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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
月の影
35/73

3.

友達は一刀両断。の巻

-宮本くんは藤枝さんのどこに惹かれたのかしら。さっぱり分からないわ

 うん、確かにそれは謎だ。



「はあ?そんなこと言われたの?それで、藤枝はどう返事したの」

 響子先輩は芋焼酎水割りを飲み干した後、私のほうをじろりとみた。

「何も言えませんでした。だって、確かに川辺さんのほうが課長にお似合いだなあ・・・とか思ったら、そうだ、どうしてだろうってこっちが考えちゃって。」

「なにその後ろ向きな思考。もっと堂々としなさい。」

「でも董子らしいよね。」

 真生が冷酒をちびりとやりながら指摘する。

 響子先輩から「今週末は、ダンナが出張で息子が実家にお泊りだ!久々に飲むわよ!!」とメールが来て、久しぶりの女子会となった。

 そこでつい流れで川辺さんのことを話したらこの状況である。

「それにしても性格の悪いオンナだよね、そりゃ女子から敬遠されるって」

「そ、そうですかね」

 響子先輩、久しぶりだからってピッチ早い・・・次はしそ焼酎ですか。

「だってさ、藤枝じゃなくて宮本に言えばいーじゃん。友達でいれば側にいられるからって・・・・ドラマか。」

「 “私のほうがあなたよりずっと前から側にいるのよ”ってプンプン匂わせてるよね。董子、負けちゃだめだよ」

「負けちゃだめって、言われても・・・・川辺さん、美人でモデルみたいで、既に外見で負けてるんだけど・・・」

 自分で言ってて悲しくなってきた。すると響子先輩がなぜか立ち上がる。

「よし。私が宮本にひとこといってやる!!藤枝、宮本に電話だ!!」

「響子先輩!?」

「ガツンと言ってやったほうがいいですよね!さあ、董子、電話よ!!」

 真生は響子先輩に向かって拍手。

「2人とも落ち着こうよ~・・・ほら、冷める前に食べよう。」

「そうね。まずは食べるか」

「まずは」ってのが気になるけど、どうやら食べることに専念してくれるようだ。

 わたしはちょっとほっとした。



 居酒屋で3人分の料金を響子先輩が会計をしている間に課長に電話をする。

『董子、終わったの?』

「はい。今終わりました。それでこれから駅までええっ??」

『董子?おい、どうした?なんで秋山さん?』

「どうしたじゃないわよ、宮本くん。」

 いつのまにか会計を終えた響子先輩が脇にいたらしく、携帯電話は響子先輩の手にあった。

「響子先輩??」

「藤枝。やっぱり私は宮本くんにひとこと言いたいの。ちょっと借りるわよ」

 そういうと、私から離れて何事か話し出した。

「・・・・真生。響子先輩に携帯持ってかれちゃったよ」

「ん?あら~そうみたいね。次、私に代わってくれないかなあ」

「は?」

「私の大事な友達をモヤモヤさせた根本的原因には、ひとこと言ってやりたいわよねえ?」

 そう言った真生の顔は、実に黒い微笑みを浮かべていた。


 数分後、携帯電話を返してくれた響子先輩の顔が満足げだったので余計心配になってきた。

「響子先輩、課長に何言ったんですか?」

「うふふ。ひ・み・つ。」

 その後、どんなに聞いても響子先輩は教えてくれなかったけど、最寄り駅まで迎えに来てくれた課長の顔を見て、「ごめんなさい」と謝ってしまったのは言うまでもない。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


思うに一番酒癖が悪いのは響子さんです。

酒豪はおそらく真生ちゃんです。

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