4.
きっかけは野村。の巻
長文になります。ご了承ください。
「「かんぱーい!おつかれさまでした~」」
今日は営業企画部の飲み会。私は課長と坂本さん・・・・それになぜか野村がいるテーブルだった。そして別のテーブルからは山下さんの恨みがましい視線。
野村は坂本さん経由だから分かるけど、山下さんは誰が誘ったのだろうか。
「ねえ、藤枝さん」
坂本さんが私の頼んだ梅酒水割りを手渡してくれる。
「はい」
「秘書課の山下さん、誘った?」
「まさか。私も驚いてます」
するとそこに、ビール瓶を持った高橋くんが「すみません・・・俺っす」とうなだれた様子でやってきた。
「社食でたまたま同期と顔を合わせたんで、今日の飲み会のことを話したら・・・・行ってもいいかと押し切られたんです」
あ~・・・・山下さんって真生いわく、“将来有望そうな男子には粉かけまくってる”んだった。野村も山下さん目線では“将来有望男子”の範疇になるのか。
だとしたら、さっさとハンターの前に獲物を差し出してやったほうがこっちのテーブルは平和になるな。
「野村、これからも会社に出入するんでしょ。この機会に皆と話してみたらどう?今のところ、坂本さんと課長、それに私くらいしか話してないでしょ?」
「そうだなあ・・・・じゃあ、そうするか。坂本さん、私ちょっと他の方にも挨拶してきます」
「それはいいですね。ぜひ行ってらっしゃい」
私の言動を聞いた坂本さんがにこにこと助言したのもあって、野村はビール瓶片手に席を外した。
課長も席を外し、高橋くんもいつのまにかいなくなっていてテーブルには私と坂本さんだけだ。
「藤枝さん。今のは、わざとだろ?」
「・・・ばれましたか」
「察するに、山下さんは野村くん狙いかな?」
「正解です。野村、うちの会社の女性陣に人気あるみたいで。私もいろいろ聞かれて困ってるんですよ。この際、本人に生贄になってもらおうと思いまして」
「まあ、俺も藤枝さんに聞きたいことがあったからちょうどいいや」
「なんですか?」
「宮本さんと付き合ってるでしょ」
坂本さんの一言に、思わずむせてしまう。会社では響子先輩と真生にしか言ってないのに、どうして知ってるんだ??
「さ、さかもと、さん。なんで・・・」
「俺ね、住んでる場所は反対方向だけど宮本さんと同じ駅使ってるの。嫁さんと買い物に出かけたときに偶然見かけたんだ。大丈夫、誰にも言わないよ。」
「ありがとうございます」
見られたのが坂本さんでよかった。私はホッと胸をなでおろした。
結局、お開きになるまで私は坂本さんや、“俺の席がなくなってるっす”とやってきた高橋くんと話をしていたのだった。
課長は、部長や1課、2課の課長につかまってしまい最後まで戻ってこなかった。
そして、野村は山下さんと話が盛り上がっている様子。あー、よかった。
皆で居酒屋を出たときに、「骨董」と野村が声をかけてきた。
「どうしたの、野村。山下さんと盛り上がってたみたいでよかったじゃないの」
「話をするだけなら仕事みたいなもんだ。山下さんって、骨董の同期なんだって?」
「そうよ。秘書課勤務だけあってきれいでしょ」
「合コンしましょうって言われたんだけど、もちろん骨董も来るよな」
「は?なんで私が」
「おまえ、ライオンの群れにシマウマを投げ込むのかよ!!」
「あんたはどうみても肉食獣で同類よ。楽しんできてね」
「骨董、頼むよ~。合コンに参加すると言ってくれ」
「それはむ・・・「悪いがそれは無理だな」
私が「それは無理」と言おうとしたときに、私の前に見慣れた背中が立った。
「え?宮本課長?」
さっきまで部長と話していたはずの課長が、私をかばうように野村と向かい合っている。
「野村くん。申し訳ないが、藤枝は合コンに参加できないんだ。坂本、俺と董子は二次会には行かないと部長に伝えておいて。董子、帰るよ。」
そういうと、課長は私の手をつかむと側にいた坂本さんに声をかけた。
「わかりました。宮本さん、藤枝さん。おつかれさまでした。」
「お、おつかれさまでした」
私は、課長に手をひっぱられながら坂本さんにお辞儀をした。
その様子を見ていた3課以外の人たちは皆、驚きの表情を浮かべていた・・・・。
「和哉さん、皆にばれちゃったじゃないですか!!」
和哉さんの部屋に到着すると、私はまっさきにさっきのことを抗議した。
「俺はもともと隠す気はない。それに課の人間は皆気がついてたぞ」
だけど課長は涼しい顔。
「えええっ!?坂本さんだけじゃなくて?」
なんてこったい。・・・ああ、来週からの更衣室が怖い。
私は課長にわからないようにため息をついた。
読了ありがとうございました。
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もっと「発覚!どうしよう!!」みたいにするべきなんですが・・・
あっさり発覚させました。
ドラマチックに書くのが難しいという作者の勝手な事情もあります。
すみません。




