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インフィヌート ~ダンジョンで倒れた冒険者を救う者の物語~  作者: コヨコヨ


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救助隊の仕事内容

「い、一撃。嘘でしょ……」


 フレアリザードの硬い鱗は剣や槍、弱い魔法の攻撃も弾く。ただの拳で真面なダメージを与えるのはほぼ不可能。

 それにもかかわらず、たった一撃でフレアリザードを討伐した。

 レオンは呆け、ピクリとも動かなくなった死体を眺める。


 ――『聖者の騎士』たちも安全に配慮して一時間三〇分近くかけて戦った。まだ、ボス部屋に入って五分も経っていない。となると、ヴィミの実力が冒険者パーティー四人分以上ということ。


 口をぽかんと開けている間にフレアリザードの体は赤い鱗と爪のドロップアイテムに変わった。


「まだ仕事は終わってないわよ」 


 ヴィミはドロップアイテムを拾ってウェストポーチにしまう。


「あ、あのフレアリザードを一撃で倒すなんて、凄すぎるよ」

「中層に行くとき、ボス部屋の魔物だけは戦わないといけないから他の魔物より戦い慣れているだけ。でも、レオンが囮になってくれたおかげで、多分最速で討伐できた。ありがとう」


 ヴィミは今日初めて笑顔を見せた。

 レオンは彼女のずっと歯の隙間にえのきが挟まったような、むすっとした怖い顔しか見ていなかった。そのため、女の子特有の愛くるしい笑顔を見て目をしばたたかせる。


 ――これがギャップ萌えというやつだろうか。


「私たちの仕事はここからが本番。と言っても、一三層だからすぐなんだけど、上層みたいにかっとばしていけないから、レオンはシーフの仕事をお願い。私は躱せない魔物を倒すから」


 攻撃はヴィミが、罠や魔物の探知はレオンがこなすと決める。


「シーフの仕事はやるけど、その前に救助隊の仕事の説明をもっとお願いできないかな?」

「もしかして、救助隊に助けてもらった覚えがない優秀な冒険者だったの? 一般人みたいに弱いのに?」


 ――お、覚えていたのか。


「まぁ、僕が優秀じゃなくて周りが優秀だったんだよ」

「そう、じゃあ、仕方がないから説明してあげるわ。感謝しなさい」


 ヴィミは耳を交互に上下させ腕を組む。そのまま歩きながら仕事の説明をはじめる。


「今回の仕事は救助隊ギルドで観測した『インフィヌート』内に落ちている救助カードを回収すること。それだけ。わかった?」


 あまりに早い説明の終了に、レオンは苦笑いする。

 ヴィミがウェストポーチから取り出したのは魔法陣が描かれた板。救助カードという、魔道具の一種だ。

 危険な魔物が現れ、死の危険がそこら中に潜んでいる『インフィヌート』に潜るさい、多くの冒険者が所持している。

 救助カードの効果は肉体の保持。

 人が死にかねない重症を負った時、即座に救助カードの中に体が入り、保管される。

 救助カード内は時が止まっており、数日間、命をつなぎとめる。


「その、救助カードって、ダンジョンの中でどうやって見つけるの?」

「感覚? 一三階にあるのはわかっているし、致命傷を負ったなら血のにおいがすることが多いから、意外にすぐわかるわよ」


 ヴィミは獣族特有の鼻の良さで、救助カードのありかを探る。


 ――もっとわかりやすく、地図に表示されてくれればいいのに。そもそも、中層になれば、血のにおいがそこら中からしそうなのに、嗅ぎわけられるのだろうか。


 レオンはヴィミがまた一人で行ってしまわないよう、さっさと仕事に取り掛かる。

 罠の位置や魔物の気配を探るのは二年間の冒険者活動によって洗練されており、中層でも問題なく通用した。

 魔物が通路を塞ぐように立っているのを発見。ヴィミに手信号で合図を送る。

 その瞬間に、彼女は魔物の背後を取り、腰に付けていた短剣で首を切り裂いた。

 あまりにも早い攻撃。どう見ても、生き物が身体能力でこなせる移動速度ではなかった。


「ヴィミの移動って何かのスキル?」

「【瞬歩】っていう《スキル》。Lv.2にあがった時に覚えたの」

「へ、へぇ……。Lv.2」


 年齢が同じでもレベルが一違うだけで、ここまで変わる。


 ヴィミは安全を確保すると、鼻をスンスンと鳴らす。鋭い勘と嗅覚を頼りに救助カードを探す。


 中層に潜って一五分。

 大量の矢が壁や地面に突き刺さっている通路に到着した。四枚の救助カードと武器や防具、硬貨が入った革袋、血痕などが散らばっている。


「安物の救助カードね。中層に入るなら、もう少し良い品にすればいいのに、他の道具がもったいない」


 レオンが四方八方から矢が飛び出す罠を解除した後、ヴィミは四枚の救助カードを拾い、落ちている品々を鋭い視線で睨む。


「レオンはなにか、欲しい品ある? お金は取ったけれど、他の品は持って帰るのが面倒だし、欲しいの選んでいいわよ」

「ヴィミは魔法の袋を持っていないの?」

「そんな高い品持っているわけないでしょ。他の人の道具なんて持って帰る義務もない。私たちは、これを回収しに来ただけなんだからね」


 ヴィミは瀕死の人間が入っている四枚の救助カードを前に突き出し、すぐにウェストポーチにしまった。


 四人分の荷物は量が多い。すべて持って帰るのは難しい。


「落ちている品って、拾ったら返さないといけないの?」

「ううん、ドロップアイテムと同じ扱いだから、拾った者が貰える。何か欲しい品でもあった?」


 レオンは回復薬(ポーション)が入ったウェストポーチを拾った。

 中級のポーションが十本以上残っている。売ればそこそこの値段になる。


「な、なんか、泥棒や盗賊みたいなんだけど……」

「気にしないで。今回は、私たちが早く見つけただけ。下に行けば行くほど、こういうおこぼれが増えるわ。だから、レオンも仕事に早く慣れて」

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