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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
家族の肖像
60/73

5.

藤枝董子と宮本家の人々(後編)

「ごめん、董子」

それぞれの両親に挨拶して数日後、和哉さんが私に頭を下げた。

「和哉さん?どうしたの?」

突然のことに私はびっくり。頭に浮かんだのは・・・・

「まさかの浮気?!」

「そんなわけあるか!!・・・・実は、兄がきみに会いたいって言ってるんだ」

「え、お兄さん?」

「両親から話を聞いたらしくて、自分も会いたいから遊びに来ないかと・・・」

 まあ、うちの弟たちがそうだったように、兄弟の結婚相手って気になるよね。



 和哉さんのお兄さん、幸成ゆきなりさんは奥さんの久美さん・長男の信史くん、そして産まれたばかりの次男・真吾くんの4人家族。

「やあいらっしゃい。和哉の兄の幸成です。こっちは息子の信史。もう1人息子がいるんだけど、今は寝てるんだ。信史、あいさつは?」

「はじめまして、藤枝董子です」

「こんにちは。みやもとのぶふみ、4歳です」

 そういうと、右手のゆびを4本だす。

「こんにちは、信史くん」

 目線を合わせてかがむと、信史くんは恥ずかしそうに笑いお兄さんの後ろに隠れた。

「ごめんねー、照れ屋で」

「いいえ。」

 そこに、女の人が顔をだした。長い髪の毛を一まとめにバレッタでまとめ、すっきりとした顔立ちのきれいな人だ。

「こんにちは、和哉くん。そちらが彼女?かわいいじゃない」

「こんにちは義姉さん。董子、兄の奥さんで久美さん」

「初めまして、藤枝董子です」

「こんにちは、久美です。ごめんなさいねー、片付いてなくて」

 お義姉さんはそういうけど、部屋の中はとてもきれいだ。うーん、私の部屋のほうがまずいかもしれない。今度の休みには掃除しないと。


 しばらく歓談し、久美さんが眠そうな信史くんを寝室に連れて行くため席を外すと、お兄さんがしみじみと言った。

「藤枝さん・・・董子ちゃん、ありがとね」

「へっ?」

「俺さ、このまま和哉が独身じゃないかって心配してたのよ。コイツは女性をとっかえひっかえで」

「ちょっと待て、今ここで言わなくてもいいだろうが」

 和哉さんが慌てた様子で口を挟むけど、幸成さんは気にした様子がない。和哉さんが女性をとっかえひっかえ・・・まあ、それは分かる。

「それが、3年前からぱったり女性の影がなくなったんだよね」

 3年前といえば課を新設したときだ。あのときは本当にいそがしかったもんなあ。私もかなりのものだったから、和哉さんなんてもっと忙しかっただろう。

「でも、以前より楽しそうなんだよ。今は、その理由が分かるけどね」

「・・・・兄さん」

 和哉さんがお兄さんを睨む。ひえ~、オニミヤのにらみだよ。

「そんな睨むなよ。こわいなあ」

 お兄さんがにやにやする。

「睨まれるようなことを言わなきゃいいんだ」

 大人げないよ、2人とも。



 その後、お兄さんの家を辞し私たちは和哉さんの部屋に戻ってソファでまったり。

「あのさ、董子」

「なに?」

「その、兄が言ったことだけど」

「・・・女性をとっかえひっかえだっけ?んー、それはそうだと思ってましたから。だって和哉さん、社内でも人気だったし。私は興味なかったんで高みの見物でしたけど」

「・・・あっそ。」

 なんだか、和哉さんがちょっと残念そうに見えたのは気のせいだろうか。

 もしかして、ジェラシーご希望だったとか?それは無理。付き合うなんて、ましてや結婚なんて考えたこともなかったんだから。

「ねえ、和哉さん」

「ん?」

「私、結婚の準備って何するのか分からなくてネットで調べたの。そしたら、まあたくさんあって。2人で頑張らないとちょっと大変みたい」

 コテンと和哉さんの肩にもたれかかると、ぎゅっと肩を抱いてくれる。

 ところで、和哉さんの手はどこを触っているのだろう・・・・


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


和哉のお兄さんとご対面です。

次回の更新まで、また時間かかるかと思いますが

気長にお待ちいただけるとうれしいです。

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