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第1話

朝霧塁斗は、冤罪をかけられていた。


ある日家に警察が来て、僕は警察署に連行された。


罪状は、痴漢、万引き、恐喝。


どれも身に覚えがない。そんな事、僕にはできるはずがない。


証拠不十分だったから、後日また聴取されることになった。


家に帰ってから、家族に無視された。


噂ですでに広まってるのもあるだろうが、一番はもともと親との関係が悪かったからだ。


運動はそこそこできたが、それ以外は何やってもダメだった。


親はそんな俺に愛想をつかしていた。


こんなことが起こったから、丁度よかったのだろう。飯も風呂も抜きにされ、まるで俺がいないような扱いをした。


SNSを見ても、他クラスの友人のほとんどにブロックされていた。


その日から、家族や友人、後輩や先輩、先生がみんな僕の敵になった。




なんでこんな事になってしまったのだろう。




すれ違ったら、みんなから犯罪者扱いされる。


靴箱に嫌がらせをされたり、学食も僕には出してくれなかった。


もう嫌になった。


だけど、クラスメイトと担任だけは、僕のことを信じてくれた。





「塁斗、おはよ」


「お、おはよう」


「どうした、元気ないぞ。」


「実は冤罪かけられて、、、」


「ああ、あのことか。


 気にするな、クラスメイトは全員お前のこと信じてるぞ。」


そう言ってくれたのは、隣の席の秋葉美鈴。


彼女は、僕のことを心配してくれた。


「塁斗、俺はおまえの味方だからな。」


「応援してるぞ!」


クラスメイトも全員俺のことを慰めてくれた。


居場所はあったんだ。


「それじゃ授業始めるぞ。


 あと朝霧。俺はお前の事信じてるぞ。」


担任まで。感情が溢れて僕は涙を流した。


僕は決心した。冤罪だと世間に知らしめて、僕を陥れたやつを地獄に落としてやる。




クラスメイトは、駅やコンビニで僕と似た人がいるか探した。


担任は人脈が広いので、警察の友人にも協力を要請した。


その人は、快く引き受けてくれた。


ただ、どんなに頑張っても状況は変わらなかった。


続く嫌がらせ。僕は耐えられなくなって、学校に行くのをやめようかと思った。


でも、家には居場所がない。唯一教室だけが居場所なんだ。


絶対無実を証明させる。そんな思いを抱えて生きていた。





俺は内藤幸都。25歳のニートだ。


あれは20歳の時。内定を取り消され、親からは見放され、行く当てもなかった。


自暴自棄になった俺は先月に万引きを繰り返した。


ほかにも恐喝や痴漢など、いろんなことをやった。


もう本当にどうでもよかったんだ。


これは全部社会が悪い、そう思って悪事を繰り返していた。


そしてそれを、たまたま近くにいた少年に擦り付けた。


警察が無能だったか知らないが、予想以上に上手くいった。


それがよくなかったのだろうか。


俺は調子に乗って悪事を繰り返した。


その後、案の定捕まった。


もっと罪が重くなるのも避けて、あの少年に罪を擦り付けたことは言わなかった。


あれは彼が悪かったんだ。近くにいたから。


そう逃げていた。





何日たっても、何も変わらない。


むしろ嫌がらせがエスカレートしている。


テレビで偏向報道されたのだろうか。家には野次がたくさん来る。


親に迷惑をかけているのは申し訳ない。でも、親も俺から居場所を奪ったんだ。


どうしたらいいかわからなくなった僕は、美鈴の家に向かった。


もうクラスメイトしか頼れなくなった。


女子の家だろうと関係ない。常に周りから何か言われている中、暗い夜道を歩いて行った。





暴行、脅迫、窃盗などを繰り返した罪で、内藤幸都容疑者(25)が逮捕されました。


調べに対し内藤容疑者は、「俺は悪くない。すべて社会が悪いんだ。俺が気軽にこんなことができるようになった社会が悪いんだ。」と供述しているようです。


また、警視庁の調べで、内藤容疑者が他人に罪を擦り付けた可能性もあると明かしました。両件について、警察は慎重に捜査を進めています。

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