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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
お菓子と誘惑は甘いもの
22/73

2.

董子、ティラミスに釣られる。の巻

「お菓子作り教室に参加したんですか?」

「松浦に誘われてね。」

 私は課長の言葉に思わず目を見張ってしまった。イケメンのエリートに加えて料理男子要素ですか・・・どんだけ「モテモテ街道」を突っ走るんだろうか。

「董子、今ロクでもないこと考えてただろう」

「いえいえ、そんなことは・・・んっ」

 ありません、と言おうとしたときに唇がふさがれる。軽く触れていたはずのキスはいつのまにか深くなってきて、今いる場所を忘れそうになる・・・・だ、だめだめっ!!私があわてて課長の腕を叩くと、課長は残念そうに唇をはなした。

「か、課長!!こ、こんなところでっ」

「個室だから誰も見てないし、賑やかだから聞こえないよ。董子は巨峰の味がするな」

「そ、そりゃ巨峰サワー飲んでますしっ・・・って、そうじゃなくって」

 ここは居酒屋の個室(ソファ一つにテーブルのカップル用。)、人が歩く気配や騒ぐ物音はするけどのぞかれない作り。だけど、物事にはTPOがある!!今日は金曜日で、人が多いじゃないか!!だからってそれ以外ならOKって訳じゃないけどっ。

 私が課長に文句を言いかけたとき、店員さんが「失礼します」と入ってきて注文した料理を持ってきた。


 課長は焼酎水割り。私は巨峰サワー。料理は鶏肉とじゃがいものオーブン焼きに海藻と長いも、きゅうりの酢の物サラダ、揚げ焼きかぼちゃのマリネ。ここは料理が美味しくて、お酒の種類も多いため、課長と私がよく食事をする場所でもある。

「うまそうだな。食べよう」

「はい。いただきます」

 課長に文句も言いたいけどお腹もすいた。

「そ、それで課・・・宮本さん。お菓子作り教室で何を作ったんですか?」

「プリンとティラミス。どっちかでいいというから俺はティラミスにしてみた。」 

そう言って課長はスマホで記録したお菓子の画像を見せてくれた。

「うわー、美味しそうですね。宮本さん、上手ですね」

 すると課長が照れ笑いをして、頭をぽりぽりし始めた。

「董子は料理とかお菓子作りとかするの?」

「料理は簡単なものばかりです。お菓子作りは、実家にいた頃はたまに。」

「そっか。」

「宮本さんはもらうばっかりだったんじゃないんですか?」

「そういえばそうだな。ねえ、董子」

 否定しないのがなんか腹立つけど、この人今まで何度もモテ期があったんだろうな。私のモテ期なんてさ~・・・いつだった?

「はい?」


「明日、俺の部屋で過ごさないか?董子にこれ、作ってあげるよ」

「わー、ありがとうございます。行きます。」

 頭の中でしょうもないことを考えていたせいで「行きます」と答えてしまって、あっと思った・・・この間、課長が私を送ったときに言外に匂わせたのは。

 課長が私の顔に手を伸ばして髪の毛をさわってくる。びくっとしたのが分かったのか、課長は楽しそうに耳元に唇を寄せてきた。

「化粧品とか俺の部屋にもおいてね。着替えもだよ。まさか、俺の部屋に一度しか来ないつもりじゃないよね?」

 私を動揺させて楽しんでる。こういうこと、初めてじゃないのにどうしてこんなに落ち着かないの・・・。

 ああ、こうやって私、課長に・・・和哉さんの術中に、はまっていっちゃうんだ・・・。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


なんでティラミスかというと・・・

これを書いたとき、食べたかったんです。


それとネットで「ホワイトデーのお返し」を検索したときに

意外と簡単に作れるお菓子ということでティラミスが掲載されていまして、「お、これなら課長でも作れるのでは」と決めました。

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