第1話
※この作品は、武 頼庵(藤谷 K介)様ご主催の『月のお話し企画』に参加させて頂いています。
私は荻 結月。元日本人の転生者です。
今、街道を歩いている。
どうしてか、というと───
高校から帰る途中、最後に見たのは大きなトラック。「テンプレかい!」が最後の言葉になってしまった。
目が覚めると白い部屋で寝ていた。これもテンプレ。
「あら、起きたのね」
「誰?」
「月の女神です」
「月野 目紙...さん?」
「ちが〜う」
というやりとりがありまして...
話を聞くと、思った通り私は居眠り運転のトラックにはねられて...
自称月の女神さんとお話しているわけです。
「今自称って言った?」
「え、なんで分かったの?」
「それは分かるわよ、月の女神だから」
う~ん。考えていることが分かるらしい。
気をつけなければ。
「それでね」
「ああ、大丈夫よ、どこか異世界に転生するとかでしょ」
「どうして分かったの?」
「あのねぇ、オタクを舐めないでよね」
「おたく?」
「話すと長くなるからそれはおいといて、どこに行くの?」
「えっとね────」
私が異世界と呼んでいる世界は、実はたくさんあって、地球もその世界の1つらしい。
そして、そのたくさんある世界は、いくつかの世界が集まって、それが地域のようにあちこちに点在している。
地球のある世界は辺境の田舎にあるらしい。
悪かったわね田舎者で!
そして、その地域毎に女神様がいて管理している。なるほど。
ここは月の女神で、あと火の女神や水の女神...などがいる。曜日だな。
それで、今私がいるのは月の女神様の管轄ということです。
さらに、月の女神様の管轄の中にもたくさんの地域があって、その中の1つの世界ということらしい。
その世界を管理しているのが、月の女神の1人である"セレーネ"さんということ。名前あるんかい!はよ言え!
セレーネさんが言うには、最近地域の管理をサボ...怠ってしまって、地域の2つの世界が接触してしまった、との事。何やってんだ、コイツ。
そして、上司からめちゃくちゃ怒られたらしい。いるのか、上司。
接触したせいで、弱かった世界の方に次元の裂け目が出来てしまった。
このまま放置するとその国はもちろん、大陸が滅んでしまう可能性すらあるらしい。
「そこで、ユヅキちゃんには、その国へ行って次元の裂け目を探してほしいのよ」
「は?」
「だから、その世界のある国へ...」
「いやいやいや、それは分かっているんだけど、だったらセレーネが行けばいいじゃん」
「それがね、私はここを離れられないの」
「管理しているからって事?」
「そう、また接触するとアルテミスさんにどんなに怒られるか」
なるほど、上司ってアルテミスさんというのね。このアルテミスさんも月の女神様。
月の女神様も何人もいるらしい。
「その国のどこにあるのかは分からないの?」
「最大女神パワーで国までは特定出来たのだけど、それが限界」
「それで、私がセレーネの変わりにその場所を探せ、と」
「しりぬ...まあいいわ。そう、場所が特定出来たら私を呼んでくれたらちゃちゃっと直すから」
「だったら、それなりのブツをくれるんだろーな」
「ユヅキちゃんキャラ変わってない、てかルビが逆」
「私はいつもこうよ。あと、金とか身分証とか色々」
「もぅ贅沢ねぇ」
「いや、こっちにも都合があるのよ、1万という壁が」
「1万?」
「いや、それはこっちの話。とにかく色々省きたいから」
「分かったわ。能力と身分証は用意するわ、お金は稼げるから大丈夫よ」
「え?稼げる?」
「では、いってらっしゃーい」
「えええええっ」
という事で冒頭の状態というわけです。