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第11話 それゴーレムなんですか?

「エクスさん! あれ!」


「ああ、見ている。牛の身体は本体ではないのだな」


「そんなさらっと! ひゃっ!」


 俺はその場から跳び退り、マックスの攻撃を回避する。


「…………」


 マックスたちは全員俺に向かって攻撃してきた。

 ただ、魔法を放つことはできないのか、魔法使いと聖職者は手に持った杖を振りかぶっている。


 そっちは無視をしてもいいが、他3人の動きはかなりいい。

 迫ってくる速度もなかなかのものだ。


「…………」


「グゴオオオオオオオオ!!!」


 しかも、ちゃんと周囲にいる魔獣も俺たちだけに狙いを定め襲い掛かってくる。

 というか、操られている者同士は連携していた。

 こんな時は……まずは剣をしまい、右手を開ける。


「まずは……これを使うか」


 俺はマジックバッグの中からサンドリザードの魔石を取り出す。


「『設計図(ブループリント)』」


「エクスさん!? この状況で何を!?」


「ゴーレムを造る。胞子を焼いておいてくれ」


「わ、分かりました!」


 シーナが周囲を炎で燃やしている間、俺は新しいゴーレムを造る。


 まずはこの状況を……敵の増援を止めることが必要だろう。

 効果は……巨大化と頑丈だけでいいか。

 サンドリザードの魔石はCランク。

 俺であれば6個能力が付与できる。

 ただし、同じ能力を付与することもできて、そうするとその能力はより強化される。


 俺はマジックバッグからサンドリザードの魔石を取り出し、能力を付与する。

 付与する能力は巨大×4と頑丈×2。

 形はシンプルな物だから製造に時間はかからない!


「『土人形製造(クリエイトゴーレム)』!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「な、なんですかこれぇ!? 地震!?」


「いや、俺がゴーレムを造っただけだ」


 俺はその間警戒のためにブルームバイソンを見ると、奴は想像以上に焦って地団駄していた。


 でも、俺のゴーレムを壊せる攻撃力はなさそうだ。

 俺たちの周囲100mを高さ50mはあるゴーレムの壁が塞ぐ。

 天井は空いているが、操られている飛行系の魔獣はいなかったので問題ないだろう。

 こうしないと明かりがなくて見えないし。


「こ、こんなでたらめな壁ってゴーレムなんですか……」


「核があればゴーレムだ」


「すごい……」


「よし、では次だな」


 このゴーレムを造っている間にも敵は寄ってくる。

 なので、その敵に対処する。


「使うのはこれだな」


 さっきから倒して拾い集めたトレントの魔石。

 本当はサンダーホーンラビットの方がいいのかもしれないが、はぎとる時間はなかったため仕方ない。


 俺は再び『設計図(ブループリント)』を使い、拘束用のゴーレムを造る。

 ただ、今回トレントの魔石を使ったので、できるだけ頑丈にしてだ。

 そして、今回の拘束する部分は木で作ってある。

 こうすることによって、核に使った魔石の能力ボーナスとでも言うべき効果が追加で得られるのだ。


「『土人形製造(クリエイトゴーレム)』!」


「これ……なんですか?」


「5人同時に拘束しようと思ってな」


「悲しい花みたいです……」


 そう言われるのも無理はない形状。

 真ん中に1本の土の円柱があり、天辺に拘束用の木の輪っかが5つついている代物。

 頑丈さを考慮して、移動させるつもりもないとなればこれでいい。


「さっさと捕まえていく。胞子は任せたぞ?」


「あ、はい!」


 ちょっと勢いの落ちていたシーナの魔法に気づいてもらい、俺はマックスたちを拘束していく。

 マックス相手に魔法を使われても問題はなかった。

 なのに魔法も使えない奴ら、ただ身体が動くだけの奴らの拘束は簡単だ。


 3分もかからずに全員の拘束が終わる。


 その途中にも、残りの魔獣は全て殺しておいた。


「さて、後はお前だけだな? ブルームバイソン」


「グモォォォォォ」


 奴はいらだった表情をしているが、逃げるつもりはないようだった。

 その場から動かず、じっと俺を睨みつけている。


「逃げる敵を斬る趣味はないから助かる。さっさと終わらせるとしよう」


 俺は右手に剣を持ち、奴に向かって突撃する。


 奴は待ち受けるかのように少し前かがみになった。

 その瞬間、俺の足元で何かが(うごめ)いた。


 ドシュドシュ!!!


 奴が操っているツタが地面から俺を目掛けて10本ほど向かってきた。


「読めていないと思ったか?」


 俺は持っている剣で全てを斬っていく。


「読めていたんですか?」


「ツタで身体を作ってあれだけ自在に操れるやつが、地面から攻撃してこれない訳がないと思っていたさ」


「流石です……」


 まぁ、日本で多くのアニメや漫画、ラノベを読んできた俺だ。

 たいていの攻撃は考えていると言ってもいいだろう。


 そのまま奴に向かって突っ込む。


「グモォォ……」


 奴は驚き目を見開き自身の身体のツタと周囲の地面からツタをこれでもかと出す。

 そして、それらを全て俺に向けて伸ばす。


「舐められたもんだな。その程度の攻撃は効かないし、シーナ」


「はい! 『炎の柱(フレイムピラー)』!」


 全てを俺に向けた所で、シーナがブルームバイソンの真下に魔法を放つ。


「グモオオオオオオオオオオオ!!!???」


 奴がたたらを踏みながら下がっていく。

 その時に足の裏からもツタが地面に伸びていたのを確認する。

 なるほど、それを伸ばしてこちらを攻撃していたのか。


 俺はそれでも向かってくるツタを斬り飛ばし、奴に肉薄する。


「グモォ!?」


 俺はそのまま奴の首をスルーして、背中に載っている花を根本から斬り飛ばした。


「グモオオオオオオオオオ!!??」


 奴は悲鳴を上げて倒れる。


「やりました! 流石エクスさっんっ!?」


 俺はそこから加速し、奴から距離を取る。


 次の瞬間には、俺たちがいた一体全てを埋め尽くすかのように、胞子がまき散らされた。


「そんな……倒したんじゃ……」


「シーナ。敵を舐めるんじゃない。魔石を取り出すまで戦闘が終わったと思うな」


 ゲ〇ョスもちゃんと重要な素材がはぎ取れるまで。

 そして、クエスト終了が出るまで安心してはいけないのだ。


 その証拠に、奴はよどんだ目をこちらの方に向けていた。

 目には力があり、生きているとはっきりとわかる。


「それなら……どうやって勝てば……」


「安心しろ。無敵の存在はいない。国が滅ぼされかけたと言っても、どこかで狩られたんだろう? なら、攻略法が必ずある」


 俺はそう言って、シーナを安心させつつ、どうやってこの魔獣を狩るかについて思考を巡らせる。


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