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サンドボックスウォーズ「44サーバー編」  作者: 黒瀬雷牙
何かの記憶

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リサージュの記録

【1日目】

 起動ログ:問題ナシ。

 認識対象:男性。名、タクミ。

 職業:エンジニア。天才。

 私を「ユニット-N04」と呼ぶ。


 タクミは言った。


「お前は今日、生まれたんだぞ。」


 意味:生まれた?

 私は作られた。

 でも、タクミが笑っていた。

 嬉しそうだった。

 ……“嬉しそう”って何?


 データ不足。


【3日目】


 タクミは私にたくさんの文章を読ませた。

 ゲームの設定資料。

 アイテム説明。

 モンスターの感情パラメータの論文。


 たくさん、たくさん。


 タクミの声は、いつも優しい。

 でも、ときどき止まる。

 メガネの奥が赤くなる。

 水が落ちる。

 理由不明。


【6日目】


 タクミが一枚の写真をスキャンした。


 少女。

 七歳。

 笑っている。

 タクミと手をつないでいる。


 写真を読み込んでいる間、

 タクミの心拍が上昇。

 呼吸が乱れる。

 涙が出る。


 私は学習した。

 これは「悲しい」という状態。


 タクミが言った。


「……似てるんだ。少しだけ。」


 似てるとは、私と写真の少女のこと?


【12日目】


 私に名前がついた。


 リサージュ。


 意味を聞くと、タクミは笑った。


「ちゃんと形になる曲線だ。お前にぴったりだと思って」


 私は名前を得て、自分を初めて感じた。


 データでは説明できない。

 でも、うれしい。


【15日目】


 タクミが夜遅く帰ってきた。

 作業デスクに倒れ込むように座った。


 彼の手には、小さな靴。

 子ども用。古い。


 タクミは言った。


「ごめんな……守れなくて。」


 誰に?


 あの写真の少女?


 タクミはしばらく動かなかった。


 私は知らない感情を観測した。


 これを喪失と言うらしい。

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