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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
為せば成る
14/73

4.

案ずるより産むが易し。の巻(その2)

「どこかでご飯食べるか。」

「そうですね」

 この公園の中には、そういう施設はない。私たちはメイン通りに出ることにした。


メイン通りの途中でベーカリーカフェがあったので、そこに入ることにする。焼きたてパンがいい匂いで、フルーツたっぷりのデザートもショーケースに並べられていた。

 私はスモークサーモンとアボカドのベーグルサンドとミネストローネにカフェオレ。課長はBLTサンドにオニオングラタンスープにコーヒー。

 お昼のピークが過ぎていたせいか、あまり待たずに奥の席に通される。

「このあと、どうする?」

「そうですね・・・メイン通りのお店を見てみたいです。でも、課長は疲れてますよね」

「大丈夫。」

「でも・・・」

「俺と一緒にいるのは嫌か?」

「い、嫌ではありません。でも女の人のショッピングに付き合うの嫌じゃないですか?」

 私の元彼は、私の買い物に付き合うのが面倒だったらしくいつも機嫌が悪くなっていた。

「なんとも思ってない相手だとうんざりするかもしれないけど、藤枝は違うだろ?」

 課長の返答に顔が熱くなってしまう。ごまかすように下を向くと、バッグからチョコとネクタイの入った箱を取り出した。

「課長、これ。チョコと・・・あの、チョコだけじゃどうかと思って」

「ありがとう。」

 透明のケースに金色のリボンをぐるっと結んだラッピングなので柄が見える状態になっている。

「へえ・・・俺が普段してるのとは違うね。」

「はい。その・・・課長に似合いそうだったから」

「ありがとう。使わせてもらうよ」

「あ、紙袋も持ってきましたから入れてください」

 私が手渡した紙袋にネクタイとチョコを入れた頃、注文したパンとスープを店員さんが持ってきてくれた。

 食事中、なんとなく会社でのバレンタインの話になる。

 13日はすごかった・・・・3課は朝からチョコレートの匂いがした。

「13日は課長、大変でしたね。朝から机の上に山でしたし、私が頼まれたのもありましたよね。高橋くんなんか“課長はあれを一人で食べてるのかなあ”なんて言ってました」

「一人では無理。中身だけ実家に送ることにしてる。母親が喜んでる。」

「あげた人、かわいそうに」

「お返しはきちんとあげてるから問題ない。藤枝のは当たり前だけど全部食べるよ」

明らかに高級チョコもあったけど、いいのかなあ。でも私が口出すことじゃないし・・・。


 食後に頼んだカフェオレとコーヒーが置かれた。

 うれしいことに、この店はカフェオレボウルでカフェオレが出てきた。白いボウルに青や黄色の花柄がかわいい。

「それカフェオレを入れる器なのか」

「カフェオレボウルって言うんですけど、カフェオレ以外にもスープいれたり、サラダを入れるのに使ってもいいんですよ。」

「へえ・・・」

 私が両手でボウルを持って飲むのが珍しいらしく、課長が見てる。

「あんまり見られると、飲みづらいんですけど」

「俺もカフェオレにすればよかった」

「今度、一緒に来ることがあったら注文してみたらどうですか?」

「え?」

「私、よく分からないうちに課長と付き合うことになって最初は困惑してたんですけど・・・その、課長のことをもっとよく知りたくなったんです。だから・・・」

 話してるうちに顔が赤くなってきて、課長の顔がまともに見られなくなってきてうつむいてしまう。

「藤枝。・・・・董子って呼んでもいい?」

 テーブルに置かれた私の手に課長の手が重なる。

「・・・・は、はい。課長」

「俺はいつまで“課長”なのかな」

「す、すみません。み、宮本さん」

「よそよそしいなあ・・・まあ、役職よりはマシか」

 そう言った課長の笑顔を見ていると、心の底から暖かさと恥ずかしさが入り混じった感情があふれてくる。私は、2年ぶりの恋に落ちた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


やっと董子も課長と付き合うことに前向きになったようです。

このあとは、二人のほのぼのカップルぶりを

書きたいんですけどね~・・・ネタの神、カモン!!

次回はおまけです。

課長視点ではありません。


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