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董子、実家に電話する。の巻
和哉さんにプロポーズされて、了承して・・・それで即結婚式の準備なわけはなく。私たちは互いの家族と顔を合わせるという局面にきていた。
結婚の挨拶なんてしたことないから、いろいろ調べてみると「女性の両親に会う→男性の両親に会う→両家顔合わせ」というのが無難らしい。
和哉さんも調べていたらしく「董子のご両親に都合のいい日を聞いておいてくれるかな。・・・俺も緊張しちゃうな」とちょっと背筋を伸ばした。
「わ、私だって和也さんのご両親に会うのは緊張するよ」
「大丈夫だよ。うちの親は董子を間違いなく歓迎する」
「うちだって和哉さんを大歓迎するよ。大丈夫」
互いに励ましあってるのに気がついて、顔を見合わせて笑った。
それにしても、自分の親に「会ってほしい人がいる」と言うのはかなり照れる。
和哉さんのほうはどうだったかなんて分からないけど、私の家のほうは話をしたら母親がテンションが上がっちゃって、電話口でまずうるさかった。ちなみに私の家は両親と双子の弟という構成で、弟たちは4歳下で2人とも独身である。
「董子。おかーさん、ぜんっぜん気がつかなかったわよ~」
そりゃそうでしょうね。気づかれないようにしてたもの。うちの母親は明るくてさっぱりしてる性格なのはいいけど、家族に嬉しいことがあるとテンションが一気に上がっちゃって舞い上がってしまい、なかなか戻ってこないのだ。
私が黙ってると、後ろから父の声で「恵子、董子に話をさせなさい」と聞こえてきた。あれ?父は、いつの間に母を下の名前で呼ぶようになったんだろう?
すると電話口を押さえた母が「だって信幸さん。董子が会ってほしい人がいるって言うんだもの」と返答すると、いつも落ち着いてる父が「・・・・は?恵子、電話変わって」と焦った様子で言うのが聞こえる。
「えー、嫌ですよ。あなた、難癖つける気満載じゃないの」
「相手について事前に聞くくらいいいだろう」
「信幸さん、董子が男性連れて家に来るって聞いて動揺してるんでしょー。そういえばこんなこと初めてだもんね」
「違う。俺は動揺なんてしていないっ」
「当日、“急な腹痛”とか言って自分の部屋に引っ込まないでよね」
「するかっ!!」
娘をほったらかして、電話の向こうで夫婦漫才を繰り広げるのはやめてほしい。結局、母が父を電話から遠ざけたらしく、私はそのまま母と話すことになった。
「どうせなら文斗と理斗も呼ぶ?」
「えー。面倒くさい~。お母さんたちだけでいいわよ」
「まあねえ・・・両家顔合わせで会うし。だけど、あの子たち董子が結婚相手家に連れてきたって後から聞いたら、さぞかしうるさいでしょうね」
まあ、母の言うことにも一理ある。弟たちは昔から「自分たちだけ置いてけぼり」が嫌いだった。
「あの子たち、董子にべったりだったもんね~」
「・・・やめてよ。でも2人とも休みとるの難しいんじゃないの?」
「取れなかったら仕方ないわよ。でも、話を聞いたら間違いなく休みをもぎ取ってくるでしょうね」
「・・・あっそ」
弟たちなら、やりそうだ。きっと母から連絡いったとたんに、私の携帯にメール入れてくるだろう。
その後、互いの都合を確認した結果(名前もここで明かした)、和哉さんを伴って実家に帰るのは来月の頭に決まった。
弟たちから、それぞれ「姉さんが結婚相手を連れてくるのは見逃せないよ」とメールが来たのは言うまでもない。
読了ありがとうございました。
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お待たせしました。ほぼ1ヶ月ぶりの更新です。
董子と課長の家族が登場します。




