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天使の前髪  作者: 春隣 豆吉
為せば成る
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2.

董子、豆鉄砲を食う。の巻

 金曜の夜、課長が出張先から戻ったと電話をかけてきた。

『藤枝、明日はどこに行きたい?』

『え。えーっと・・・』

 実のところ、何も考えてなかった。

『何も考えてなかった?』電話の向こうで課長が笑ってる。

 どう答えようかとアワアワする・・・そこでふと思いついた。

『課長。私、課長の住んでいる場所っていつも電車で通り過ぎるばかりで降りたことないんです。どんな感じなんですか?』

『うーん、仕事で遅くなるから、よく知らないんだよね』

『それなら、課長の住んでる町をぶらぶらしませんか?私、今住んでいる場所でもよく散歩するんですけど、結構楽しいですよ』

 引越しを考えると、私はその候補地周辺をぶらぶらするのが好きで、今住んでいる場所も駅の近くで遅くまで開いているスーパーと、反対側の改札口近くの惣菜の美味しい商店街が決めてだった。

 贅沢をいえば、紅茶とカフェオレの美味しいお店と、かわいい雑貨屋があれば言うことないんだけど。それはまた引越しした場所で探せばいい。

『散歩か。たまにはいいかもな』

 課長もなんだか楽しそうなので、待ち合わせを課長の最寄り駅前にして電話を切った。


 昨日の夜に悩んで決めた、カーキ色のフードつきモッズコートとニットチュニック、デニムパンツにフラットで歩きやすいショートブーツ、そしてブラウンの斜めがけバッグという格好で5分前に待ち合わせ場所に到着すると、そこには既に前にも見た黒のダウンとカーゴパンツという実にカジュアルな姿の課長が立っていた。

 そして眼鏡はネイビーのカジュアルなもの。やっぱりあの眼鏡は休日用らしい。

「すいません。遅くなりました」

 私が駆け寄って頭を下げると、課長は「俺が早く到着しすぎたんだ。藤枝、敬語を使うなと言っただろ?」とニヤリと笑った。

 はっ!そうだった!!私があわてて口を押さえるのを見た課長は「藤枝、おもしれー」となぜか笑っている。

「それで、藤枝としてはどのあたりを歩いてみたいんだ?」

「あ、はい。ざっと調べてきまし・・・調べてみたの。」

 今のはセーフだよね?思わず課長を見ると、「順応性があるな、藤枝」となぜかちょっとつまらなそうだ。

 私はスマホユーザーではないので、家のパソコンからプリントアウトしたものをバッグから取り出した。

「えっと、課長が住んでいるこの辺は、ちょっと歩きますけど大きな公園があるみたいですね。」

 私が紙を見せると、課長は紙を手に取った。

「いつも使ってる出口とは反対方向だな。そうだ、俺の住んでる場所も見る?」

「・・・・遠慮しときます。」

「ま、合意を取ったら連れて行くけどね」

「・・・・・あの、今日は公園に行ってみませんか。あのあたりは裏通りにいろいろなお店もあるみたいなんです。」

「ところで藤枝。また敬語使ってるんだけど?」

 課長はなぜか私をのぞきこむように顔を近づけて話しかけてくる。課長は私より頭一つ背が高いから、そんなしぐさをされると困ってしまう。

「き、急には無理です・・・・今まで、課長には敬語を使ってたのに、禁止って言われても」

「だって藤枝は、俺の彼女だろ?」

「へっ・・・そ、そのようです」

「なんだ、その回答は。・・・・しょうがないな。とりあえず、行くか」

 そういうと、課長はなぜか私の前に手を出した。

「はい、行きましょう・・・課長、どうしたんですか?あ、もしかしてチョコですか。すみません、気がつかなくて」バッグを開けて、中からチョコとネクタイを出そうとすると、課長が手をつかんで止めた。

「あのな、藤枝。チョコもほしいけど、それは今じゃなくていい。俺は、こうしたい。それから今から敬語禁止ね、言うとペナルティが増えるよ」

 そういうと、課長は私の手をとって“恋人つなぎ”をした。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!



課長は、董子をアワアワさせるのが好きです。

でも30代カップルに手をつながせる私って・・・

ドン引きしてしまいましたか?

ううう、ごめんなさ~い。小説なので許してください。

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