術式強化の代償と、迷いの森
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
嫉妬の魔人、魔王ヘッケラーを倒したユキヤは、術式を解除すると、倒れているルメールに、駆け寄った。
すぐさま、ルメールに、回復魔法をかけるユキヤ。
青白い顔が、徐々に赤みをおびていく。
ルメールに、声かけるユキヤ。
「ルメールさんっ!ルメールさんっ!大丈夫ですか!?」
ユキヤの呼び掛けに、反応して、意識を取り戻すルメール。
「・・・う、うん!?・・ユキヤ?」
どうやら、大丈夫のようだ。
すると、ルメールは、
「・・・私は、どうしたんだ?」
と、まだ意識が、朦朧としているらしい。
すると、ユキヤが、
「魔眼をかけられてたんです、大丈夫ですか?」
と、声をかけた。
すると、ルメールは、
「そ、そうだっ!私は、あの男の眼を見た後、急にユキヤが憎くなって・・・。」
と、どうやら、魔眼をかけられた時の記憶があるようだ。
すると、ユキヤは、
「すいませんっ!ルメールさんを止める為に、僕の魔眼を使いました・・・。」
と、謝るユキヤ。
「いや、いいんだ。・・・って、ゆ、ユキヤっ!!怪我をしてるじゃないかっ!?」
と、ユキヤの血の吐いた痕と、腕の傷に、気がつき慌てるルメール。
「わ、私がユキヤに斬りかかって、怪我をさせてしまったのか!?」
と、どうやら、記憶が曖昧なようだ。
すると、ユキヤが慌てて、
「違いますっ!これは、奴にやられた傷ですっ!!」
と、誤解を解く。
すると、ルメールが、起き上がり、
「奴とは、私に魔眼をかけた男かっ!?私のユキヤに、・・・許さんっ!!」
と、怒り出すと、ユキヤが、横たわるヘッケラーの方に、指を差して、
「あそこに、転がってます。」
と、言った。
ユキヤの指差すほうに、目を向けるルメール。
「ん?なんか形が、変わってないか?」
と、変貌したヘッケラーに、違和感を感じるルメール。
すると、ユキヤが、
「なんか変身しちゃいました。」
と、答えた。
「そうか?それで、奴は何者なんだ?」
と、聞き返すルメール。
すると、ユキヤが、
「魔王みたいです。」
と、答えた。
すると、ルメールは、
「なっ!魔王だとっ!?」
と、驚いた。
更に、
「魔王を倒したのかっ!?」
と、聞いてきたので、
「ええ、倒しました。」
と、答えた。
すると、倒れていたヘッケラーが、
「・・う、うっ・・・。」
と、うめき声をあげた。
それに、気づいたルメールは、
「おいっ!まだ生きているぞっ!?」
と、反応した。
それに対して、ユキヤは、
「ええ、殺してはいませんよ。」
と、軽い口調で応えた。
そして、ヘッケラーの元へと、歩いていき、
「おいっ!気がついたかっ!?」
と、声をかけた。
すると、ヘッケラーが、
「・・・う、うん!?」
と、反応した。
そして、
「・・・俺様は、負けたのか・・。」
と、自分の敗北に、気がついたようだ。
すると、ユキヤが、
「そうだっ!僕が勝ったっ!!」
と、勝利宣言した。
すると、ヘッケラーが、
「・・・殺せ。」
と、呟いた。
それに対して、ユキヤは、
「僕は、弱ってる奴を殺さない。」
と、言い、拒否した。
すると、ヘッケラーが、
「俺様が、弱者だと・・・ふははは・・。」
と、力無く笑った。
そのやり取りを見ていた、ルメールは、ユキヤに、
「本当にいいのか?」
と、聞いてきたので、
「ええ、もう勝負はついていますから・・。」
と、答えた。
そして、ヘッケラーに、
「出口はどこだ?」
と、尋ねてると、
ヘッケラーは、寝そべったまま、出口を指差した。
ヘッケラーが、指を差す方を見ると、出口らしい扉があった。
それを確認した、ユキヤは、ルメールを連れて出口へと歩き出した。
扉を開けると、登り階段があり、階段を登っていくユキヤたち。
階段を登り切ると、再び、扉があり、その扉を開けると、太陽の光に包まれた。
余りの明るさに、眼を背けていたが、徐々に明るさに慣れてくると、目の前には、森があった。
どうやら、〈迷いの森〉らしい。
早速、森に入ろうとすると、ルメールから、止められた。
「ユキヤ、まず、自分の身体を治した方が良い。」
そこで、ようやく自分が、怪我をしている事を思い出すユキヤ。
