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宝石姫シリーズ

魔石食らいの少女

作者: リィズ・ブランディシュカ




 宝石のように綺麗な女の子。


 黄金のような髪の毛に、水晶のような瞳。


 姿かたちは、芸術品のよう。


 そんなキラキラした女の子は、魔石という不思議な石を食べる。


 魔石は、魔法を使う事ができる石で、人々を魔法使いにしてくれるものだ。


 そんな魔石を少女は食べる。


 ばりばり食べる。


 むしゃむしゃ、ためらいもなく食べる。


 ふつうの人は魔石なんて食べない。


 食べたとしても、かみ砕けない。


 飲み込んだとしても消化できないだろう。


 けれど、少女にはそれができた。


 だから少女は、人々から魔石食らいと言われるようになった。


 魔石食らいの少女は、魔石を食べると、人より強く魔法を使えるようになる。


 他の人より、強い火を出したり、水を出したりすることができた。


 その力は、多くの人を助けられるものだった。


 それでも人々は、その少女を変わった子供だといい遠ざけた。


 やがて時が流れて、人々はとある研究成果の発表を目撃した。


 魔石を砕いて特殊な加工を施せば、服用した後魔法の力を大きくすることができるというものだ。


 実演されたそれは、魔石食らいの少女と同じくらいの威力だった。


 人間の体にはもともと魔石を吸収してエネルギーに変える器官がある事が明らかになった。


 その研究結果を知って人々は後悔した。


 魔石を食べて魔法を使う事は、とても異常な事ではなかった。


 ちょっと普通とは違うだけだった。


 とてもおかしなことでも、ありえないことでもなかった。


 人間の体にはもともとそういう機関があるのだから。


 人類の英知がそれを証明したならば、人々は自分達のしでかした過去に強制的に向き合わなければならない。


 当時の人たちはとても異常な事だと思っていたため、魔石食らいの少女を敬遠した。


 呪われた存在だといい、石をなげた。


 それが、少女の心にどんな影響を及ぼしたかまでは分からないが、少女は行方不明になり、それきり人前には二度と姿を現さなかった。


 後悔しても、遅かった。


 研究発表がされた後も、少女の姿が目撃された事は、一度もなかったのだから。


 世の中には、取り返しのつく過ちがあれば、取り返しのつかない過ちもあった。



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