旅立ち
俺は今、見知らぬ田舎にいる。
空気がとてもきれいだ。これこそ田舎の醍醐味だ。
「鬼退治行ってきな」
「行ってきなって、いきなり過ぎない?」
「仕方ない、説明するから入りな」
仕方ないのか?
かなり古くさい。今にも倒壊しそうな木造の家だ。
俺はおばあさんの家に立ち入る。
「そこに座りな」
おばあさんが指さしたところにはボロくなった座布団が敷いてあった。
「じゃあ、手短に説明するよ」
「ああ、はい」
おばあさんは深刻な顔をする。
「この辺りを見ての通り畑や田は荒らされ重い税金を課せられこんな荒んだ生活を送っている」
畑や田んぼは知らないけどな見てないから。
「なので私たちは山の奥にある神殿に出向き神に祈ったのです。するとこう告げられました桃太郎を転生させようと」
「それで俺を?」
「そうです。その通りです。だからあなたが桃太郎なのです」
すごく「です」が増えてる。
「理由はわかった。俺いってくるよ」
「ありがとね私たちなんかのために」
あんたたちが呼んでなけりゃこんなことにはならなかったんだよ。責任取れよ。
「それでは! おばあさん」
「健闘を祈るぞ!」
おじいさんも見送ってくれた。
これから俺の異世界生活が始まる。




