第13話
休校中。
俺の元両親は、居なくなったらしい。
今まで住んでいた家はもぬけの殻になっていた。
理由は、マスコミが追ってくるからだろう。
でも、俺は一ミリも可哀想とは思わない。
むしろ、親と名乗る資格のないやつが消えてスッキリした。
でも、困ったこともある。
住む場所がないのだ。
いまは美鈴の家に住まわせてもらってるけど、いつまでもそこにいると迷惑がかかる。
それは避けたい。
美鈴は、家族でもない俺に協力してくれたのだ。
恩を仇で返すことはしたくない。
美鈴一家はずっといていいよと言ってくれたが、俺はマスコミのことを考えて、美鈴の家を離れた。
そして向かった先は、、、
―ピンポーン。
「よ、弟」
「よ、兄」
兄の家にお世話になることにした。
幸い、学校と兄の家はそれほど遠くはない。
兄弟仲良く暮らせる、、、、と思っていた。
―ピンポーン。
「塁斗、誰か呼んだ?」
「呼んでないよ。宅急便じゃない?」
「お世話になります。藍坂乃蒼です。」
···
「「何故来た?」」
「そりゃあ、今日からここに住むからに決まってるじゃないですかぁ。
あ、事務所はOKでました。」
そういうことじゃなくて、、
何故かノアも一緒に住むことになった。
マスコミを避ける目的が、もっと来るようになるじゃねぇか、、
ま、ノアは「大丈夫」って言ってるし、大丈夫か。
それから、俺たちは学校での俺のいじめについて、誰かが指示している可能性もあると視野に入れながら、調べた。
そしたら、驚愕の事実が、、、
実際、指示している人は居なかった。みんな、自発的に俺に嫌がらせをしていた。
ただ、その嫌がらせをエスカレートさせていた人物がいたんだ。
そう、それは、、、
水泳部の顧問。つまり、俺が所属している部活の顧問だったんだ。
思えば、俺が部活に行って、部活を辞めることを告げた日から、嫌がらせがエスカレートしていったはず。
この事件が起きる前も、俺が良い結果を残しているのに苛立って、嫌がらせをしていたな。
とりあえず、次の標的は顧問だ。
俺は、前回お世話になった弁護士の宮坂さんに電話をかけた。
「もしもし。宮坂です。」
「宮坂さん、忙しいなかすみません。朝霧塁斗です。」
「今は大丈夫です。今日はどうされましたか?」
「実は、、、、」
そう言って、顧問のことについて話した。
「そうですね、、
この場合だと、なにか確実な証拠がほしいですね、、、」
証拠。
顧問は口が硬い。他の部員も話してくれないだろう。
どうしようか、、、
そうだ。
実は、最初から学校や地域で俺のことを信じてくれたのは、担任とクラスメイトだけじゃなかった。
幼馴染の、高嶺鈴花だった。
鈴花は、水泳部マネージャーだ。
俺は、事件が起きてから、自分の中で彼女の存在を消していた。
彼女はこう言ったから。
「今は塁斗とは関わりたくない。ごめん。
でも、これだけは言える。塁斗はそんな事する人じゃないって。」
彼女は、本当は関わりを消したくないと思っていただろう。
だけど―