表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
再会のち発覚
41/73

3.

話題の人。の巻

 野村は、爽やか体育会系の外見と人当たりの良さで、女性社員注目の人になった。

 そして、私と同級生だったことが知られるようになると皆一様に「藤枝さん、今日は野村さん来る予定はないの?」と聞いてくる。

 野村の来社予定なら、私より坂本さんに聞いたほうが早いと思うんだけどな。

 だけど、私がそう言うと野村目当ての女の子は皆顔をひきつらせて「無理。藤枝さんじゃないと聞けないわ」と尻込みするのだ。

 確かに坂本さんの「逸話」は社内で知れ渡ってるから気持ちは分かる。


 響子先輩や真生と久しぶりにランチを一緒に食べていると、やっぱり野村の話題になった。

「新しく出入するようになった営業の男の子、藤枝の同級生なんだって?」

「響子先輩・・・その質問今週入って耳にタコです」

「あらまあ。みんな目ざといわね~」

「同級生だからって親しいとは限らないのに・・・・」

 そういうと、私は課長に話したことを2人にも話した。

「董子が転じて“骨董”か。うまいわね~」けらけらと真生が笑う。響子先輩も隣で笑いをこらえている。

「真生、そこ感心しなくていいから」

「その藤枝の様子じゃ、宮本くんは何の心配もしてないでしょうね」

「そうですね。」

 なんか、2人の反応が課長と似ているのは気のせいだろうか。


 昼食を終えて、コンビニに寄るという響子先輩と別れた私たちは会社に戻った。そこで真生もATMに寄るというので、私は1人でエレベーターを待っていると、誰かが隣に立った。横を見ると野村で、向こうも私に気がつく。

「あれ、骨董じゃん。」

「野村・・・」

「お昼か?」

  エレベーターが開いて乗り込む。他に誰も来ずドアが閉まる。

「今戻ってきたところ。3課に用事?」

「そう。坂本さんと打合せなんだ」

「そう。」私は黙って、3課のあるフロアのボタンを押した。

「なあ、骨董」

「そのあだ名で呼ぶなって高校生のときに言ったと思うんだけど」

「そういえば怒られたよな。」

 何を思い出したのか、くくくと笑う。

「何笑ってんのよ。野村目当ての女の子に絡まれたり、先輩に誤解されたりで嫌だったんだから」

「それは悪かったって。でも今言うか」

「この間、あんたを見て思い出しちゃったのよ」

 私がそう言うと、野村は「なるほど」と言い、なんだか嬉しそうだ。そうだ、山下さんからコイツが来たら内線で教えろって言われたんだっけ。

「そういえば、野村ってもてるのね」

「は?何をいきなり。否定しないけど」

「そこは否定しなさいよ。野村のこと、あちこちで聞かれるのよ。よかったわね。」

「ふーん。そういえば骨董って独身?」

「独身だけど。それがどうしたのよ?」

「いや?俺も独身だし、彼女とは別れちゃったし」

「へー。それは残念だったわね」

「・・・なんか感情こもってねえな」

「こめる必要がないでしょうが」

 そんなやりとりをしているうちに、エレベーターは3課のある階に到着した。野村が「じゃあな」と言って3課に向かって歩いていく。

 そういえば、高校生の頃もこうやって話したことあったっけ・・・なぜか思い出してしまった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