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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
油断は不覚のもとい
19/73

4.

策士宮本。の巻

「私は今まで残業でね・・・あれ?藤枝。どうしてここに」

「・・・今日は同期会だったので」

 どうして課長がここに?私はただ驚いた。

「ああ、そうなのか。藤枝はこれから帰るのか?」

「は、はい。」

「そうか。確か藤枝は私と同じ沿線だったね。じゃあ、一緒に帰るか?」

「宮本課長、こんばんは」私が返事をする前に、真生がにこにこと課長に声をかける。

「中川さんも、そのまま帰るなら私たちと一緒に駅まで行くかい?」

「いいえ、私は・・・。そこのコーヒーショップで待ってるとメールがありましたから。課長、申し訳ないんですけど、董子をお願いできますか?」

 思わず真生を見ると、私にだけ聞こえるように「董子、内緒にしててごめんね。実は宮本課長に同期会が終わったら連絡するように頼まれてたんだ。課長は心配性だね」と言い、謝罪されてしまった。

 真生は頼まれただけだから、悪くない・・・悪いというか、策士なのは課長のほうだ。私が課長を睨みつけたって誰も責めたりしないと思う。

 課長は私の睨みなどにひるむわけはなく、涼しい顔をして「じゃあ藤枝、帰るか。山崎、またこっちに来たら3課に顔を出してくれよな。土産のモナカ美味しかったぞ」と言うと、私を促して歩き始めた。

「じゃ、じゃあ私はここで。山崎くん、またね?」

「・・・・あ、ああ。またな」

 私は、課長が待ってる場所まで歩いて行った。


「課、宮本さん・・・真生を巻き込まないでください。びっくりしました」

「俺がこんな夜遅くに、自分の彼女を一人で帰らせるとような男にみえるか?」

 夜遅くって・・・まだ8時です、課長。

「み、見えませんけどっ」

「そうだろ?同期会、楽しかったか?」

「あ、はい。本社にいるほとんどの同期が集まったんです。盛り上がりました」

「そうか、よかったな」

 そういうと、課長は私の手と自分の手を絡ませた。

「宮本さん?」

「誰も見てない。董子、明日のデートはどこに行きたい?」

「え。あ、あの明日は、その・・・・ちょっと部屋の掃除をしたいなー、なんて」

「じゃあ、午後から会わないか」

「はい。午後からなら」

 私がうなずくと、課長は「よかった」と笑った。


 結局、課長は私の住んでるマンションの前まで送ってくれた。

 ここはお茶でも出したほうがいいかな・・・そう思って、「課長。お茶を飲んでいきませんか?」と聞いてみる。

「いや。今日はいいよ」

「え。でも、わざわざ送っていただいたのに・・・」

「董子」

「はい?」

「俺は、部屋に入ったらお茶だけで帰るつもりはないよ?」

「えっ・・・・」

 言外に匂う意味に顔が熱くなる。そ、そういうつもりじゃないんだけど・・・そうなる?そうなるの?

 私がちょっとあたふたしてるのを見た課長はなんだか楽しそうだ。

「だから、今日はこのまま帰る。」

「は、はいっ。ありがとうございました・・・・」

 ふいに課長が私の腕を強く引き寄せた。ぎゅっとつかまえられ、動けなくなる。

「宮本さん?」

 顔を上げたら、課長の顔が近づいてきた。私は目を閉じた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


は~~~

ようやくR15に近づいてきましたよっ!!

次の章では、どうにかしたいものです。

次回は、いつもの課長視点のおまけです。

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