海の街 エクスロール
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
色欲の魔王一家を、ぶちのめした翌日。
ユキヤとルメール、そしてハニーパジャーは、町長宅にいた。
吸血鬼なのに昼間に外に出れるとは、これ如何に。
どうやら、この世界の吸血鬼は、太陽に弱い訳では無いようだ。
ニンニクや十字架も効果ないのかな?なんて思って、ハニーパジャーを見ていると、視線に気づいたようで、カチンコチンに、固まってしまった。
どうやら、昨日の一件で、ユキヤを凄く怖がっているようだ。
しかし、ユキヤ自身も、別の意味で怖い思いをした。
昨夜、単身で、行動してしまったため、ルメールに寝るまで、散々お説教を喰らったからだ。
ユキヤ側(東門)で異変があったなら、何故連絡しなかっただの、ましてや、単身で魔王と戦う(実際には部下を叩きのめしただけで魔王とは戦っていない)とは、何事だだの、もう少し、慎重に行動出来ないのかだの、未亡人にするつもりかなど、数々のことで、それはもう、凄い剣幕で怒られた。
だから、正直疲れ果てていて、街と魔王との仲介役など、やりたくはなかったが、これもひとりで行動してしまったことの罰だと、ルメールに言い渡された。
しばらく町長宅の客間で、待っていると、人あたりの良さそうな顔した町長が、入室してきた。
軽く挨拶を交わし、連続失踪事件のあらましを説明する。
素直に、謝罪をするハニーパジャー。
それから、今後ことについて相談する。
ハニーパジャー達は、このイージスに住み着くことになった。
対価として、街の防衛、ようは冒険者のようなことをしてくれるそうだ。
これはイージスのような小さな街では、冒険者の数も少なく、魔物による被害も多数起こっていた為、大変喜ばれた。
何しろ、実力はどうであれ、こんな小さな街を、魔王が守るのだ。
街としても、泊がつく。
代わりに、住民から、少しずつだけ、血を分けて貰うことも約束された。
それから、魅了の魔眼は使用禁止となった。
以上が、ユキヤを立ち会い人として、イージスと魔王との間での、契約となった。
久しぶりに受けた依頼が、こんな大事になるとは、夢にも思わなかった。
しかも、伝説の魔王との邂逅と言うおまけ付きで。
普通の人生なら、魔王と会うなんてことは、ほぼ皆無に等しい。
たまたま出会った魔王が、戦闘系でなかったのが、せめての救いだ。
これが、戦闘系の魔王だったら、無事ではすまかったであろう。
イージスでの依頼を終えて、ツペンタークに帰還した。
あれから、数日間、俺は依頼とハドリアス邸での勉強会を、交互に行っていた。
おかげ様で、だいぶ、この世界こと、特にホルスター王国内の主要な街のことなどを、学んだ。
特に、興味が惹かれたのは、海のある街。
ツペンタークから、北西に向かって、馬車で約3日ほどの距離にあるエクスロールと言う街だ。
ホルスター王国は、海に面した国では、あるものの、海に魔物が出る為、余り漁業は盛んでは無いらしい。
ただ唯一の例外として、そのエクスロール周辺では、魔物が少なく、漁業が主要な街だと言う事だ。
新鮮な魚が食べられる。
そう思うと、無性に食べたくなる。
ツペンタークでも、輸入していて、食べられることには、食べられるが、全て、調理された物だ。
俺は元日本人だ。
生の魚、ようは、刺身が食べたいのだ。
今までにいろんな食べ物を食べてきたが、調味料に醤油や、ソースな様なものがある事は、知っていた。
ならば、刺身を食べない訳にはいかない。
あと、イカ焼きなんかも有れば、尚の事食べてみたい。
そんな事を考えてしまうと、もう我慢は出来なかった。
俺は、ルメールに生の魚が食べてみたいことを伝えた。
案の定、ルメールには怪訝な顔をされてしまった。
折角の魚が採れる環境があるにも関わらず、この世界では、魚を生で食べる習慣は無いようだ。
ルメールにも、「そんな物食べたら、腹を壊すぞ」と言われた。
