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意識を取り戻したあやめ。どうやら死後の世界での出来事を全く覚えていないようだ。

 あやめの家族は、涙を流しながら病室に入ってきた。医師も嬉しそうにあやめの方へ向かう。

 「あやめ!本当に、よかっ、た。」

 母親は泣き崩れた。

 「あやめさん。本当に奇跡的な回復です。まだ油断はできないけれど、これからリハビリとか頑張って元の生活に戻りましょう。」

 医師は、自分の治療が功を奏したと思っているのだろうか、自信満々な様子であった。

 「あやめさん、あなたの症例を論文に記してもよろしいですか。」

 医学の発展に寄与できるなら、私の症例をどんどん発表してほしい。あやめは心からそう思った。

 「だめ!嫌だ!」

 あやめの口から出た言葉はこれだった。是非とも使ってほしいのに。どうしてこんなことを言ってしまったのだろう。全く意図してない。

 しかも、言葉遣いが最悪。せっかく現役の医師と話せているのに、どうしてこんな言葉を…?

 本当に疑問でしかなかった。

 医師は、驚いた顔をしている。きっとあやめが急に大声をあげて、拒否してしまったから思っていた反応と違くてびっくりしたのであろう。

 「ごめんなさい。そんなつもりは…本当は…」

 是非論文に載せて欲しいです、と言おうとした瞬間に、頭の中に大きな誰かの声が聞こえてきた。

 「だ!か!ら!だ!め!だ!」

 これが後遺症というものだろうか。思わず耳を塞いでうずくまった。頭が痛い。

 「中峰さん?大丈夫ですか?中峰さん?」

 心配そうに医師が覗き込む。

 「頭の中に直接…」

 声がするんです、と言いたかったのに

 「も!う!な!に!も!は!な!す!な!」

 とまた、大きな声がして辛かったので、さらにうずくまった。

 「中峰さん!中峰さん?」

 医師がさらに覗き込む。

 でも、これ以上声が出せなくなった。口が開かない。医師は私の様子を見て、処置を始めた。薬が入るとだんだん眠くなってきた。



 「あやめ、あやめ、聞こえる?おばあちゃんだよ。」

 あれ、さちおばあちゃん、死んじゃったんじゃなかったっけ。

 フッと目を開けると、シキネに似た姿の物が目の前にいる。

 「あれ、おばあちゃん。どうしてここにいるの?」

 「覚えてないの?私はあやめに明るい魂を継承したはずよ。」

 そういえば、長い長い夢を見ていたような。なんだったっけ。

 「なんか夢でも見てたっけ。」

 「あやめは魂の選別のお仕事をするんだよ?覚えてない?」

 衝撃的な内容だった気がする。なんだろう?そうだ。思い出した。私は、やりたくもないことをこれからの人生で強制的にやらされるのだ。

また、あやめは意識を失ってしまう…!

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