冒険者をパーティーを抜ける
レオンは戦う仲間に近づけず、無傷のまま立ち尽くす。
――僕がLv.1で弱いから。皆が危険にさらされてしまう。
「もう、僕は皆の役に立てない……」
戦いから一時間半が過ぎた頃、ノーリスの剣とリンの魔法攻撃、カリーの盾士としての援助、ダルシーの回復係としての支援、そのすべてが組み合わさり、フレアリザードは討伐された。
レオンは戦いに参加できないまま、冒険者パーティー『聖者の騎士』としての勝利を掴む。
ノーリス、リン、カリー、ダルシーの四名が勝利に打ち震え、手を叩き合う。そのなか、レオンだけは手を強く握りしめたままだった。
☆☆☆☆
ダンジョンのフロアボスであるフレアリザードの討伐から、地上に戻ってきた頃。
幼さの残る顔立ちが目立つレオン・ワーノックは冒険者ギルド内に作られた食堂のテーブル席にいた。
丸テーブルの周りで互いに顔を見合わせるように、今年で一七歳になった同い年の四名の仲間が座っている。
「僕は『聖者の騎士』を抜ける。本当に、ごめん」
レオンは仲間の前で歯を食いしばる。その後、丸テーブルに置かれたコップ内の水に顔が映るほど、頭を深く下げた。肩の力が抜ける。
皆、声が出ない。目を見開き、ただレオンを見つめた。
「ちょ、何でそうなるのよ」
「僕のレベルが低いせいで、皆の足を引っ張ってしまうから……」
「レオンはレベルのことなんて、気にしなくてもいいじゃない」
「一三層からはダンジョンの顔が変わるってドリミアさんに言われたでしょ。僕がいたら、皆の足手まといになる。今回も僕が弱いから、リンを危険にさらしてしまった」
『レオンくんは二年以上も冒険者として働いているのに、まだLv.1なんだって?
他の仲間はみんなLv.2になったのに?
このままじゃ、仲間に迷惑を掛けてしまうよ。
それじゃあ、君や仲間のためにもならない。すこし、自分と皆の将来を考えた方がいいんじゃないかな?』とLv.6の上級冒険者ドリミアに言われていた。
レベルが1違うだけで、力の差が明らかに大きくなる。周知の事実だ。
「レオン、本当にそれでいいのか? 後悔しないのか?」
新人冒険者ばかりが集り、二年で優秀な冒険者パーティーと評されるようになった『聖者の騎士』。
そのリーダー、ノーリス・エッカートはゴツゴツしい腕を胸の前で組あわせながら燃えるような赤い瞳をレオンに向ける。
多くは語らない。
まだ成人して二年しかたっていないにも拘わらず、眼力だけで鼠を射殺す威圧感があった。
「ずっと考えていたんだ。今の僕がどれだけ急いでも、Lv.2に上がるのは何年も先になってしまう。皆は、もう初心者を抜け出したんだ。これからもっと強くなっていく。このままじゃ、僕は皆についていけない……」
レオンは長袖で流れ出る涙をぬぐう。
だが、シーフとして仲間の安全を守るため、本音をリーダーのノーリスにぶつけた。
「俺は、お前がLv.2になるまで待ってもいいと思っている。三人もそうだろう?」
「ああ、レオンは俺たちのパーティーに欠かせない人材だ。ちょっと、俺たちに気を使い過ぎなんじゃないか?」
「そうよ、レオンは今のままで十分よ。それに、今レオンが抜けたらシーフの役割を誰が担うっていうの?」
「中層からは、レオンさんの力がもっと生きてくるはずです。確かに、足手まといになる可能性もありますけど、それ以上に信頼できるシーフの役割は重要だと思います」
仲間の優しさが焼き鏝のように胸に押し付けられる。そのたび、レオンの息が詰まる。
――皆、ありがとう。それでも、優秀な者は周りを置き去りにしてでも成長するべきだ。僕がいないほうが皆のためになるはずだ。
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