刺身としての正しい調理法が確立していないのだろう。
ならば、刺身の美味しさを、伝えなくてはならないと、勝手な使命感にかられて、俺たちは、今まさに、エクスロールに向かう馬車に乗っている。
勿論、商会の護衛依頼と言う形でだが。
そんな護衛の馬車の中で、再び、何度もルメールから質問を受けていた。
「ユキヤ、あのなエクスロールは、確かに漁業が盛んだ。新鮮な魚も手に入る。しかし、現地の住民ですら、魚を生でなんか食べてはいないぞ。それでも、生で食べるつもりか?腹を下すぞ。」
なんてことを言っている。
それに対して、俺は、
「それは、正しい調理法が伝わっていないからですよ。正しい調理法を使えば、生で食べられます。生の魚は、美味しいんですよ。ルメールさんも食べれば、分かりますよ。」
と、しつこく返していたが、「生の魚は臭いし、とても食べる気にはならない。食べるなら、ユキヤだけで食べてくれ」と、未だ、刺身の美味しさが伝わっていないようだ。
本当に美味しいのに勿体ない。
そんな不毛な会話を続けていると、待望のエクスロールに到着した。
海独特の潮の香りが、益々、期待を膨らませる。
かえって、ルメールは、この匂いにも嫌味がするようで、「やはり、エクスロールは生臭いな」などと怪訝な顔でほざいている。
そんなに嫌ならついて来なけれいいと、出発前にも話してあったが、「夫婦なんだから一緒じゃないとおかしいだとか、ユキヤは一人にすると何をするかわからんからな」などと、言って付いてきた。
そんなエクスロールの市場では、採れたての魚があちこちで売られていた。
中には、長期保存のきく干物ようなものも、売っている。
そんな市場を見て歩いていると、懐かしい醤油の焼ける香ばしい香りが、漂ってきた。
匂いの元へ向かうと、さまざまな魚を焼いて食べられる食堂があった。
流石のルメールも、この香りには、「美味しそうな香りがするな」と言っていた。
ルメールにも好評のようなので、早速、店の中に入る。
席に着くと、メニューなようなものがあったが、魚の名前が、前世と違うせいで、どれがどれだか分からない。
仕方ないので、店員さんにおすすめを何品か持ってきて貰えるように、注文した。
暫くすると、焼いたアジのようなものと、魚の煮付け、貝のバター焼き、そして待望のイカ焼きのようなものが運ばれてきた。
どうやら、そのまま焼いているようで、魚のアラなどの処理がされていない。だから、生で食べる習慣が定着してないんだろうと推測する。
折角の料理だ、冷めてしまうに頂こう。
早速、アジのようなものから、手を出した。
うん、まんまアジの塩焼きだ。
柔らかい身と、適度な脂が乗っていて、それを塩がいい塩梅で効いていて、美味しい。
これは、ルメールにも好評で、どんどんフォークが進んでいる。
魚なのにフォークと言うアンバランスな感じがするが、この世界ではハシを見かけたことが無い。
仕方なく、フォークとナイフを使い、アジを平らげると、お次は、魚の煮付けだ。
こちらは、醤油ベースのスープのようで、魚は鯛のような味がした。こちらの方が、ルメールにはハマったようで、パクパクと食べていた。
俺的には、煮付けならばブリ大根が好みだったので、そっちが有れば良かったなぁと思いながら、食べていた。
お次には、貝のバター焼き。ハマグリの様なものを貝から取り外して焼いたものだった。これはこれで美味しいかったが、どうせならバター醤油で食べたかった。
そしてメインのイカ焼き。
どうやらこの世界では、イカの足を食べる習慣は無いようで、捨ててしまっているらしい。実に勿体無い。
あと相変わらず、中の処理がされておらず、店員いわく、外側だけ食べるようにと言われた。
中々に面倒な食べ方だなぁと思いながら、ナイフで切り分けて頂く。やはり、中の処理がされていないせいか、身自体にも苦味があり、思っていたほど美味しくはない。コレは、ルメールにも不評で、一口食べただけで、その手が止まった。
しかし、勿体無いので、残りは自分が食べた。
