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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
粛々と進んでく
63/73

3.

衣装を選ぼう。の巻

 古典的な鶴と牡丹柄の黒引き振袖に袖を通してみる。

「帯は銀糸の入ったこちらがおすすめですね」

 担当の方が帯を持ってきてくれる。うん、確かにぴったりだ。さっき着た百合の柄もいいけど、こっちも素敵。地味すぎず派手すぎず、色合いも上品な感じ。

「こちらのほうがお似合いですね」

「うん、似合う」

 デジカメで撮影してくれた和哉さんもうなずいている。よし、和装はこれで決まり。

「次はドレスですね。こちらです」

 案内されるままに、ついていく。


 チャペルが人気のホテルだけあって、ドレスの数は和装の倍は軽くある。

「・・・すごい」

 これは自分が着たいイメージを決めてこないと絶対に1日では決められないよ。

「好きなだけ着て大丈夫ですからね。ドレスにあわせたヘッドドレスも選べますよ」

 Aラインかプリンセスラインに絞ったものの・・・それでも種類が多い。まあ、少なすぎて選べないよりはいいか。

 それにしても、トレーンが長いやつとかフリル盛りだくさんとか、バックスタイルがリボンとフリルとか・・・オフショルダーだと、二の腕とかカバーしてくれるらしいんだよなあ。

 散々ドレスを見た結果、つやつやした生地でロールタイプのオフショルダーの襟、後ろのVラインがきれいでトレーンが長めのシンプルなデザインのドレスと、クラシカルなスタイルでバックがふんわりひろがっているもの。胸元にラインストーンがついててアクセントになっているものに候補を絞る。

 他もいろいろ見たけど、やっぱりこの2点だな。

 試着するときは担当の方と一緒に。ドレスって1人じゃ着れないんだよね。ドレス用の下着つけてきてよかったよ。

「外に出て、新郎様にも見ていただきましょうか。アクセサリーもつけてみましょう」

「そうですね」

 決めたドレスの他にカラードレスなんかも試着してみたり・・・結婚式の準備ってどれも面倒だけど、衣装合わせは楽しい!!私の人生でこんなにドレスやティアラをつける機会はもうないだろう。こりゃー「花嫁様」な気分になっちゃう人いるよ。

 周囲の人たちは「お似合いですよ」しか言わないしさ。自分も若干浮かれちゃうし。

 結局、私が選んだのは後ろのVラインがきれいなドレスだった。パールのティアラ、ネックレスとイヤリングをつけることにした。


 それにしても、今日はひたすら和哉さんに感謝。退屈だったろうによく付き合ってくれたよなあ。

 私が和哉さんをちらりと見ると、こっちの視線に気づいて私のほうを見た。

「どうした?」

「んー、今日は和哉さんに感謝だなと思って」

「は?なんで?」

「長時間衣装合わせに付き合ってくれたばかりか、撮影までしてくれたから。ありがとう」

「俺、結構楽しかったよ。董子のドレス姿も着物姿も似合ってたし。だけど・・・」

「?」

「あのドレスはボタンを外すのに時間がかかりそうだよね」

「・・・和哉さん。ドレスは衣装室で脱ぐから、終わったら普段着だよ?」

「それは残念・・・・ところでさ」

 和哉さんが私の耳元に口を寄せる。う、これは要注意の兆し。

「な、なに?」

「跡をつけちゃまずいよね?」

「・・・・つけちゃだめ」

「なるほど。了解」

 そう言うと、和哉さんがにやりと笑った。



<数日後>

 久しぶりに響子先輩や真生と顔を合わせて社食でお昼を食べることになった。

「お。今日の定食は具沢山春巻き、インゲン豆と腸詰の煮込みにカブの酢の物か。おいしそ~。私、これにしよっ」

「ほんとだ、私も響子先輩と同じにしようかな。董子は?」

「・・・・私は、蒸し鶏と温野菜の生姜和えとおにぎり」

「は?ちょっとそれで夜までもつわけ?」

「・・・体重維持しないとまずいんです」

「「・・・頑張れ」」

 2人とも察したようで、肩をポンポンとたたかれた。



読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


董子に、当時私が着たかった「黒引き振袖」を着せてみました。

でも式場の衣装には色内掛と白無垢しかなく・・・しかも「黒引き振袖」が着たいと言えない雰囲気で。

たとえ小説でも、なんかよかった~と自己満足です。

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