2,血の海
柴田は深い眠りの中で夢のようなものを見ている感覚だった。
視界は真っ暗でいかにも眠っているかのような感覚。
しかし、聞こえるのだ。
何か…悲鳴のような…とても恐ろしい音が。
目が覚めた時、異臭がした。
そして、足元を見た時、驚愕する。
教室は血の海と化し、見渡すと皆席に着いたまま無惨にも殺されてしたのだ。
柴田は椅子から飛び落ちてしまう。
その音で目を覚ました2人の人物がいた。
その2人も教室の光景に腰を抜かし、地面に座り込んでしまう。
目を覚ましたのは高橋と水野桜だ。
水野は柴田とたまに話す仲の女子だった。
話と言ってもお互いの好きなゲームやら漫画やらの話でちょっと盛り上がる程度。
仲が悪い訳ではなく、特別仲がいいという訳でもない中途半端な関係。
ボブの髪の毛に、長めのスカートを履いている。
起きた2人は驚愕している。
そして、柴田も生きているということに気がつく。
高橋「おい、なんだよ…これ。」
「そんなこと俺に言われたって、目が覚めたらこれだ…。」
水野「みんな…殺されちゃったの?」
水野は泣きそうな顔になっている。
教室が死体の山になるなんて思いもしていなかった。
それも少し違和感がある。
全員が席に着いている状態で死んでいること。
それにしては殺され方が残虐すぎること。
刃物で肉を抉られた形跡があるが、眠っている相手にすることとは思えないぐらい内部が露出しているのだ。
内蔵が飛び出てしまっているクラスメイトもいるほどだった。
首に傷があるもの。
刺された跡がくっきりと見える死体。
首と体がお別れしてしまいそうなもの。
腕が落とされてしまっているもの。
どれも、これも、残虐な殺され方をしているのだが、席に座り、体を机の上に乗っけている。
だれが何のためにこれを行ったのか分からない。
柴田はその光景を見て、激しい頭痛に襲われた。
気分が悪くなり、その場で嘔吐してしまう。
教室の外に、一瞬だけ仮面の男がいるように見えた。
まだすぐそこにいるかもしれない。
が、追うと危ないかもしれないと体が引き止める。
高橋「と、とりあえず先生を呼ぼう。あと、警察にも連絡しないと。」
言葉が上手く出ない時に高橋が先陣を切ってくれた。
しかし、そうも上手く行かないらしい。
高橋「なぁ、これ、スマホがダメみたいだ、クラゲがいるだけで押しても反応がない。」
柴田と水野は急いでスマホを見る。
確かに、スマホの画面にはベニクラゲが泳いでいる映像が映し出されていて、押してもなんも反応を示さない。
とにかく、この教室から出て先生に助けを求めることが最優先であろう。
教室の外に出て、校舎の中をくまなく探したのだが、先生を見つけることはできなかった。
というか、生徒すらいない。
仕方なく、校舎の外に出てみる。
普通に人も歩いていて、いつもと変わりのない光景が広がっているだけだ。
水野「とりあえず、近くの交番に行きましょ。
そうすれば、助けてもらえるよ。」
「ああ、そうだな。」
ドンッ!
柴田は急に後ろから歩いてきた人に突き飛ばされてしまった。
その場に倒れ、高橋と水野に心配される。
「どこ見て歩いてんだよ!」
少し怒りを覚えながら、叫んだが、ぶつかってきた人はこちらを振り返らなかった。
高橋「おお…急に怖くなった。
やめてくれよ、今あれを見たせいで怖いのに、柴田まで怖くなられちゃ困るぜ。」
「俺がいつ怖くなったんだよ。」
高橋「ほら、この前の解剖実習でも…」
水野「今はそんな話どうでもいいでしょ!
早く交番に行かないといけないのに何呑気に話してるの?」
急に我に帰らされたような気分になった。
人が大量に殺されていたのに何故こんなに冷静になれたのだろうか?
これまで体験したことのないこと、特に絶対に立ち会うと思っていなかったことが現実になった時、最初は焦るがアドレナリンのようなものが出てしまうのかもしれない。
「あの仮面…」
水野「仮面がどうしたの?」
「見たことがない訳じゃない気がするんだ…」
高橋「奇遇だな…俺もなんだよ。」
水野「実は…私も。」
3人は顔を見合わす。
3人が生かされた理由が何となく分かってきた。
全員があの仮面の男と出会っている可能性があるからだ。
それなら辻褄が合う。
どこで出会ったんだ?みたいな話をしながら交番ベニクラゲ行こうとした時、スマホが鳴る。
3人はスマホをそれぞれ見てしまう。
そこにはあの仮面の男が映っていて今度はフクロウを画面に映し出した。
その映像を見た3人はまた急な眠気に襲われてしまったのだ。
また暗闇の中で深い眠りにつく。




