表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.301~】

始まりは唐突に 【月夜譚No.333】

作者: 夏月七葉

 どうやら迷子になったようだ。右を見ても左を見ても、見覚えのない道が続いている。

 何処をどう歩いてきたのか、記憶がない。――というより、はっと気づいた時にはここに立っていた。

 青年は腕を組みうーんと考えるが、つい数分前までの自分の行動も思い出せない。

 ひとまず現在地を把握しなければなるまいと、丁度前を通りかかった女性に声をかけた。

「あの、すみません」

「……何ですか、貴方」

 不審に思ったのか、女性は不躾に青年を睨み「変な恰好」と呟くとさっさと行ってしまった。

 自分の身体を見下ろしてみるが、変なところはないように思う。普通のパーカーだ。

 そこではたと思い至る。今の女性が着ていた服は、民族衣装のようなドレスだった。それに、周囲に建っている建物は日本ではあまり見ない石造りだ。まるで、テーマパークか海外にでも来てしまったかのような雰囲気である。

 益々疑問に思って立ち尽くしていると、道の向こうから物凄い勢いで体躯の良い男が走ってきた。

「おーい! ああ、良かった。召喚した座標を間違えたから、迎えに来るのが遅くなってすまない」

 そして、青年が言葉を返す間もなく、肩に担がれる。

「え、あ、ちょっと……!」

「急いで戻るから、舌を噛まないようにちゃんと口を閉じていろよ」

 爆速で流れていく見たことのない景色に酔いながら、青年はこれから一体どうなるのだろうと思いを巡らせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