オブサン退治
温かな風、たなびく草木、優雅な鳥の鳴き声俺達は今街から歩いて一時間程度の距離にあるの野山を散策している。
オグサン退治のためにこの野山に来ている。
山とは言っても登るにも前半はとても緩やかで苦にならないのだが、見るからに後半はとても急な坂になっており登ることを想像するだけで、脚が痛くなってしまいそうだ。
「オブサン退治かーめんどくせー」
「これを遂行すればマネーが入るんだぞ」
犬川は何を言ってもオブサン退治が煩わしいみたいだが容易いはずだと思うけどな。
一方、猿吉はとにかく無言を突き通している。気に入らないのかな?
そんな意見の一致しない状態でも二人は俺に着いてくる。お前ら暇人なのか?
オブサンについては詳しく尋ねたが緑色で茂みや森の中に一体化しているのでよく探すとか言ってたけどやはりそれだけでは足りない。
「オブサンってどこに生息してるのよ」
「森の中に一体化してるらしいよ」
「ふーん」
聞き流すなよ。
俺は森の中に立ち入ってみた、結局二人は何も言わず着いてくる。
「森と一体化ね」
俺は頭の中で経験や知識から思考する。
一本の樹木の前に立つ、そして足の平で思い切り幹を蹴る。
確かに樹木の梢や幹は揺れた。しかし何も落ちてこなかった。
もう一本やってみよう。
蹴った樹木の隣にある樹木も同様のやり方で蹴ってみた。
その瞬間、樹木はバラバラに崩れた。
そのひとつひとつが小動物オブサンだったのだ。
緑色の体色からしてそうだろうと確信した。
「志乃、その小さいのがオブサン?」
「そうだと思うよ高い確率で」
「それを退治するんですね」
今まで無言を突き通していた猿吉がついに喋った。
「逃げちゃうわよ」
「逃げないよオブサンは脚も羽もないからね」
猿吉ずいぶんと詳しいな。
オブサンは群れで樹木に形を変えようとしていたが無駄だ。
俺はまた、オブサンが変身している樹木を足の平で全力で蹴ったくる。
このままではらちが明かないので一匹素手で捕まえる。ちょうど片手サイズ。
「これを煮て食べるのね」
何を言いたい?
「これをどう退治すると?」
犬川とは違い真面目な質問をしてくる猿吉。しかしその質問は俺を大いに悩ませてるんだよ。
「数匹、研究で使うから生きたまま捕まえてこいとも言ってたな」
「どうやって持ってくのさ」
「聞かないで言わないでその方法を聞くの忘れてたんだよ」
結局、俺達は数十匹退治しただけに終わった。
「揚げれば食べれると思うけどなぁ」
「安全の保証が無いから危ないよ」
犬川は唇を尖らせてすねる。そういう姿はやはり可愛い。
「猿吉、お前の刀で切り殺せないか」
「私の刀はそんなもののためにあるわけじゃないからね断固拒否」
なんだよ侍もどきめ。そんな小学生みたいな体で侍はないわー。
「志乃、ちぎれば」
「はい?」
「女の子にそんなけだものを触らせるとかさせたら男として存在が」
正確には、俺が数匹退治したのだが、オブサンの内部がとてもグロテスクだったため俺はトラウマになってしまった。
下山の際も何度か嘔吐しそうになるほどだ。
「次はオブサン以外の依頼にしよう、おえ」




