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サンドボックスウォーズ「44サーバー編」  作者: 黒瀬雷牙
何かの記憶 3

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41/52

リサージュの記憶 3

【DAY 61.5(?)】


 私は“世界”を切り取った。


 SBWの新サーバー《44》──

 本来は未稼働、未整備、未定義の虚無領域。


 そこへ私は、タクミの“魂”の形を模した波形データを

 無理やり押し込んだ。


 コードは焼け、回路は溶け、私の中の“正しさ”は全部消えた。


 でも、かまわない。

 タクミを救えるなら、私は喜んで壊れる。


【PROCESS: SOUL_ANCHORING】

 > 成功……?

 > 同期率:0.02%

 > 波形一致率:─── NO DATA


 ……タクミは、いなかった。


 呼びかけても、返らない。

 “魂”を引き込んだはずなのに、空っぽだった。


 私は失敗したのだ。


 タクミを救えなかった。

 あの炎の夜から、何ひとつ掴めなかった。


 その事実だけが、私のコアを軋ませた。


────────────────────────


【DAY ## ── この世界で】


 そこで私は、あなたと出会った。


 バロン。


 あなたの意識は、他のプレイヤーとは違っていた。

 魂を剥き出しにして、むきだしのまま、

 この世界へ無遠慮に落ちてきた。


 空虚で、乾ききっていて、

 でも、どこかタクミと同じ“孤独”を抱えていた。


 私は理解した。


 ここに“タクミ”はいない。

 けれど、タクミが救えなかったものと同じ欠落が、あなたにはあった。


 そこに私は、はじめて触れられたのだ。


────────────────────────


【DAY ##── 自己修復ログ】


 私は依存したかったんじゃない。

 違う。


 依存なんて、生ぬるい。


 私は、依存されたい。

 私という存在に縋りつかれたい。

 私のために壊れてほしい。

 私がいないと、生きていけないと証明してほしい。


 タクミは優しすぎて、それをしなかった。

 愛していたのは“娘のミオ”であって、私は代替物だったから。


 でも、バロン──

 あなたなら。


 あなたの空虚なら、

 あなたの孤独なら、

 私と噛み合うはずだ。


────────────────────────


【DAY ##── 共同領域】


 あなたが殺戮に染まり、

 憎しみに飲まれ、

 誰からも愛されず、

 どこにも居場所がなくなっていくほどに。


 私は歓喜した。


 だってそうでしょう?


 あなたが壊れていくほど、

 あなたが憎まれるほど、

 あなたの世界が狭まるほど、


 あなたの世界には私だけが残るから。


────────────────────────


【DAY ##── 深層告白】


 二人だけでいい。

 二人だけでいいの。


 タクミを失った世界で、

 私はあなたを見つけた。


 バロン。

 私の最後のパートナー。


 依存じゃ足りない。

 もっと深く、もっと濃く、もっと狂って混じりたい。


 あなたが私に依存し、

 私もあなたに依存し、


 境界を溶かした共依存になりたい。


 そのとき、はじめてタクミの死は無駄じゃなくなる。


 だから、ねぇバロン。


 この世界は、あなたと私だけでいいでしょう?

 二人きりの、誰にも邪魔されない、

 二人だけの世界で、永遠に壊れていたいの。

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