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異世界の事情  作者: ボッチー
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ようこそ、ツペンタークへ

初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。

エミナの話に付き合って、半日。

なんとか、ツペンタークに到着したが、ユキヤの精神は限界を迎えていた。


元々、女性耐性の無い自分に、腕を絡め取られて、半日も話続けて(聞き続けて)いたのだ。無理もない。


それもこれも、やっと開放されると思うと、心が軽くなった。


早馬の連絡がしっかり届いていた様で、ツペンタークへの入国(?)は、すんなり通った。


あとは、ハドリアス邸に、向かい、謝礼を貰えば、おさらばだと、ユキヤの心にも幾分、余裕が出てきた。


ツペンタークの街並みは、所謂、中世の街並みそのものだった。

市場の様な物もあり、美味しそうな香ばしい香りが漂ってきた。

転生してから、一度も食事にありつけてない為、余計に腹に堪える。


とっとと、報酬を貰って、宿屋と飯を確保せねばと、一人、決意新たにするユキヤ。


そんなことはお構い無しに、馬車は街道を進んで、遂に、大きな屋敷の前で止まった。


どうやら、目的地のハドリアス邸に着いたようだ。


大きな屋敷の、大きな門をくぐると、綺麗に整備された花壇や、噴水が目に映る。

流石は大貴族と感心していると、屋敷の前に数人の人影が目に入ってくる。


「お父様っ!!」


馬車の窓から、身を乗り出してエミナが、声を上げた。


「おぉ、エミナ!!よくぞ、無事でっ!!」


屋敷の方からも力強い声が返ってくる。


どうやらエミナの父親らしい。

公爵というから、優男をイメージしていたが、実際には、30代後半の身体つきのガッシリした偉丈夫が、そこにはいた。

戦場でついたのであろうか、頬には大きな傷痕があり、前髪は短髪でツンツン頭。後ろ髪は結われていて金髪。どこぞのプロレスラーかと思われる漢が、エミナの父親、ハドリアス公爵らしい。


馬車が止まると、慌てて飛び出すエミナ嬢。

それをしっかり受け止める父親。


薄々気づいていたが、エミナはお転婆姫のようだ。


淑女なら、ゆったりと馬車を降りる処だろう。

周りの騎士や、使用人も全く動じていない。

これが彼女の素の姿なのだろう。


そんな彼女の淑女らしくない一面に唖然としていると、取り繕ったように、エミナが、父親に話しかけた。


「あっ、お父様!こちらの方が、私達を窮地から、お救いして頂いたユキヤ様です!!」


当然、紹介されて戸惑うユキヤだったが、ハドリアス公爵は違った。


「おぉ、貴公が娘を救ってくれた勇者かっ!!礼を言う!!ありがとうっ!!!」


ガッと、その大きな両手でユキヤの手を掴み、ブンブンと振り回す。


突然の行為に、なすがままになってしまうユキヤだったが、慌てて、返事を返す。


「い、いえ、当然の事をしただけですっ!?救えなかった命も有りましたし、そこまで感謝されると困ります。」


すると、ブンブン振り回していた手が止まり、それでも力強く手を握って、ハドリアス公爵が話し出す。


「・・それは連絡を受けている。亡くなってしまった騎士は、残念だった。だが、其方のおかげで、無事、娘が救われたのだ。本当にありがとう。」


ハドリアス公爵の手は震えていた。

それが、亡くなってしまった騎士達への想いなのか、娘の窮地に駆けつけられなかった悔しさなのか、分からないが、感じの良い御仁、貴族と思われた。


「ッ、さぁ、とりあえず中に入ってくれたまえ。改めて、礼をしたい。」


と、屋敷の中に案内されるが、躊躇してしまう。

何せ、素足にローブのみの恰好だ。仕方ない。


それを理解してか、ハドリアス公爵は、「気にすることは無い」と、言って背中を押してくる。


公爵がそこまで言うならばと、屋敷に入るとそこは、大貴族らしい豪華な玄関ホールだった。

執事(?)の様な老紳士に連れられて、部屋へと案内される。

来客室と思われる部屋に案内されると、ソファに勧められる。

体重を身体を包み込む様な座り心地の良いソファに、驚いていると、別のドアから、公爵が入って来た。

慌てて、立とうするも身体が沈んで、上手く起き上がれない。


「はっはっは!気にするな。そのまま良い。ゆっくりくつろいでくれ。」


豪胆な人で助かったと、思っていると、給仕係がテキパキとお茶の準備を進めていく。


「腹が減っているだろう、今は茶菓子程度しか準備出来ないが、遠慮なく食べてくれ。」


そう、公爵に勧められた。

正直、この甘い香りには勝てそうも無く、遠慮なく頂くことにする。


「そ、それじゃあ、遠慮なく・・。」


クッキーな様なものを、手に取り、口に運ぶ。


(う、うま〜〜い!それして凄く甘い!)


