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異世界の事情  作者: ボッチー
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第一村人発見!?見た目は綺麗なお姉さん

初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。

2つ首のケモノとの遭遇から、暫く、少年は森の中を進み続けていた。


もう、2つ首のケモノの様なバケモノと遭遇したく無いと思い、真逆の方向に進んでいたが、そんな少年の願いは叶わず、あれから数度の戦闘を行っていた。


始めは、へっぴり腰で、なんとか雷撃の魔法でバケモノを倒していたが、他にも魔法が使えないかと、色々試していた。


イメージすれば使えることに、気を良くした少年は、風の刃をイメージしたものや、高圧水流を使ったカッターのようなもの、地面から鋭い岩を出現させるなど、思い付くままに試していた。


調子に乗って、火炎放射器をイメージした火の魔法を使ったときは、周りの木々にまで被害がおよび、慌てて水の魔法で鎮火した。


また、戦闘を重ねるうちに、魔法だけで無く、この身体の異常性にも気付き始めた。


子供身体で、尚且つ裸足。

そんな状態で、移動だけで無く戦闘をしているのに、怪我一つしていない。

それどころか、疲れる気配すら無い。

まあ、肉体的な疲労自体は無いが、度重なる戦闘で精神的にはかなり疲労と言うか、ストレスが溜まっていた。


だからだろうか、本日何度目か数えるのも鬱陶しく感じた時に、熊のようなケモノに遭遇した際、うっかり、それに向かい、飛び蹴りを放っていた。


熊の様なケモノとは言え、腕が4本もあり、とても熊とは言えない。


小さな少年と比べてると、余りにも大きな存在。


恐らく、体重は1トン近くあるのではないかと思われる熊が、少年の蹴りを食らった瞬間、背後にある木々をなぎ倒しながら、数十メートル先まで吹っ飛んでいった。


自らが起こした出来事に、しばらく放心状態に陥ったが、ハッとなって、飛んでいった熊の状態を確認すると、案の定、即死していた。


イメージすれば使える魔法。

しかも疲れない上、丈夫な身体。

あり得ない馬鹿力に、流石は夢。ご都合主義全開だぜと関心する反面、いつになったら目が覚めるのかと、ヤキモキしながら森を進んでいると、脇から、人が飛び出して来た。


待望の人だ。人間だ。人間だよな?


余りにもいきなりの遭遇で、声も出せずに相手を見つめる。


女性だ。

澄んだ金色の瞳に、目鼻立ちはハッキリとしている。

腰まで伸びたサラサラの髪は、夜空の様な漆黒。

とてつもない美人さんだ。

また、年の頃は、20歳後半といったところか、出るとかは出て、成熟した女性の色香も感じる。

こんなバケモノだらけの森には似つかわしくない、お腹の見えるシャツに、短めのショートパンツ。

腰には、ナイフだろうか?

武器らしい武器は装備しておらず、違和感が半端無い。

それでも、まるで真っ暗な夜空に浮かぶ月の様な、美しさに目を奪われしまう。


対するその女性も酷く困惑していた。


普段は感じない大きな魔力の反応に、違和感・危機感を覚え、それを確認しに来てみたたら、こんな危険な森には似つかわしく無い、可憐な少女に遭遇した。


まるで作り物の様な、美少女(ホントは美少年)に出くわし、咄嗟の行動が出来なくなっていた。


それでも、なんとか思考を巡らせ、少女に声を掛けた。


「おい、お前はなんだ!?」


絞り出した最初の第一声。

こんなセリフを掛けられた少女(少年)からの反応はない。


当たり前だ。


質問の内容が余りにも、抽象的過ぎる。


お前はなんだ?と聞かれて、「ハイ、私は〇〇です」と答えられる人間はそうそういないだろ。


案の定、少年に反応は無い。

いや、むしろ、突然の人との遭遇と、相手の言葉が理解出来たことで、頭が一杯で反応出来ないだけなのだが。


すると、再度、女性から声が掛けられた。


「おい、聞こえているのか? 言葉が分からないのか?」


やや苛立ち気味に声を掛けられて、流石に少年もこのままではマズイと思った。


(相手の言葉は分かる。日本語じゃない発音なのに、何故!? それより、こっちの言葉は通じるのか!?)


