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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
月の影
34/73

2.

冷めたカフェオレ。の巻

「藤枝さん」

 会社帰りに、私は川辺さんに声をかけられた。



「突然、声をかけてごめんなさい」

「いいえ」

 川辺さんに誘われて、近くのカフェに入る。

「あの、川辺さん。」

「宮本くんが部下と付き合ってるなんて思わなかった。今日は宮本くんとデートはしないの?」

「仕事が忙しいですから、いつも会ってるわけじゃないです。」

「私なら宮本くん相手ならいくらでも時間つくるけど、藤枝さんはあっさりしてるのね、それとも宮本くんをつかまえてるって自信かしら?」

「・・・・川辺さんは勤め先がこのあたりなんですか?」

「ううん。今日は藤枝さんとお話したくて、途中下車。」

「え?」

 私と話がしたいっていうけど、共通の話題といったら課長の話しかない。


「宮本くんとは学部は違うけど、サークルが一緒で気が合ったの。」

「そうなんですか。」

「松浦くんも一緒に3人でよく遊んだわ。おかげで、周囲の女子には妬まれちゃって。女友達どころかライバル視されてた。」

 思い出し笑いをする川辺さんのきれいにネイルが施されてる手が目に入って、私は思わず自分の手を隠してしまう。

 そんな私の様子が目に入ったのか、川辺さんはくすりと笑ってコーヒーを飲んだ。

「ねえ、宮本くんは相変わらずブラックコーヒーがすきなの?」

「え?・・・はい」

 どうして急に大学時代の話から、コーヒーの話になるんだ。意味は分からなくても、課長がブラックコーヒーがすきなのは本当だから、私はうなずいた。

「学生の頃、宮本くんの真似をしてブラックコーヒーを飲んだの。少しでも共通の話題がほしくて苦いの我慢して頑張ったのよ。藤枝さんはブラックコーヒーは飲まないの?」

「私は、苦手なんです。川辺さん、お話って和哉さんの学生の頃の話ですか?だったら今聞かなくても・・・」

 私は自分の代金をテーブルに置いた。そういう話なら、私とじゃなくて課長とすればいい・・・だけど課長が川辺さんと2人で会うのは嫌だけど。でももっと嫌なのは、自分の心の狭さを自覚してしまったことだ。

「待って。」

 川辺さんの口調が変わる。


「私ね、4年前に結婚したの。だけど半年前離婚したわ・・・原因は元夫の浮気だけど、私もいけなかった。だって、少し宮本くんに似てるところがあるから、当時付き合ってた元夫と結婚したんだもの」

「は?」

「学生の頃、宮本くんに“彼氏ができたら教えろよ。人となりを見てやる”って言われて、好きと言えなくなってしまった。友達なら、側にいられるって自分に言い聞かせて。」

 やっぱり、あの一瞬だけみせた表情は気のせいじゃなかった。目の前にいるのは、課長のことを好きな川辺さん。

 それにしても課長・・・知らなかったとはいえ残酷な一言だよなあ。でも、その話私に関係あるか?

「あの、それで私にどうしろと」

「宮本くんは藤枝さんのどこに惹かれたのかしら。さっぱり分からないわ。」

 川辺さんは、私をみて笑った。

 私は何も言えずに、目の前の冷めたカフェオレを飲んだ。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


こういう女の人、実際いたらすごいかも。

不快に思われた方がいらっしゃったら申し訳ありません。


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