下処理さえしっかりしていれば、美味しいのになぁと思いながら、食を進めていく。
ある程度であるが、満足した食事のあと、店員さんに刺身のことを聞いたが、案の定、扱っていなかった。
生で食べるなんてとんでもないと、かえってこちらが頭の悪い子供のように諭された。
どうやら、魚はそのまま焼くか煮るしかないらしく、三枚おろしの技術が確立していないようだ。
仕方ない。
代わりに調理法を教えてあげようとしたら、厨房は子供の遊び場でないと、追い帰されてしまった。
非常に残念だ。
こうなれば、自分自身で魚を買い、捌く必要になるなぁと、思いながら店をあとにした。
その後、市場でさまざまな魚を買い集めアイテムファイルに詰め込んだ。
流石に、マグロような大きな魚を、扱っているお店は無く、手振りで見たことはないか確かめてみると、それは魔物じゃないかと言われた。
必死になって、それは魔物ではなく、魚だと伝えるが理解してもらえず、どうしても欲しいなら、港の漁師に頼んでみれば良いと言われた。ただし、了承してくれる奴は居ないだろうと釘を刺された。
マグロ、刺身。
どうしても欲しくなり、呆れるルメールを連れて港へ向かうと、ちょうど漁から帰ってきていた漁師を発見して、再び、マグロについて説明するが、それは魔物でギルドで討伐依頼が出ているはずだと、教えられた。
本当に魚ではなく、魔物なのかも知れないと思い、ギルドの場所を教えてもらい、ギルドに向かう。
ギルドにつくと、まず掲示板のところにいって依頼を探してみると、グローマンと言ういかにもマグロの形をした魚の依頼書を見つける。
ただ、やっぱり魔物のようで、手足が生えているそうだ。
人を襲う魔物ではないが、船に乗り込んで、魚を横取りする魔物のようで、たびたび被害が出ているそうだ。
これは討伐しなければと思い、依頼を受けようとすると、ルメールに止められた。
「海の中にいる魔物を、どうやって倒すんだ?」
「勿論、漁に出ている船か、船を借りて海に出るしかありませんね。」
と、答えるとさらに、怪訝な顔つきになって、
「そんな危険はさせらん。海に落ちたらどうするんだっ!?」
と、怒られてしまった。
海に落ちたら、泳げはいいと言うと、はぁ!?って言う顔をされた。
「泳ぐとはどういう行為だ!?ユキヤの言っていることがわからんっ!?」
と、ルメールが叫ぶ。
「えっと、普通に海に浮かんで、手足を動かすんですが・・・。」
と、答えると、
さらに困惑させてしまったようで、
「海に浮かぶ!?海に落ちたら、沈むだけだぞっ!」
と、おかしな返答が返ってきた。
まさかと思い、質問する。
「・・・、水泳ってわかりますか?」
と聞くと、
「スイエイ?なんだそれは?」
と、返ってくる。
ここで異世界の事情を知らないことが、またしても露見する。
なんと、海で泳ぐ習慣がないのだ。
つまり、水着もない。
だから、海で魔物が出るところでは、漁業が行われていないのだ。
そう解釈すると、全てがマッチする。
だから、ルメールは反対したのかと思い、
「海に落ちても、平気な魔法があります。」
と、うそぶく。
すると、ルメールは、
「そんな魔法は聞いたことが無い?本当か?」
と、怪しまれたので、すかさず、
「本当です。」
と、答える。
すると、あまりの真剣さに納得(?)したのか
「本当に大丈夫なんだな!?危険はないんだな?」
と、渋々、了承してくれた。
(やった!これでマグロの刺身が食える!?)
と、思っていると、ルメールの呟きが耳に入る。
「最悪、氷魔法で海を凍らせるしかないか・・。」
(それって、俺も凍らせるってこと!?)
なんて、恐ろしい光景が目に浮かんできた。
(出来るだけ、海には落ちないようにしよう・・。)
と、心にするユキヤであった。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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