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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
One year later(番外編)
69/73

番外編:1 宮本董子の教訓

「起きて、マイスイートハート」

 マイスイートハートって誰ですか。私の知ってる範囲でそんなことを言う人はいませんが。

「・・・しょうがないなあ」

「ん・・・・んんっ!!」

 急に口をふさがれて、私が目をあけると真上には和哉さん。

「起きた?」

「な、何する・・・・うんんっ」

 和哉さんが嬉しそうにキスを続け、私のパジャマに手をかけて・・・

「うわああああ!!」

 私はガバッと飛び起きた。時計を見ると目覚ましがなる5分前。

「夢か・・・あ~~~~よかった」

 ほっとはしたものの、何かキスの感触がリアルだ。それにしてもよりよって和哉さんがスイートハートって・・・ないわ~、ないない。

 うーん、いったいどうしてこんな夢をみた。もしかして、昨日見たDVDが原因ですか。



 昨日から和哉さんは泊りがけの出張でいない。久しぶりの一人暮らし状態に戻った私は夕食後にお気に入りのDVDを見ることにした。

 骨董品店に勤めるヒロインは、小さい頃から兄の親友であるヒーローが好き。だけどこのヒーローは独身主義者で女性にもてて、デートの相手はコロコロ変え結婚式でベストマンを務めるたびに一番美人のブライズメイドと式を終える頃には姿を消しているような人。

 だからヒロインは「妹分」として彼のそばにいることを選んだ。そんなとき、ヒロインは兄の結婚式でブライズメイドを頼まれる。ベストマンは当然親友である彼。これを機会にヒロインは、彼を諦めて他の男性に目を向けるようにする・・・と、ここで当然話は動くわけだ。

 彼は突然ヒロインが、自分の前では決してしなかったようなセクシーな恰好をした姿を見て驚く。他の男性と姿を消そうとしたヒロインの邪魔をしたり、骨董市に同行したり・・・でもこのヒーローは鈍感で、親友(ヒロインの兄)の一言で彼は自分の正直な気持ちにようやく気づいて、骨董の勉強をしに旅立つヒロインを追いかけるのだ。

 もちろん結末はハッピーエンドなんだけど・・・・そこで私はハッとした。マイスイートハートって・・・ラストでヒーローがヒロインに囁いているじゃん。

 寝る前に見たから、夢に出たって・・・しかも和哉さんに言わせた(夢の中だけど)私ってどんだけ影響されやすいんだよ~。しっかりしようよ私。

 和哉さんが帰ってくるのは今日の夜だ。仕事に行くしたくをしながら今日の夕飯は何にしようと考えていた。今日はそんなに急ぎの仕事はないので、定時に上がれるはずだ。


 おかしい、今日は特に急ぎの仕事はなかったはず。なのにどうして私は残業をしているのだろう。

「藤枝さん、すいません」

「いいのよ。さっさと片付けちゃいましょう」

 うちの会社は社員同士が結婚した場合、本人が希望すれば通称として旧姓使用が認められている。そのため私は、会社では以前同様「藤枝」姓で働いていた。

 隣で恐縮している後輩を尻目に私はPCでの作業を黙々と続ける。本当は“なんでパソコンのデータを全部消すなんつーことができるんだ。保存しなさいよっ!!!”とか言いたいけど、私も過去にはいろいろ失敗して、それで学んできたんだもの。きっとこの子も学んでくれる・・・と思いたい。

 あーあ、今日の夕飯は和哉さんの好きなもの作ろうと思ってたのになあ。さっき合間見て“急遽残業になりました”ってメールしたら、“直帰してきたから夕飯は作っておくよ”って返信がきた。

 私、ほんといい人と結婚したよなあ・・・・友達のところなんて“俺たち共働きだから家事は分担しようって言ってたくせに、うちのダンナはなーーーんにもしないんだよっ!!まったく口ばっかり!!”って言ってたっけ。

 今度、定時で帰ったときにはがんばろ・・・。

 ようやく残業が終わり、家に帰ると和哉さんが「おかえり」と出迎えてくれた。

「ただいま。遅くなってごめんなさい。夕飯、作れなくて・・・」

「いいんだよ。食事はその日作れるほうが作るって約束だろ?普段は董子が作ってくれてるじゃないか」

 そりゃ、一般事務と課長じゃ仕事の質も量も違うから比較対象じゃないと思う。でも私は和哉さんのその気持ちがとても嬉しい。


 夕食を終えて、リビングにマグを持って移動するとテーブルの上にDVDが出しっぱなしになっているのを発見した。しまった・・・昨日見て出しっぱなしだったよ。

「このDVDは董子のだよね」

「そ、そうなの。気に入ってる作品なの。すぐ片付けるね」

 私があわててDVDを取ろうとすると、なぜか和哉さんの手がさえぎる。

「ね、スイートハートってすごいセリフだよね。董子も言われてみたいもの?」

「・・・は?いや、私は別に・・・和哉さん、見たの?」

「直帰で、夕食作るまで少し時間があったからちょっと見てみたんだ。最近忙しくて董子とこうやって近づいたりとか・・・キスも軽くしかしてないし」

「・・・んっ」

 そう言って私の肩を抱き寄せて、深いキス。

「俺、すっかり董子不足なんだよね。だからマイスイートハート」

「はっ?!」

 さっきの食事に酒でも入ってたか?どうした和哉さん??

「ぷっ、動揺しちゃって。でも口に出すと相当恥ずかしいな・・・ま、いっか。董子を補充させて」

 そういうと和哉さんは私におおいかぶさってきた。


 見たDVDはちゃんとしまおう・・・私は蕩ける意識のなかで心に誓った。

董子が好きなDVDは、お気に入りハーレクイン作品をもじったものです。

あらすじでピンと来る人いたらすごいかも!!

実際にはヒーローはスイートハートとは言ってなかったような・・・。

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