this is a detestable ?
こーんにーちわーww
もっくんでっす
では、どうぞw
たとえば。
この世界が陰と陽に分かれていたら。
僕という存在はどちらに属するのだろう。
きっと、もう既に心の中ではわかってる。
最初から決まってた。
最初から知ってた。
僕は――――
「へぇ~。そうなんだ。」
「・・・」
「・・・」
「・・・いやもっと反応してよ。」
「ええー?!そうだったの??」
「いまさら遅いわ!!」
「そっちがしてって言ったのに~。」
子供の様に口をとがらせるシキに、大きなため息をつく。
そして、ふと気づいたことを口にした。
「そういえば、あなた泊まるところはあるの?」
「ないよ。」
「・・・そうよね・・・あったらあんな所で倒れてないわよね・・・」
即答するシキに再びため息をついた。
「お金はあるの?」
「ほとんどない。」
「・・・」
呆れて物も言えない。
「あーじゃぁ、そこでて右に行ったところにあたしの知り合いの宿屋があるから。レオナの紹介だって言ったら安くしてくれるはずよ。」
「おーありがとう。助かる。」
「別にいいわよ。」
シキが手を差し出してきたので握ろうとした時だった。
二人の間に素早く剣が割り込んだ。
それはそのまま振られシキの方に向かう。
シキは素早く後ろに飛んでギリギリのところで躱した。
「ちょっ・・・リリン?!」
振った剣を素早く持ち直し、シキに向ける。
「止めなさいリリン!彼は敵じゃないわ!!」
「隊長こそ!アイツに近寄らないで下さい!」
「えっ?」
突然のことに混乱し、頭がついていかないレオナにリリンと呼ばれた隊員は言葉を続ける。
「アイツは、忌み子です!」
「忌み・・・子?」
言葉を理解できていないレオナに、リリンは注意深くシキに剣を向けたまま顔を向けた。
「隊長。知らないんですか?」
「う、うん・・・。」
「・・・、忌み子って言うのはその名の通り、忌むべき存在。魔族の血族です。その身には先祖が犯した数々の罪の血が流れていて、魔族の血も入っているため再生能力が備わっており、魔の力が使えるといわれています。そしてその見た目は漆黒の髪に闇色の瞳だと。そんな奴に触れでもしたら、隊長だって何されるか・・・」
「・・・」
(なるほど、なぜ『クラシィ』から追い出されたのか分かったわ。)
先のシキの言葉を思い出すとともにその直後の顔も思い出す。
すごく印象に残った表情だった。
シキは何も言わず真面目な顔でレオナたちを見ていた。
その表情には悲しみでも怒りでもない何かが宿っていた。
「・・・あなたの言いたいことはよく解ったわリリン。」
「隊長。」
ほっとした顔で胸をなでおろすリリン。
だが、次の言葉で再び緊張に包まれた。
「でも、彼はあたしの命の恩人。忌み子だろうとなんだろうと、それは変わらない。」
「!!」
「剣を納めなさいリリン。これは命令です。」
「ですが・・・!」
「命令です。リリン・アーネスト。」
「・・・」
渋々、といった形でリリンは鞘に剣を納める。
だがその目は未だシキを鋭く睨みつけていた。
レオナはシキの方へ振り向くと、深々と頭を下げた。
「部下の非礼、申し訳ありません。」
「え?いやいいよ?本当の事だから・・・」
シキは相変わらずおっとりとした口調で告げる。
レオナが顔を上げるとふっと優しく微笑んだ。
その顔に見惚れる。
どこかで見た顔だった。
「そう。それじゃああたしたちはそろそろ行くわね。さっき言った宿屋、覚えてる?」
「ああ。大丈夫だよ。」
「うん、じゃあ。またどこかで。」
「また、どこかで。」
握手を交わし、レオナは店の出口の方に向かう。
慌てて後ろを追いかけるリリンは、まだ店にいた部下に合図をした。
引きずられてゆく強盗たちを見ながら、シキは呟いた。
「あんなに若いのに隊長なのか・・・。・・・まさか、な・・・」
店を出ると、いつのまにか空は夕焼け色に染まりつつあった。
右に曲がりまっすぐに歩いてゆく。
人のいない路地に、靴音だけが響いていた。