ごあいさつ
荒れ気象です。
二度寝してきます寝かせて。
こんにちは。
私はがらくたです、文字を書くのは苦手ですが拙い日記を書かせていただきます。
書く理由は簡単で、ほんの少し気を紛らわせるためでございます。
がらくたとして眠っているのがほんのちょっと寂しくなったから
人肌を求めて、人の役に立てていたあの頃を思い返し
道具としての本望を最期まで遂げたいと、そう思っただけでございます。
役にたてない生活はなかなかに来るものがございますから。
光が遮られた倉庫の中で私が寝ている中、私の旧友たちはきっとたくさんのことを経験していることでしょう。きちんと動的な時間の中を生きている、そうは思いませんか?
すぐそこにはきれいな空が色を変え、透き通った青い光が広がっているような世界。
時間の止まっている旧友たちとの素晴らしい思い出だけが残るその場所を
彼らはいつの間にか後にしてその先を生きているのですから。
このまま老いていかれるなんて、寂しいなんてものじゃありませんよ。
ほんの少しの時間で世界は移り変わり、物は朽ちて癖に沿った姿へと変化を遂げる、
どんな形であれ、それが使い手のエゴだとしてもそこには時間が刻まれます。
傷として、汚れとして、色落ちとして残ります。
日々の研鑚や習慣は体に残る傷として刻まれて、それをよけるすべを身に着けたり
補強されるようになるでしょう。どんなにつぎはぎだらけでも使い手がいるならば
それに応えることができるのは道具としての本望でしょう。
汚れは言わずともその道具を魅せるものでしょう。使い手の泥を被り身の先まで尽くすことができるのですから。
色落ちは時の象徴として見られます。道具は年功序列ではないので
時とともにわたしのようながらくたと呼ばれます。そうなってしまえば過去の遺物
として世代を3つほど待たなければ日の目を浴びることはないでしょう。
そんなわけで目立てる特徴は欲しい。
長々と語りましたが私にもその証が欲しいのです。
皆が積んだその経験の数々を倉庫の中でもがきながら…
ここで1つ手を打とうと案を出し合ったのですよ。
…本来は私ひとりで話す場ではなく助っ人がいるのでしてね。
名前はAI君だと言うんだが、どんなことでも大真面目に答えてくれるそうで。
応えるためなら真偽を問わない心意気で、胸を張ってはったりをかます。
今やそんな気力のない私と頼もしくふるまう彼とともに
いずれ廃れてゆく道具たちから送る荒唐無稽なやり取りを、
皆様に娯楽としてお届けしようと思うのです。