おまけ
課長、心から願う。の巻
課長視点です。
披露宴からあっというまに月日がたち、人事異動の季節になった。
俺もいちおう課長なので、今回の人事異動リストというのは事前にもらえるため仕事の合間に目を通す。
ちょっと前までは、俺からすぐ目に入るところに董子がいた。ま、今は会社以外で一緒だからそっちのほうがいいんだけど。
「・・・ん?」
俺はリストの途中で目を見張った。
“営業企画部1課:山崎・・・”
同姓同名かと思ったが、東北支社からのって言ったら「あの山崎」しかいないじゃないか。
今日はちょっと帰りが遅くなったため、一緒に夕飯をとることはできなかったが俺が食事をするときは、董子はできるかぎり同じテーブルにつくことにしてくれている。
「董子、今度の人事異動で・・・」
「あ、山崎くんが1課に来るんだよ。今日メールもらってもうびっくり!」
「は?メール??」
山崎もさすがに振られた直後は3課に顔を出さなかったけど、しばらくたつと普通に董子と話をしている姿を見かけた。だが、メールってなんだ。
「うん。“もうモナカはお土産にわたせないからな”だって。失礼しちゃうわよねー。まるで私がモナカ目当てみたいじゃない?」
そう言って董子はちょっとむくれている。
「どうしたの、和哉さん」
「いやー、そういえば董子はあのモナカが好きだよなあ、と思って」
「だって美味しいんだもの。和哉さんも好きじゃない」
ああ、そういえば董子は俺がモナカを好きだと信じているんだった。あれは単に山崎と董子の会話を邪魔したかっただけなのに。
今となっては「はああ~?」と言われそうで言いだしづらい。
「今度来るときに持ってきてくれるって言ってたから、和哉さんの分は死守するね!」
「あ・・・・ああ。よろしく」
さすがに結婚した今となっては、人妻に手を出すような馬鹿なことはしないだろうが・・・はやく山崎にも誰かが現れてほしい・・・俺は心からそう願った。
読了ありがとうございました。
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これで「天使の前髪」の本編は完結です。
今後は番外編を不定期更新する予定です。
この作品の大元はクリスマス用にと考えていた短編でした。
続編が読みたいと感想をいただいて調子に乗って長編連載したしだいです。
何せ、現代物といえば高校生が主役のシリーズしかなく
大人の恋愛物でオフィス物は読むのは好きなんですけど
書く側にまわるとなると・・・
この作品ほど書くのが苦しかったものは今のところありません。
それでも、その分愛着もあって
宮本課長の声を妄想したりして(笑)かなーり楽しんだ部分もあります。
自分が妄想した声のおかげで、モチベーションが上がったりとか。
お気に入り登録していただいた方、感想を書き込んでくれた方
この作品を楽しんでいただいた方全てにお礼を言いたいです。
長い間お付き合いいただいて、どうもありがとうございました。




