スイーツ大会と謎の表情
オブサン退治から一週間が経った。
一行はまたも仕事を探していた。
「こんなのどうかな?」
「ひまわりの護衛。報酬は五万クエル・・・・・・ないわー」
犬川は哀しそうに肩を落とした。
「これだ志乃!」
嬉しそうに提示してくる猿吉。どれどれ。
「首切りの実験がしたいので助手を探しています。報酬は一万クエル」
「なあ良いだろう」
その期待に満ちて輝いた瞳を裏切りたくはないが。
「ダメだ。またトラウマになりそう」
求人屋の掲示板を見て二人とも腕を組んで首傾ける。俺も腕を組んで首を傾けてみた。これで三人同様の動作だ。
「あんたたち何か良いのはあったかい」
「それが全然無くて」
俺はこりゃダメだ、と肩をすくめる。
「これはどうだい」
おばあさんは一枚の資料を提示する。
「ええと、私の王国で開催されるスイーツ大会に出場しませんか?結果に応じて豪華な景品が差し上げます」
「これいいじゃない」
「これですよ!志乃」
糖分が甘いものが食べれると言うことか?
「これにします!」
「開催地はすぐ近くの城内で行われるよ」
犬川、猿吉は二人とも目を輝かせ歓喜に満たされている。案の定、俺もだ。
「早速、行きましょう城へ」
「ああそうだな」
一行は求人屋から歩いて一時間もかからずに会場の城に着いた。
一行は門の前に立つ。門は受付の係員がいる。
「では参ります」
俺は係員に声をかける。
「あのー、ここでスイーツ大会が開かれると聞いて来たんですけど」
「登録ですね。机に置いてある用紙に名前などを書けば登録完了ですよ」
指差した方の長机の上には用紙が山積みに置いてあり用紙の隣にはペンもずらりと並べられている。
「書くのは名前と職業、年齢この三項目だけみたい」
犬川はやることが早い。他人の言動を先読みしやっておく。よく出来るものだ。
「私が書いといたから入りましょ」
「何でそんなに言動が読めるんだ?」
「わからないわ」
犬川は微笑んでそう言うと身を翻して、前進する。
猿吉はそんな犬川の姿を少し哀しげな視線で観察している。
これからまた面白そうなイベントが開幕する。だがこれがまさかの事態をこうむることになるとはこの時は知るよしもなかった。




