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ベニクラゲはループする  作者: アズキ


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3/9

3,見覚えのない場所

暗闇の中、今度は何も聞こえない。

もちろんのこと、何も見えやしなかった。


目が覚めた時、そこは見覚えが全くない場所。

周りを見ると、自分以外の2人がまだ眠っていた。

柴田は手で揺すってみるが、まだ起きる気配がない。


この場所はどこなのか?

ロッカーのようなものが沢山並べられた部屋のようだ。

どれか1つ扉を開けてみようかと思った時、高橋と水野が起きた。


「おい、大丈夫か?」


高橋「あぁ、でもここはなんなんだ?」


2人は辺りを見渡す。

電気がチカチカと点滅していて今にも消えて真っ暗になってしまいそうだった。


水野「ここは納骨堂のうこつどうよ。」


「納骨堂?」


水野「そう、色んな人の遺骨がしまわれている場所よ。」


高橋「なんでまたそんな場所に…

というか、どうやったんだ?

俺たちが眠って、3人を運んだとすれば目立つだろ?」


「分からない。業者みたいに大勢で運んだとか。」


根拠のない話だった。

実際、あの場に人は沢山通っていた。

自分たちが眠ってそれを運んでいたとするなら不自然極まりない。

それに、殺人現場である教室が誰かの手によって見つからないわけがなかった。

恐らくは既に警察が出動していると思う。


助けが来るのを待つのが最優先なのだろうか?

