継承
いよいよ継承編です!
シキネが慌てた様子でいる。
「あやめさん、さちさん、もうすぐ四十九日だ。早く継承の儀式を行わないと。」
「あやめ、もっと話すことはたくさんあるけど、基本は明るい魂が教えてくれるから。大丈夫。」
まだまだこれからどうしたらいいか、よくわからないのに。私はどうなってしまうのだろう。あやめは、不安で仕方なくて泣きそうになっていた。
「明るい魂は、あやめの魂と共存して、全てを教えてくれるよ。おばあちゃんの心は明るい魂に託した。何も心配することはないの。さあ、儀式を始めよう。」
シキネは鈴のようなものを取り出し、あやめに向かってそれを振る。
随分、テキトーすぎないか。あ、だんだん眠くなってきた。おばあちゃんにお別れを言わなきゃ。………
あやめは、目を覚ました。
そこには、真っ白な天井があった。
横を見ると、看護師さんがいる。どうやら病院にいるようだ。
急に息が苦しくなる。ゴホゴホッと苦しく咳をすると、看護師さんが慌てた様子でこちらは向かってくる。
「中峰さん!中峰さん!わ!か!り!ま!す!か!」
呼吸が苦しくて、声を出せない。仕方なく首を縦に振ると、頭が割れるように痛い。叫びたいほどである。
「今、お口の管取りますからね!」
なるほど。確かによく見ると、私の方には管が入っている。人工呼吸器か。それで苦しかったのね。早くとって、とって!
看護師は、慣れた手つきで管を取っていく。
スッキリ!と思ったのも束の間、痰が喉に押し寄せて吐きそうになって咳き込んだ。
「ぐはっ、う、う。」
しばらく咳き込むと、呼吸が楽になった。何があったのだろうか。
「中峰さん、ご自分のお名前言えますか?」
「中峰あやめです。」
「中峰さん、何があったか覚えてますか?」
「おばあちゃんが危篤で、死に際に会いに行った時に母親の悲痛な声が聞こえて、そのあとは…覚えてないです。」
看護師は、あやめが倒れてから今日に至るまでの経緯を話した。
あやめは脳出血で倒れて、意識不明の状態が49日間続いていたとのことだった。若い年代で発症するのは珍しいらしい。そして、意識が戻ったのも、ほとんど障害が残っていないことも、奇跡だということだった。
まさか、自分がこんな病気をするとは思わなかった。辛すぎる。
入院しているから、入学式にも出られないし、大学生活が不安でしかない。しかも、再発のリスクもある。自分が患者を診るのではなくて、自分が診られる側になってしまった。
それに、頭が片割れそうなレベルで痛い。このままでは普通の生活など送れない。
たくさんの不安が頭をよぎる中、あやめの病室に医師とあやめの家族が入ってきた。
乱暴な継承となってしまったあやめ。かなり無知であるのに、これから仕事をすることはできるのか…?!