慌てて、回復魔法を使い、傷を癒す。
それを見て、安心したルメールは、
「今日はここで、夜営しよう。」
と、言って、激戦で疲労しているであろうユキヤを、気遣った。
正直、疲労困ぱいだったユキヤは、その提案に同意して、休む事にした。
こうして、ユキヤは、初となるダンジョン攻略を終えた。
明けて翌日。
ユキヤは、寝込んでいた。
理由は、〈術式強化〉にある。
本来、攻撃魔法は相手に、かけるものであって、自身にかけるものではない。
怪我は回復魔法で治せるが、全身筋肉痛の強化版のような、身体の痺れと痛みは、治せない。
昨晩の夕食時に、余りの痛みで、誤ってスプーンを落としてしまい、ルメールに、
「どうしたっ!?まだ、傷が痛むのかっ!?」
と、心配されてしまった。
慌てて、ユキヤは、
「い、いえっ!?連戦で疲れただけですっ!?」
と、嘘をついた。
しかし、それを聞いたルメールは、
「S級相手に、更に魔王だものな。疲れるのは、無理も無い。」
と、勘違いした。
(〈術式強化〉の件を言ったら、間違いなく、使用するなと、言うはずだ。でも、今回のような事が、また起こるかも知れない。此処は、黙っておこう。)
と、考えて、虚実を述べた。
ユキヤが、疲労しているだけだと思っているルメールが、
「明日は無理せず、休め。」
と、言ってくれて、正直助かった。
なので、今はテントの中で、激痛と戦っている最中だった。
ルメールが本当の事を知ったら、引きずってでも、街に帰っていただろう。
それでは困る。
何の為に此処まで来たか、意味が無くなる。
だから、時折、ルメールが、
「大丈夫か?辛く無いか?」
と、様子を見に来るたびに、
「平気です。明日には動けます。」
と、嘘ぶいた。
更に明けて、翌日。
まだ、痛みは引かないが、迷いの森の探索を開始した。
木に目印をつけて、森の中を進んで行くが、いつの間にか、元の場所に戻ってしまう。
名前の由来通り、方向感覚がおかしくなるようだ。
それならばと、道を変えても、再び目印の木の元に、戻って仕舞う。
それを何度も繰り返していた時、カラスのような鳥達に、襲われている小人を、発見した。
全身は、20センチ程だろうか。
金色の髪を、三つ編みのように束ねている。
そして、目を惹きつけるのは、昆虫のような羽が生えている事だ。
とりあえず、カラスのような鳥を、追い払おうと、威力を抑えたウォーターボールの魔法をカラスもどき達に、ぶつける。すると、濡れ鼠になったカラスもどき達は、「カーカー」鳴きながら、その場から飛び去った。
残された妖精らしき存在は、ユキヤに近づき、ユキヤの周りをパタパタと、飛び回る。
すると、それを見ていたルメールが、
「おい、ユキヤ。そいつは、ピクシーじゃないか?」
と、言ってきた。
(ピクシーって、あのピクシー?確か妖精族で、〈ピクシーのいたずら〉って言う、森を迷わせる妖精のこと?)
そんなことを思って、ピクシーらしき存在を眺めていると、何を思ったのか、そのピクシーが、ユキヤの肩に膝掛けた。
とりあえず、警戒はされていないようなので、そのピクシーに話かける。
「おい、言葉は話せるのか?」
しかし、ピクシーは首を傾けながら、「何っ?」って言う格好をするだけで、言葉を発さない。
せめて、言葉が通じているのかだけでも、確認する為、もう一度、問いかける。
「言葉は分かるか?」
すると、ピクシーは、何が嬉しいのか、笑顔で、頭を縦に振る。
どうやら、言葉は通じているようだ。
相変わらず、ユキヤの肩の上に乗って、今度は、パタパタと脚を動かしている。
すると、ルメールが、
「どうやら、ユキヤに懐いたようだぞ。」
と、言った。
なんとなく、照れ臭くなったユキヤは、アイテムファイルから、一枚のクッキーを取り出し、ピクシーに向けてみる。
すると、ピクシーは、鼻をスンスンさせて、匂いを嗅いだ後、クッキーを持って食べ出した。
それを見ていたルメールが、
「まるで、餌付けだな。」
と、可笑しそうに笑った。
こんな小さな身体のどこに入るのだろうかと思える勢いで、クッキーを平らげるピクシー。
すると、今度は、ユキヤの髪を引っ張り出す。
(痛くは無いけど、何をしたいのか、わからん?もう一枚、クッキーが欲しいのか?)
