ようこそ!死後の世界へ!
死後の世界編がいよいよ始まります。
「あやめは、まだ何も仕事内容わかってないよね。」
「魂の選抜をすることしか覚えてない。」
あやめは、ぶっきらぼうに言った。
救える命であっても、魂がもう既に清らかだからと救わないというのはとても辛い仕事だし、本当にやりたくない。
でも、そんなことを明るい魂に伝えてしまったら、いずれ体を乗っ取られてしまうだろう。
面倒なことに巻き込まれてしまった。もう、私はこの指令に従って生きることしかできないのか。
体を乗っ取られてしまうかもしれないという恐怖、まだ生きることのできる肉体を自らの手で死に導く畏怖、様々な負の感情に苛まれて、あやめはどんよりしていた。
「まあ、大丈夫よ。最初のうちは、明るい魂があやめの心に囁いて教えてあげるから。それよりも、今はせっかく死後の世界にいるんだから、ここの勝手を教えていくわ。」
あやめは、怖くて頷くことしかできなかった。
明るい魂についていくと、暗かったのが急に明るくなり、三つの扉が見えてきた。
「左の青い扉は、ヤオヨロズに会う時に使うの。真ん中の黄色い扉は、シキネに会う時につかうわ。右の赤い扉は、四十九日にまだ至らない魂が彷徨っている場所だから、こちらへ来たばかりの魂と話す時に使うわ。」
明るい魂は、淡々と話す。
「さちおばあちゃん、赤の扉の横に古びた木製の扉が見えるんだけど、これは何?」
「あやめ、いいかい。私は最早さちおばあちゃんじゃないの。明るい魂と一体化してるの。だから、これからはフジと呼びなさい。あと、あの扉は絶対開けてはならないわ。魂の脱走が起こったヤオヨロズ事変の原因になった、と言われる邪気が溜まった池に繋がる扉よ。」
「うん。わかったよ。フジ。」
フジの声は完全にさちおばあちゃんだから、フジと呼ぶのは違和感しかない。
「じゃあ、まず青の扉から行こうか。ヤオヨロズに挨拶しに行こう。」
フジが青の扉を開くと、不思議な光が2人を包んだ。それは、シキネの光輝く色と同じであった。