○空術と、お貴族様
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
ルメール(死体?)との衝撃的な出会いと別れの後、生きている人を求めて、街道を進むユキヤであったが、よくよく考えてみたら、自分は魔法のようなモノを使えることを思い出す。
(・・・さっきはイメージしたら、魔法が使えた・・・だったら、空を飛ぶ事も可能なのでは・・)
(街や村なんかまで、どれくらいの距離があるのか分からないし、食料どころか水も持って無い・・・)
(まぁ、水は魔法で何とかなりそうだけど、メシや寝床を確保しないといけないし・・・歩きじゃ不安だ)
そうと決まれば、行動あるのみである。
何しろ、目覚めてから結構な時間が経っているのに、何も口にしていないのだ。
せっかく(?)生まれ変わったのに、餓死では笑えない。
先程魔法を使った時のように、空を飛ぶイメージを思い浮かべる。
すると、ユキヤの身体は地面から少しずつ浮き始め、高度を上げていく。
「や、やった! 飛べたッ!?」
飛行の魔法を、難なく発現したユキヤだったが、ここである事に気づく。
(・・確かに、飛べた・・・いや、浮いたか?・・・)
(ふわふわ?・・・いや、どっちかって言うとフラフラ?・・・他に脚が付いてないと落ち着かない・・・)
空に浮かぶ事は出来たが、そもそも、人は空を飛ぶ生き物では無い。当然、そんな経験も無い。
その為、イメージが中途半端になってしまったのか、飛ぶと言うより浮かんでいるだけだ。
むしろ下手に高度を取ってしまった分、かなり怖い。
(・・・ダメだ・・・上手く前に進まない・・・当然、羽やプロペラ、エンジンなんてついてないし・・・空、飛行・・・)
(・・推進力をイメージしないと・・・空飛術・・・
そうだッ! ◯空術ッ!!)
その時だった。
有名アニメの空飛ぶシーンを想像した瞬間、身体からオーラ(実は魔力)ようなモノを噴き出しながら、とんでもないスピードで飛び出した。
「ンフっ!?(ひ、ヒィィっ!?)」
あまりのスピードとそれにより起こる風圧やGに.まともに息も出来ず、声にならない声を上げるユキヤ。
叩きつけるような風のせいで、目すらも開けられない。
(し、死ぬッ!! ・・・壁を・・・風を遮るシールドをイメージしないと・・・)
酸欠間近で朦朧とし始める意識の中、風圧を防ぐ手立てをイメージ。
何とか、魔法の構築が間に合い、それまで感じていた圧力がウソのように収まる。
「ッふぅ・・・たっ、助かっだァァ〜〜」
自身の魔法で誤爆。
リカバー出来たと思い安心した束の間、更なる悲劇がユキヤを襲う!!
(けっ、景色が・・・一瞬で変わっていく・・・ヤバい・・・気持ち悪い・・)
そう、乗り物(?)酔いである。
慌てて、眼下に捉えた木々の元に降下するユキヤ。
(・・・清々しい朝の森林をご想像ください)
・・・一仕事終えて、一息つくユキヤ。
(・・・一服したい・・・)
痛恨の一撃であった・・・。
そんなしょうもない誤爆劇を繰り返し、ガックリしていたところ、少し離れたところからだろうか?喧騒が耳に入る。
(ぅんッ?・・・人の声?・・・やっぱ、人の声だッ!!
・・・でも、なんか切羽詰まった感じが・・・!?)
目の前の丘の先の方からか、複数の人の声と、争いのような音が聞こえてくる。
(・・・何かと戦っている? ・・・人同士じゃないよなぁ・・・)
(・・・どうしよう・・・こんなテンプレ展開は、ろくな結果にならない・・・でも、探してた人間だとしたら・・・)
お約束の展開に疑いを持ったが、関わるにせよ関わらないにせよ、確認しない事には始まらない。
嫌々、それはもう、本当に嫌々、丘の上に向かうユキヤ。
すると案の定、丘の先で豪華な馬車と、その護衛らしき騎士の集団が見える。
また同時に、その前後を塞ぐように、魔物の集団もいて、騎士達と戦闘を行っていた。
(やっぱ、ロクでもない状況だった・・・)
見るからに、身分の高い者が乗っていそうな馬車を守るように、騎士達は魔物と戦っていた。
しっかりと訓練された騎士達なのだろう。
ざっと見、3倍近い魔物の集団に対し、奮闘している。
しかしながら、やはり数の暴力には不利なようで、そろそろ陣形が崩れそうでもある。
(・・・どう見てもあの馬車に乗ってるのは、貴族とかだよなぁ・・・関わったらロクな事にならないだろぅ〜)
(・・・そもそも、助けに入る義理も無いし・・・ここは静観の方向で・・)
そんな事を考えている間にも、更に戦闘は激しさを増し、ついに騎士達の一角に綻びが出始めた。
(・・・ヤバいな・・・明らかに手が足りて無い・・・そんなに強そうなモンスターじゃなさそうなのに?・・・)
実際、眼下に映る魔物はC、D級の魔物である。
魔の森にて、無双していたユキヤにとって、雑魚に過ぎないが、普通の騎士にとっては充分脅威である。
ましてや、その数が30体程の集団となれば、到底対処しきれるレベルでは無い。
(あっ、また一人脱落・・・)
そうこうしている間に、護衛の騎士達が倒されていく。
(・・・こりゃ、全滅も時間の問題だな・・・)
(・・・あとで、金目のモノが残ってないか確認だけするかな・・・)
関わらないと決めたのをいい事に、事後に火事場泥棒行為しようなどと考えるなど、まともな神経ではない。
(・・・それにしても、あのモンスター達、いかにもって言う造形だなぁ・・)
眼下の魔物は頭部がブタ顔で二歩行。
身長は騎士の1.5倍程で、ブタらしいでっぷりした体型だ。
皮鎧みたいなものを所々装着しており、これまた、手入れをしてなさそうな、ざまざまな武器を振り回している。
また、その後方には、3メートル程の大きさの牛頭の二足歩行の魔物もいる。
こちら、引き締まった身体をしており、その手には、人では到底扱えそうもない大剣を所持している。
(・・・モンスターのくせに、武器を使うんだ・・・まぁ、二足歩行している時点で、多少の知性みたいなものがありそうではあるけど・・・)
(・・・しかし、ブタ頭と牛頭・・・オークとミノタウルスってところかね?)
