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Case1-5 ハジマリが告げる鐘
2人は教室に着いた。
その時には仲良く話せていた。
「よぉ、よぉ、飛夜理くーん」
舞菜がニヤニヤと笑いながら、にょきっと現れた。
なんだ?と、思いながらも、会話に耳を傾ける。
「あのね、愛歌がこうして人に心を開くのって、珍しいんだよ」
「…?はぁ…?」
飛夜理は問い返す。
さっき、話していたときは、全く他の子とは変わらなかったのに、と、飛夜理は思った。
「ひとまず、さ。今度ね、『秋祭り』が在るんだ、見に来ない?」
秋祭り…脳裏に浮かぶのは、昨日の愛歌は表情だった。
「あぁ、行ってみるな。」
舞菜もこうして笑って言っているのだから良いだろう、と思った。
いいのか?そう言いたげな愛歌の目を見つつ良いだろうと飛夜理は思った。
絵:たぴおか様