このまま女神様を放置しておくのも、良心が責めたので出来なかった。だから、結局僕と女神様は現世で同じく活動することになった。

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