2次元の知識に照らし合わせて、そんな種類かもと当たりをつけるが、実際には、ブタ頭はポーク、牛頭は
ビーフンと言う種類の魔物である。
(・・・ブタと牛、・・・食えるのかな・・・)
先程まで食料の心配をしていた為、ブタ頭と牛頭を食料として見てしまうユキヤ。
(・・・くッ、調味料が無い・・・)
そんなしょうもない心配をしている間に、ついに魔物は豪華な馬車のすぐそばまで迫っていた。
馬車の扉無理矢理開けようと、持っている武器でガンガン叩き付け始める魔物達。
すると、反対側の扉が開き、中の人物が外に出てくる。
歳の頃は、ユキヤと同じくらい(!?)
髪はまさかの、ピンク色のツインテール。
愛らしい顔立ちに、大きなクリッとした目には、恐怖の為か涙に濡れている。
また、貴族のお嬢様らしいドレスを着ており、身分の高差を伺える。
(・・・テンプレだ・・・ここはオッサン辺りにしといてくれよ・・)
流石に、今の自分と同じくらいの年齢の少女が、襲われているとなると、それを観ているだけというのは、罪悪感を感じてしまう。
(・・・くそッ、もう時間がない・・・)
外に出た少女だったが、周りは魔物で溢れており、逃げ場がない。
そんな少女に気づいた魔物の一部が、遂にその狂気を少女にまで伸ばそうとする。
「い、いやァァッ!! こ、こないでぇェーー!!」
ポークの一体の戦斧が振り上げられ、立ち尽くす少女に振り落とされる!
「いッ、いかんっ⁉︎!?おじょうさまぁァァーー!!」
少女のピンチに、騎士の一人が大声を上げるが、間に合いそうにも無い。
「バッコ〜〜ン!!!!」
しかして、とても斧で叩きつけたような音ではなく、金属をぶった叩いたような音が、そこで響いた。
そう、少女とポークの間に、凄まじいスピードでユキヤが入り、ポークを殴り飛ばしたのだ。
(・・・やっちまった・・汗)
咄嗟に身体が動いてしまい、少女を守ってしまったのだ。
殴られたポークはというと、おもいっきり吹っ飛び、仲間のポークも巻き込んで、転がった上、即死していた。
突然の乱入者と、余りにもド派手な展開に、人間と魔物の動きが止まる。
守るべき対象が、あと一瞬で死にそうだったのに、逆に魔物の方が、ド派手に死んだのだ。無理もない。
魔物にしても、一瞬で数匹の被害が出たため、訳が分からず、フリーズしてしまっていた。
騎士も魔物も、突然の出来事についていけていない中、その原因である少年が声を上げる。
「す、助太刀します!!」
その一言で、凍りついていた現場が、再び動き出す。
魔物は新たな脅威に、怯えとも、怒りとも取れる咆哮を上げ、ユキヤを捉え、騎士は騎士で、突然現れた助っ人に動揺を隠せない。
現れた助っ人が、子供で美少女(美少年)だったからだ。
「へっ、平気なのか?」
近くの騎士が恐る恐るユキヤに、声をかけた。
「だっ、大丈夫です。任せてください!」
もう、ヤケだった。
咄嗟に行動してしまったため、ユキヤ自身も、テンパっていたが、こんな雑魚モンスターなど相手にならない。
すぐに、我に返って返事を返す。
(・・やっちまったもんはしょうがない・・、すぐに終わらせて、トンズラしよう。)
こうして、突然の戦闘がきって起こされた。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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