と、思って、再びクッキーを与えるユキヤ。
しかし、クッキーは受け取ったものの、小脇に挟み、再び、ユキヤの髪を引っ張るピクシー。
どうやら、クッキーは気に入ったようだが、したい事は違うらしい。
すると、ルメールが、
「おい、ユキヤ。もしかして、道案内しようとしてるんじゃないか?」
と、言ってきたので、「そうなのか?」と、尋ねると、再び、頭を縦に振るピクシー。
(確かに、このまま森を探索してても、エルフのところには、辿り着けそうも無い。・・・賭けてみるか。)
そう思い、ピクシーの引っ張る方へと、足を運んぶユキヤ。
すると、あれだけ迷っていた森の中の景色が、少し変わっていく事に気がつくユキヤ。
おっ、どうやら当たりの様だと、思っていると、突然、木の上から人の声がかかる。
「おいっ!止まれ、お前達っ!!」
と、威嚇してくる何者か。
辺りを見渡すと、複数人の人影が、木の上から、こちらを警戒しているのが、分かる。
声のした方へ顔を向けると、宿屋の店主に似た顔のエルフが居た。
敵意はない事を示す為、両手を上げるユキヤ。
すると、木の上にいたエルフから、再び、声がかかる。
「おいっ、貴様ら、どうやって此処まで来たっ!!・・・ん?ピクシー!?なんでこんな奴らと一緒にいるっ!?」
と、なにやら忙しない。
なので、相手を刺激させないように、注意しながら、話しかけるユキヤ。
「あの〜、何か誤解があるようですが、僕達は、ピクシーの案内で此処まで来ました。」
と、伝えると、
動揺したような感じで話し出すエルフ。
「なっ、ありえんっ!?ピクシーが人に懐くなど・・・おいっ!ピクシーっ!どうなんだ!?」
と、ピクシーに問いかけるエルフ。
すると、ピクシーは、再び、頭を縦に振る。
それを見たエルフは、
「っ、皆、矢を下ろせっ!こいつらは、一度、里まで連行するっ!!」
そして、木の上から、眼前に降りてくるエルフ。他のエルフ達も、同様に、木の上から降りてくる。
周りを囲まれたユキヤたちは、大人しくエルフの先導の元、森の中を歩いていく。
暫くすると、眼前に、集落のようなものが見えてくる。
すると、先導していたエルフが、
「いいか?可笑しな真似はするなよっ!!」
と、言って、かなり警戒しているようだ。
とりあえず、黙ってついて行くユキヤたち。
すると、集落的なものの全容が明らかになってくる。
木の上には、ログハウスなような造りの家が多数あり、
その木々の中心には、巨大な木が聳え立っている。
首を上げても、天辺が見えない程の大きな木だ。
あまりの巨大さに、呆気に取られていると、
先程のエルフが、
「こっちだっ!着いてこいっ!!」
と言って、一軒のログハウスまで、案内する。
(なんか殺伐としてるなぁ〜。思ってたイメージと大分違うんだけど・・・)
と、思いながら、エルフについてログハウスの中まで、連行されるユキヤたち。
すると、エルフが、
「此処で待てっ!今、里長を呼んで来るっ!!」
と、言って、部屋をあとにする。
ただ、後ろの出口には、逃がさないぞっと、いう態度で他のエルフが見張っている。
しばらく待っていると、これまた、宿屋の店主に似た顔のエルフが、対面に腰掛けた。
どうやら、エルフの里長らしい。
すると、そのエルフの里長は、
「よく此処まで来れたな人族の子らよ。一体、何用で此処まで来た?」
と、質問してきたので、
「・・・僕らは、エルフの知り合いから、迷いの森のことを聞いて来ました。」
と、半分、嘘を交えて答えた。
(店主さん、詳しいこと教えてくれなかったもんなぁ〜。)
などと、思っていると、
対面のエルフの里長が、急に焦ったように質問して来た。
「っ、おいっ!そのエルフは、ワシに似てなかったかっ!?そうだ、歳は、そこの女子と同じくらいで、髪は薄い緑色をした、寡黙なエルフだっ!」
と、凄い剣幕で、尋ねできた。
すると、ユキヤは、
「ええ、貴方にとても似た方です。」
と、答えた
すると、エルフの里長は、
「そうかっ!あやつ、生きておったかっ!!それで、今は何処におる?」
と、尋ねてきたので、
「今は、ホルスターという国で宿屋の店主をしています。」
と、答えた。
すると、エルフの里長が、笑顔で、
「そうか、そうかっ!元気にしておったかっ!そやつは、ワシの息子だっ!!」
と、爆弾発言をした。
(えぇっ〜!?店主さん、里長の息子だったのっ!?)
