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第4話

 冒険者ギルドに辿り着くと。たくさんの冒険者達が集まっていた。

 ギルド内に入りきらないので、建物の前に集まっていた。

 ギルドマスターが組立式の簡易な壇上に立っている。


「緊急事態だ!とにかく何も聞かず最後まで黙って聞いてくれ。騒ぐ奴がいたら排除しろ!いいな!」


 冒険者達も事の重大さが分かっているのだろう。真剣な表情をしている。


「東の森でスタンピードの()()()現象が起きた」


 一瞬ざわついたが直ぐに静かになった。

(スタンピードとは、魔物(大型の動物も含む)の集団が、興奮や恐怖などのため、突如同じ方向へ走り出す現象。この世界では、ダンジョンなどから魔物が溢れ出して起きる場合が多い)


「スタンピードの()()()、という事は今までとは違う現象が起きている───」


 ───ギルドマスターの話とは...


 最近、東の森の(ふもと)の村の近くに魔物が現れるようになった。

 初めはポツポツという感じで、村に近づく魔物は木こりや狩人で対処していた。


 しかし、だんだんと数が増えていき、木こりや狩人では対処出来なくなった。

 そこで、麓にある複数の村の村長達が話し合い、領主に相談して、領主軍の選抜された者が東の森に偵察に行く事になった。

 もともと、この森にダンジョンはない。現在まで魔物の被害がなかった事からもそう思われていた。


 結果、分かった事は。

 まず、多くの魔物が東の森に居る。

 今までのスタンピードは放置されたダンジョンなどから魔物が溢れ、村や街を襲うのだが、今回は各地から東の森の奥の方に集まっている、という感じだ。

 村を襲うのではなく、ただ進路上に村があるので、邪魔なものを排除している、という感じで積極的に村人を襲う事もない。


 そのため、各村の被害はほとんどなく怪我人が数名程度である。

 領主は非常事態に備え、領主軍に各村々の人達の避難を指示。現在進行形で村人達はラミアの街に避難をしている。との事。

 そして対魔物戦については領主軍よりベテランである冒険者に協力してもらうために、冒険者ギルドに正式に要請した。


「───というのが今回の概要だ。そして作戦としては、積極的に魔物の討伐はしない。

 もし、魔物が街に向かって侵攻してきた時のために、街と森の中間に防衛線を構築する。

 冒険者は中央。領主軍は右翼、左翼を防衛する。

 そして、ギルドとして、非常事態を宣言する。

 Cランク以上は基本的に強制参加だ。緊急の依頼以外は保留、またはキャンセルしていい。

 長期戦を想定して準備すること。資金は領主から出る。購入したら、必ず領収書を店に発行してもらう事。

 これらは各受付嬢に相談する事。

 F、E、Dランク冒険者は強制ではないが、連絡係や物資の運搬などを手伝ってもらう。是非志願してくれ。

 現在S、Aランク冒険者はいない。Bランク冒険者が各々リーダーとなって複数のCランク以下のパーティーとチームを形成し、絶対に単独で動かない事。

 決してこちらからは攻撃するな!

 それがトリガーとなって街に侵攻してくるかもしれないからな。

 そして、指揮は俺がとる。

 質問はあるか?」


 皆、経験があるのか、誰も質問しない。そこで私が。


「あのぉ、私は今日冒険者登録したばかりで、本来は屋台をするのが目的だったのですが、スキップでCランクになりました。商業ギルドランクはCです。今日、少し出店しただけで売上もほとんどなく、このままでは仕入れもする事が出来なくなります」


 嘘である。事実を混ぜてはいるが。


「ああ、きみはユヅキ...だったな。今回は冒険者、領主軍、街の警備兵などの共同作戦だ。言い方は悪いが、高い戦闘力があっても、連携がとれないと結果的に防衛力、攻撃力が低下する。今日この街に来たばかりの冒険者ではかえって邪魔になる。なので、今回の作戦には参加しなくて良い。そして、商売しようとしても、この件が終わるまで中央広場での出店は出来ない。なので他の街に行っても良い。それから、今回はウチの冒険者が迷惑をかけた、申し訳ない」

「ありがとうございます。明日他の街へ向かいます。皆さんもどうかお気をつけて下さい」


 私はそう言うと、さっさとこの場から離れた。



 ◆



 もちろん他の街に行くつもりはない。

 魔物が集まっている、という事は"次元の裂け目"の可能性が高い。


 そして、街から出て、東の森へ向かい、森が見渡せる高地に到着した。

 既に日は暮れて、月が出ている。

 ラーメンやおでんの屋台でエネルギーをかなり使った。月の光でエネルギー充填だ。


 屋台は月の光を月光力(げっこうりょく)というエネルギーに変換して動く。

 しかし、それは太陽光発電の月バージョンようなものではなくて、月の女神の加護を月の光を通して屋台に与えているのである。

 この加護は無限ではなく、使用すれば減る。なので、都度チャージする必用があるのだ。


「よし!月の光チャージ!」


 もうすぐ戦いが始まる。

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