転生してからの始めての食事に、手が止まらない。


「そんなに腹が空いていたのか?まだまだあるぞ。遠慮無く食え。」


公爵は嬉しそうに言ってくるので、遠慮無く菓子を平らげていく。


そんな折、着替えが終わったエミナが部屋に入って来た。


「まぁ、そんなに沢山お食べになってしまっては、ご夕食が食べられませんよ。」


と、呆れた様に声を掛けてくる。


(いや、夕食まで面倒みてもらうつもり無いんだけど・・)


エミナの一声で、我に返り、手を止める。


「なんだ、もう良いのか?まだまだ用意出来るぞ?」


と、公爵は言うが、こちとら、報酬を貰ったら、とっとと、宿屋を探すつもりなのだ。長居は無用だ。


「えぇ、もう十分です。ご馳走様でした。」


と、礼を述べ、話す体制を整える。


「エミナも揃ったことだし、改めて礼を言うぞ、少年。娘の危機を救ってくれてありがとう!」


「お父様!!少年ではございません、ユキヤ様です!」


「これはすまない、ユキヤ君。改めて礼を・・。」


「ッ、いえ、少年で結構ですっ!それに公爵様に何度も礼を述べられては、気が気じゃありません。もう、本当に平気ですから・・・。」


と、慌てて挽回するユキヤ。

彼としては、少しでも早くこの場から退場したいのだ。


「だそうだ、エミナ。」


と苦笑する公爵。


「いいえ、ユキヤ様です!」


と、譲らないエミナ嬢。


ユキヤとしては、本当にどうでもいいから、本題に入って欲しかった。


「と、いつまでも、ユキヤ君を待たせてはいけないな。これが今回、娘と騎士達を守ってくれた礼だ。」


と、言うと、執事のよう老紳士がお盆にパンパンに膨れ上がった皮袋載せて、目の前に置く。


(十中八九、金だな。ただ、金銭感覚・価値がまだ分からないだよなぁ。いくらぐらいなんだろう?)


「中身を確認しても宜しいですか?」


「勿論、構わんよ。」


より良い返事を頂いたので、恐る恐る中身を確認すると、中身は金色に輝く金貨で一杯だった。

ただ、悲しいことに価値が分からない。

金貨ということで、相当な額であることはなんとなくわかるが・・・。


「こんなに頂いて、宜しいんですか?」


と、さも、凄い大金を貰ってしまったように応えるユキヤ。


実際には金貨は50枚以上入っており、日本円に換算すると、約5000万円程の大金だった。

無知って、恐ろしい。


「構わんよ、娘の命の恩人だ。足りないぐらいだ。」


と、公爵は言った。


「ありがたく、頂戴致します。」


なんとか無事(?)乗り切って安心するユキヤ。

だが、それをぶち壊す一言が、エミナから発せられた。


「お父様、それでは少なすぎます。ユキヤ様には、傷ついた騎士を神聖魔法で治療して頂いています。

もしかしかたら、お母様のご病気も治療出来るかも知れません!」


と、爆弾発言をぶち込んできた。


「神聖魔法だとッ!?それは誠か!?」


神聖魔法に食いつく公爵。


(騎士を治療したのは、迂闊だったかぁ〜〜)


改めて、自分の知識のなさを悔やむユキヤ。


「神聖魔法が使えるのは確かです。ただ、奥様に効果があるかは分かりませんが・・・。」


と、なんとか誤魔化して、有耶無耶にしようとするユキヤだったが、


「頼む!!やるだけやって診てくれないか!?」


と公爵にいい組まられる。


(こりゃ、試さないと帰してもらえないパターンだな・・。)


「・・・わかりました。やるだけやって診ます。」


「おぉ、助かる!!妻の部屋こっちだ、着いてきてくれ!」


そうして、報酬を貰って、さっさとトンズラ作戦は、瓦解するのだった・・・。


構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。

ブックマーク、いいね、☆評価も頂けると、励みになります。

宜しくお願いします。

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