そうしている時、柴田のスマホが鳴る。

3人で1つのスマホを覗き込んでみた。


そこにはあの仮面の男が映っている。


「全員お目覚めのようですね。

君たちをここに連れてきたのには理由がある。

全員、私とあったことがあるんです。

今回は高橋蒼太がカギとなる。

この部屋の中からあの時の被害者の遺骨を探し出してください。」


高橋「あの時の…被害者…」


「ちょっと待て!何が目的なんだ!?」


「私の目的は、それであなたが私に到達することです。」


水野「見つけだせってこと?」


「その通りです。試練を乗り越えれば私が誰なのか分かる。

そして、遺骨を見つけられれば、扉が開き、そこに私がいます。捕まえてみてください。」


そこでスマホは真っ暗な画面になった。

3人は固まってしまう。

恐ろしい殺人鬼のゲームに巻き込まれてしまったということを理解したからである。


だが、グダグダしている暇もない。

一刻も早くこの部屋から遺骨を見つけなければいけない。

しかし、そのためには…


水野「高橋くん。仮面の男を見たことがあるんでしょ?教えて、被害者って誰なの?」


高橋「俺が高校生の時、仲のいい親友がいたんだ。」


高橋が話し始めたが、その顔は険しかった。

とても辛い記憶に違いなかったのだが、聞かない訳にもいかない。

今はここを抜けることが最優先。


高橋「で、ある日、学校で死体で発見された。」


「死体で?」


高橋「そうだ。そん時はびっくりして泣きじゃくったよ。で、窓から人影が見えて、見た時にあの仮面の男がいた。

警察に証言してみたんだけど、信じて貰えず。」


水野「どう処理されたの?」


「何者かに襲われたが、分からずに捜査は終わった。」


高橋「そうだ。」


柴田を急な目眩が襲い始める。

なぜだ、なぜだか分からないが、高橋が言った話の情景が嫌という程、頭の中で想像できた。

場面から何から何まで、そして仮面の男も。


教室の一部が血まみれになって、そこを取り囲む人々、そしてその最前線にいるのが高橋。

ここに来て相手の脳みそで考えていることを自分に投影することができる能力を手に入れたかのような感覚。

それぐらいハッキリ見えるのだ。


水野「柴田くん大丈夫?」


「あぁ、ちょっと目眩がしただけだよ。」


水野「その被害書の名前はなんて言うの?」


高橋「矢部大智やべたいちって名前だった。」


柴田の目眩が少し強くなる。

なんなんだこれはと思いつつも、柴田は立ち上がり、扉を開け始める。

遺骨の壺には名前が張り付けられており、一目で分かるようになっていた。


この膨大な数の中から矢部の遺骨を探さなければならないと考えると相当時間がかかってしまう。

しかし、いずれは見つけることができる。

途中で放棄しないことが大切なため、3人は手分けして探すことにした。


静寂に包まれていた部屋だが、扉を開ける音が響き始める。

開けるだけの作業ならそこまで難しくはないのだが、名前を確認しないといけないため、1つ1つ時間がかかるのだ。


お互いを見る余裕すらない。

早くもここから脱出したいという、その気持ちだけがあった。

柴田が扉を開けていると1つだけ違うものが入っていることに気がつく。


壺ではなくカードが入っており、何かが書いてある。


「おい、ちょっとこっちに来てくれ。」


高橋と水野が小走りで柴田の元に駆け寄ってくる。


高橋「なんだなんだ?どうした?」


「これが入ってた。」


水野「カード?」


「『2つで1つ』って書いてある。」


高橋「どういう意味だ?」


考えていた矢先、ガチャンという音が部屋に鳴り響いた。

3人はその方向を向く。

また電気が不安定になり、少し暗くなる。


3人が見つめた先にいたものは…

黒いオオカミだった。


3人は一気に棚の影に身を潜めた。

しかし、水野があることに気がつく。


水野「あのオオカミ、目と耳に傷があるよ。」


高橋「ほんとだ!」


高橋の声に反応してオオカミたちがこちらへ歩いてきた。

そこで3人は理解する。

オオカミは目と耳が使えない代わりに、音でこちらを判断しているということを。


そして、そのオオカミたちがいる中で遺骨を探さなくてはいけない。

見える限りでもオオカミは3匹。


3人は音を立てないように抜き足差し足でオオカミから距離を取る。

ひと塊だとやられる可能性が高いため、散ることにした。


しかし、問題が1つある。

扉を開ける際に音が出てしまう。

どうやって開けていけばいいのだろうか?

さっきのカードがヒントになれば…


途中で高橋と合流。


高橋「どうする?アイツらがいたら扉開けられないぞ。」


ヒソヒソ声ならギリギリ聞こえていないようだ。


「オオカミからできるだけ離れて扉を開ける。

それしかないだろ。」


高橋は理解して、その場を離れる。

オオカミは今、柴田とは対角線上にいるが、恐ろしくて扉を開けることができない。


ガチャ…


高橋が扉を1個開けたらしい。

その瞬間、高橋のいる方向にオオカミが一斉に走り出したのが分かった。


見えはしなかった。

しかし、音は聞こえた。

高橋の悲鳴、バキバキという骨を砕かれるような音。

柴田の鼓動は早くなる。


音を出してしまえば死ぬと、それが分かるとさらに動けなくなってしまう。


そんな時、反対側から水野が自分に向けてジェスチャーをしていることに気がついた。

指で1をして、その後2にしたのだ。

それはカードに書かれていたこと。

そして、次に両手で扉を開ける動作をした。


柴田はピンときた。

そうか、扉が2つのものが1つ混ざっている。

それを水野は見つけることができたのだろう。

しかし、開けてしまえば音を察知してオオカミにやられてしまうのだ。


振り返ると、そこには大きな扉がある。

恐らくはここが開くのだ。

水野の方をもう一度見ると、今度は口で「いくよ。」と伝えられた。


止めたくても声が出せない。

もう覚悟を決めるしかなかった。


ガチャっという音とともに、オオカミが水野の方向へと向かう。

それと同時に、柴田の近くの大扉が開く。

オオカミの1匹がそれに反応してこちらに走ってきた。


扉の先にはあの仮面の男が立っている。

オオカミに捕まる前に男を捕まえなくては。


柴田は駆け出し、男の目の前に行こうとした。

しかし、オオカミに足を噛まれその場に倒れてしまう。

そして、体を食いちぎられていく感覚とおぞましい音が頭に刻まれながら、意識を失い、暗闇の中へと引きずり込まれてしまった。

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