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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
宮本和哉の予想外な週末
30/73

2.

珍客万来の土曜日-2

 部屋に2人だけになると、とたんに会話のネタがなくなる。

「信史、メシは食べたか?」

「パパとたべたよ」

「そうか・・・俺はメシがまだなんだ。スープくらい飲むか」

「うん、のむー」

 俺はパンを焼き、レトルトのミネストローネを入れたマグカップに熱湯を注いだ。

「おじちゃん、パンにバターぬってあげるー」

「お。ありがとう」

 トーストした食パンにバターナイフを使って楽しそうに塗り始めた。

「「いただきます」」

「信史。今日は天気がいいから動物園とか行くか?ちょっと歩くけど公園もあるぞ。このまま家で過ごしてもいいし」

「んとー、んとー」

「・・・まあ、ゆっくり考えてくれよ。」

 小さい頭で懸命に考えてる様子をみてるのは結構楽しい。俺は、子供の前で行儀悪いな~と思いつつ、新聞を開いて食べながら読み始めた。


 悩みに悩んだ信史が決めた行き先は動物園になった。うまい具合に座ることができ、動物の話になった。

「ぼくねー、ぞうがいちばんすきー。おじちゃんは?」

「そうだなあ、猿かな」

「どうして?」

「人間関係の縮図を見てるみたいでな~」

「にんげんかんけいのしゅくず?」

「んー、あと10年もすれば分かると思うぞ」

 どうやら、俺の回答は彼には難しかったようで「あとでパパにきくー」と言われてしまう。どうやら俺の言動は兄に筒抜けになってしまうようなので、ちょっと気をつけないとまずいか。

 動物園に行ったら、お昼は園内で食べて家に戻ってちょっと休憩してから、夕食は松浦の店だな。俺は自分の頭のなかでスケジュールをたてる。

 動物園は土曜日で天気がいいということで、家族連れでごった返していた。まずは象を見て、次はサル山。さらにはキリンやライオンに、子供動物園でヤギや羊などにもさわってみる。

 楽しそうな様子に連れてきて正解だったと思うが、それでもときおり親子連れを見て寂しそうな様子を見せる。

「信史、疲れたか?」

「ううん・・・」

「ゾウが見れてよかったな」

「うん・・・おじちゃん、ぼくゾウみれたから、もういいや」

「そうか。お昼を食べて家に帰るか」

「・・・うん」

 おとなしく家で過ごせばよかったかな・・・俺は信史に悪いことしたのかも。



 家に戻って休憩をとったあと、松浦の店に夕食を食べに行く。

「ミヤ、その男の子はお前の子供か」

「甥っ子だよ。兄さんの息子。」

「へー。こんにちは。お名前おしえてくれるかな?」

 松浦は信史の目線まで身をかがめた。

 知らない人に名前を教えてはいけないと言われているのだろう、俺をチラリと見る。

「このおじちゃんは、俺の友達でパパもよく知ってる人だから大丈夫だよ」そう言うと、信史はうなずいた。

 おじちゃんと言われた松浦は面食らったようだが、すぐに立ち直った。さすがだな。

「みやもとのぶふみ、4さいです」

「のぶふみくんか。よろしくな。うちのお子様ランチは美味しいぞ?」

「ほんと?」

「ほんとだよ。ほっぺが落ちちゃうくらいだぜ」

「うそだあ」

「和哉おじちゃんなんか、ほっぺた落としていつも拾って帰るんだぞ」

「ほんと?」

 そういうと、信史は俺の顔を真剣に見ている。

「松浦・・・・おまえ、どういうオチをつけるつもりだ」

「いや~、そこは“和哉おじちゃん”に任せるよ。」

 小声でやりとりしたあと、メニューを俺に渡して席から離れた。

「おじちゃんのほっぺ、ほんとにおちるの?」

「・・・・今日は落ちない日なんだ。残念だな」

 そうなんだ~、とつまらなそうな信史。松浦・・・覚えてろよ。



読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ちなみに私は、ありきたりですが動物園といえば

パンダです。

小さい頃は、よく見に行っておりました。

こどもパンダの可愛らしさはまさに「動くぬいぐるみ」!!

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