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あやめはどこへ?

初めて書いた小説です。読みづらいのはご了承ください。

 今日も命は続いていく。誰かの善意で成り立つ命の数々。曖昧さと悪意の交差するこの世の中で、唯一正確性と善意が成り立っているのが医療の世界だ。


 「今日も頑張ったなぁ」

 中峰あやめは、一日の疲れを噛み締めるように歯を食いしばり大きな欠伸をした。あやめは、医学部に行くために塾に通っている。


 中峰家は埼玉で大病院を経営していて、あやめは4代目院長になるべく、祖父や父に医師になることを懇願されていた。あやめは、警察官になって白バイ乗りになりたい、と思っていたが、その夢を諦め、医師になることを決めた。あやめにとって一番大事なのは、祖母であるさちおばあちゃんの笑顔であった。さちおばあちゃんはあやめが物心ついた頃から「あやめちゃんはお医者さんになるんだよ」「一番安全なのは轍を着実に行くこと」と言っていた。その願いを叶えてさちおばあちゃんを幸せにする、それがいつしかあやめの将来の夢となった。


 しかし、体を動かしたり友達と話すのが好きなあやめには、受験勉強は辛く厳しいものであった。

 毎日続く塾の勉強、高校の国立コースの夜まで続く授業、嫌なことばかりだけど、さちおばあちゃんのことを思えば頑張れる!

 さちおばあちゃんの存在は、あやめにとって、勉強の原動力でもあり元気の源でもあった。


 受験勉強中の時の流れは早いものだ。あっという間に共通テストが始まり、私立大学受験が始まった。この冬はとても寒い冬だった。地球温暖化で暖冬が進むこの時代に稀に見る寒さであった。


 とある私立大学の受験会場。あやめは緊張した面持ちで、古ぼけた五反田のビルの一角で座っていた。あやめは次の試験科目を憂慮していた。

 小論文。私は自分なりの正義が好き。だけど、それでも、他の人の正義を受け入れつつ描かなくちゃならない。辛いけど頑張らないと。

 あやめは他の意見を肯定するのが苦手で、塾ではいつもそのことを小論文の先生に注意されていた。


 ついに小論文試験が始まった。

 「医療とは。自分なりの意見を書きなさい。」

 あやめは自分の意見を書くのは得意だ。ペンを軽やかに走らせ楽しそうに小論文を書く。

 これは、受かったな。

 あやめの勘はそう言った。


 今日も命は続いていく。誰かの善意で成り立つ命の数々。曖昧さと悪意の交差するこの世の中で、唯一正確性と善意が成り立っているのが医療の世界だ。


 あやめなりの決め台詞を書いて終わらせた。


 その後も受験は続いた。国立大学の試験も全て受け終わったが、確実に受かったと思ったのは、とある私立大学だけであった。


 こうしてあやめはとある私立大学の医学部に入学することが決まった。家族全員があやめの合格を喜び、入学前最後の春休みを楽しんだ。


 それは、三月なのに東京で氷点下を観測した異常な日の夜のことであった。その知らせは、突然だった。

 さちおばあちゃん!しっかり!せめて見送らせて!

 あやめは、走って大学病院へ向かった。さちおばあちゃんが、心筋梗塞で倒れて、病状があまり良くないという一報を受けたのであった。


 あやめが病院に着くと、さちおばあちゃんはまだ生きていた。しかし、手を取ると生きているとは思えないぐらい冷たく、あやめは思わず泣き崩れた。それでも、よくさちおばあちゃんを観察すると、顔色は真っ白で白雪姫のような美しい肌であった。死ぬ間際なのに、いつにも増して、さちおばあちゃんは美しかった。泣いても泣いても涙が止まらない。

 おばあちゃん、私は、私は、医学部に合格できたよ。医師になった姿を、さ、おばあちゃんに、みせたいの。

 あやめは必死に願って、さちおばあちゃんの手をもう一度強く握りしめた。

 その時であった。急に全ての内臓が引っ張られる感じがして、意識が飛んでしまった。「あれ、あ、あやめ?!」という母親の声だけが鮮明に残っている。

あやめの心の迷い、さちおばあちゃんの危篤、あやめの意識消失、これから何が起こるでしょうか…?

楽しんでいただけると幸いです。

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