と、ユキヤが驚いていると、先程、先導していたエルフも驚いた様子で、
「そんなっ!?ランザが、生きていたっ!?」
と、言った。
(店主さん、ランザって言う名前だったのか。でも、なんで、そんなに驚いているんだろう?)
と、ユキヤが思っていると、
エルフの里長が、
「てっきり、帝国に売り飛ばされたか。死んでおると思っておった。そう、ここにおる奴は、ランザの兄で、ランガという。」
と、驚いていた理由を教えてくれた。
そして、エルフの里長は、
「皆、もう警戒せんで良い。此方の方々は、ランザの知り合いじゃ。客人としてもてなせ。」
と、どうやら警戒が解けたようだ。
すると、ユキヤが、
「ランザさんは、結婚していて、お子さんもいますよ。」
と、追加情報を伝えた。
すると、エルフの里長は、
「そうか、そうか。孫まで作っておったかっ。」
と、嬉しそうに笑った。
そこで、ユキヤは、
「どうして、此処まで警戒していたのですか?」
と、聞くと、
エルフの里長は、苦々しい顔で、
「・・・今、この里は、帝国に狙われておる。・・・奴隷狩りじゃよ。」
と、力無く答えた。
すると、ランガが、
「・・・今まで、どれだけの者が犠牲になったか。」
と、呟いた。
すると、エルフの里長が、
「ワシらには、世界樹を守らねばならん義務がある。だから、こうしてひっそりと暮らしておるのじゃ。」
(世界樹?確か、断罪の杖の材料に使われているって、武器屋のドワーフが言ってたな。)
と、思って自分の杖を見るユキヤ。
すると、その事に気づいたエルフの里長は、
「其方の杖、世界樹の枝で出来ておるの。何処で、手に入れた?」
と、聞いてきたので、ドワーフの武器屋で、手に入れたことを伝えた。
すると、エルフの里長は、
「あの、短足泥棒めっ!!貴重な枝をなんだと思うておるっ!!」
と、憤りをみせた。
すると、ユキヤが、
「でも、この杖には随分と助けられています。ちなみに、世界樹って、一体何なんですか?」
と、尋ねると、
エルフの里長は、
「世界樹とは、この世界の御神木じゃ。伝承では倒れると、世界が滅ぶと、伝わっておる。」
と、衝撃的な発言をした。
更に、
「だからこそ、我等が守っておる。帝国の手にでも渡れば、大陸そのものを人質に取られるようなものじゃ。」
と、帝国の危険性を、訴えた。
それを聞いたユキヤは、
(世界樹にそんな秘密があったなんて。それより、問題は帝国だ。聞いていた以上に危険な国なんだな。)
と、改めて、自分の無知さを痛感していた。
そんな会話を行っていた時、ひとりのエルフが、ログハウスに飛び込んできた。
とても、慌てた様子で、エルフの里長に、伝えた。
「に、西の森に、アルビオンが火を放ちましたっ!!」
どうやら、此処でも騒動に巻き込まれるユキヤだった。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
ブックマーク、いいね、☆評価も頂けると、励みになります。
宜しくお願いします。




