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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
粛々と進んでく
62/73

2.

挙式スタイルを決めよう。の巻

「招待状の作成、OK。引き出物・・・OK。花・料理・ドリンク・・・・これは今度の打合せで決める予定。スピーチは部長と親族にお願いしてるから大丈夫っと。余興はなしで決まってるから、よし・・・。二次会はやらないから関係なしっと」


 某結婚情報誌にくっついている「結婚準備チェックリスト」は便利だ。大雑把な私でも全体の流れがよく分かる。

 仕事のほうの引継ぎは来月から始まる。だいたい1課も3課も取引先が違うだけで、補佐業務兼庶務はやることが同じ。

 新規に覚えておくことが少なくてすむってのは互いに助かるね~などと、休憩室で1課の中村さんと一緒にお茶をしたときに笑いあったくらいだ。

 一方、和哉さんは相変わらず忙しい。今日も残業で遅くなるらしく“夕飯は先に食べていていいよ”とメールが着ていた。せめて帰りを迎えようと思って、チェックシートを見ながら時間を過ごしている次第。

 結婚すると、きっとこんなパターンが多くなるだろう。今までは同じ部署だったから互いの様子が分かったけど、それって贅沢だったんだなあ・・・・。

 新居関係はもう済んでるし、あとは私が入籍後に変更が必要なものをリストアップしておかないと。は~・・・名字の変わらない和哉さんが羨ましい。



 戻ってきた和哉さんと2人で会場に決めたホテルのパンフレットをみる。今度の打合せで挙式スタイルを決めなくちゃいけないのだ。

「だけど、これみるとつくづく新郎って新婦の添え物だよな。」

「そんなことないってば」

 そのホテルには全面ガラス張りのチャペルがあり、それが売りのようだ。パンフレットでも表紙を飾り、他の神前や人前の会場よりも割いてるページが多い。確かに友達の式もほとんどがチャペルだった。この間の真生もそうだった。

 だけどなあ・・・・人前キスが恥ずかしいし、うちの父がバージンロードをちゃんと歩けるか、はなはだ不安だ。

 母によると、すっかり花嫁の父モードで昔のアルバム見てため息ついてるらしい。弟たち(特に理斗)が、たまに顔を出すと「父さん、姉さんの式で泣くなよ」とからかうらしく、母がまったくあの子たちは・・・とあきれた口調だった。

「・・・神前式がいいな。黒引き振袖が着たいの」

「俺、董子のウエディングドレス姿がみたいな」

「あ。だったら披露宴でドレス着るよ」

 私がそう提案すると、和哉さんは「それなら董子の着物とドレスが両方見られていいな」と納得してくれた。



 実家の母に挙式は神前にすると伝えたところ、なぜか母がちょっと残念そうな声になった。

「あらー、神前にしたの?」

「なにその残念そうな感じ」

「だって、お父さんが“俺、転ばないように気をつけないとね”とかウォーキング始めたのよ」

「はあ~~?」

「理斗が“父さん、もしチャペルになったら姉さんと腕組んで歩くんだから転ぶなよ”なんて言っていくものだから、すっかりチャペルモードになってるのよ。花嫁の父って面白いわよね~」

 母、そこは面白がっていいのか・・・・だけど、父がどういう方向であれ、思い出にひたってため息ついてるよりはマシか・・・うん、そう思うことにしよう。

 結局、神前式になったことは母が伝えると言ってくれたので、私はそのまま電話を切ったのだった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


名字が変わるほうの手続き関係の多さは半端ありません。

大変でした・・・


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