女性に返事をしなくてはと思うが、耳に入ってくる言葉に違和感を感じ、喉まで出かかった言葉が、声にならない。


「むっ?もしかして言葉が話せないのか?」


戸惑っている少年の姿に、勘違いを起こした女性は、そんなことを口にした。


慌てて少年は、女性に返事をする。


「言葉分かります。初めまして・・。」


絞り出した第一声は、場違いな挨拶。


それでも、言葉に出来た。


すると再度、女性から声がかかる。


「言葉は通じるか。私は名はルメール。ルメール・カサンドラだ。おま、いや君の名は?」


言葉が通じたのせいか、自らをルメールと名乗る女性は、先程までの警戒心をやや緩め、出来るだけ優しい口調で、少年に名を訪ねた。


名を訪ねられた少年はというと、正直、困惑していた。


相手が名乗ったのである。返事をせねば失礼に当たる。


「俺は・・、いや、僕は・・・。」


俺と言いかけて、現在の自分の容姿からは相応しく無いと、咄嗟に僕と言い直し、名を告げようとしたが、言葉に詰まる。


そう、コレは夢のはずだ。


本当の自分は、現代社会において、どこにでもいる普通のサラリーマンだ。


朝、普通に起きて、片道一時間、電車に揺られて会社に行き、取引先や上司の顔色を伺いながら、代わり映えしない日々を過ごしていた。

休日には、溜まった洗濯物や家事に時間を取られ、僅かばかりの自由な時を、ネットや読書に当てる、ごくごく、ありふれた日常を暮らす、一般人の一人だ。

ここ数年は彼女もおらず、やや引きこもり気味の中年だ。


そう、名は、神守かなもり 雪夜ゆきや


別に女の子みたいな容姿をしているわけでなく、真冬の夜に産まれたからとの、単純かつ分かりやすい理由で、こんな女の子の様な名前になった。


小学生の頃には、よく名前のせいでからかわれ、なんでこんな名前にしたんだと、両親に怒りを覚えたものだ。


だが、その両親は雪夜が9歳の時、交通事故であっさり亡くなってしまった。


流石に、死んで欲しいとまでは思ってはいなかった。


反抗的な態度ばかり取っていた事に、その時ばかりは後悔した。


世の中の全てが嫌になった。


自分のせいで、両親が亡くなってしまったと思い込み、感情を押し殺す様に、塞ぎ込んだ。


その後、母方の実家に引き取られる事になり、高校卒業まで祖父と二人で暮らして居た。


高校卒業後は、地元の会社に就職したが、田舎特有のお節介な人柄や、やたらと人に干渉してくる上司や同僚に嫌気が指し、半年後には、上京して一人暮らしを始めていた。


始めは世話になった祖父に申し訳無く思っていたが、いつかからか、そんな気持ちも薄れ、都会の暮らしに染まっていった。


上京して数年後、恩返しの一つも出来ないまま、祖父も亡くなってしまった。

よいよ天涯孤独の身となってしまったが、不思議と寂しさは感じなかった。


そんな生活に慣れてしまった30代間近の自分が、こんな夢の世界であたふたしていることに、改めて思うと苦笑してしまう。


ここで異世界モノらしく、ユキヤ・カナモリと名乗るかと考えたが、普通この手の世界感では、苗字ありは貴族なんかの特権階級の人間のみに許されるはずだ。ならば、このルメール・カサンドラと名乗る女性も、貴族なのか?

しかし、貴族ならば何故、護衛も付けずにこんな森にいるのか?

疑問は増すばかりだが、まぁ、別に夢の中なんだから、そこまで深刻に考える必要は無いと思う反面、念のため、苗字は伏せておいた方が無難かなと判断する。

正直これ以上、ややこしい事態は勘弁願いたいのだ。


その上で、改めてルメールなる女性に返事をした。


「・・・僕は、ユキヤです。10歳です。」


幼い容姿に合わせ、たどたどしく名と年齢を答える。

明らかな、年齢詐称である。


しかし、現在の彼の見た目は、正にそれであった為、これで、「30歳です。」と答えたら、そちらの方が不審がられてしまうだろう。

何度も言うが、これ以上は、ややこしい事態は勘弁なのだ。

決して、精神まで退行したわけで無い。


すると、まともに会話が出来る相手であると、ホッしたのか、ルメールから更に質問がかかる。


「・・ユキヤか、いい名前だ。ところでユキヤ。君は何故こんな所に居るんだ?」


ユキヤの様な子供がいるには、場違いな場所の為、ルメールは疑問に思っていた。


また、ユキヤがそれに答える前に、更に質問が重ねられる。


「普段感じられない大きな魔力の反応があった。それを確認に来てみたら、どうやらユキヤを起点に、その魔力を感じるのだか、身に覚えはあるか?」


魔力を感じる?


全く意味が分からない。


確かに、先程まで調子に乗って魔法でバンバン!!バケモノを倒していたが、魔力を感じるとはどういうことか?


そんな感覚など、全く分からずに魔法をぶっ放していた為、ユキヤにはその言葉の意味が理解出来なかった。


ましてや、自分から魔力を感じるとはどういうことなのだろう?


そんな答えに困る質問に対して、ユキヤの取った行動は、首を「コテっ?」っと、傾げると言う行為をもって、返答とした。


いかにも「僕分かりません。」と言う、見た目だけは10歳の可愛いらしい容姿を前面に押し出しての、首コテっ♪


あざとい。あざと過ぎる。


新たな黒歴史のページを作る行為ではあったが、そんなユキヤの行動は、特に、ルメールに対しては効果抜群であった。


そう、一見尖ったイメージのルメールであるが、実は重度のショタコンお姉さんだったのだ。

しかも、ツンデレ属性持ちまで持ち合わせている、極めて非常に濃いキャラだったのだ。


「ッくゥ!?」


ただ、唯一の救いは、ルメールがユキヤのことを、未だに女の子と勘違いしていた事だろう。

少々、・・ほんの少々悶えるだけで、なんとかその場は乗り切ってみせた。


もしこの時点で、ユキヤが実は男の子だと気付いていれば、間違いなく流血をみていただろ。

・・・そう、大量の鼻血を・・・。


それほどに、ルメールの業は深く、そして変態であった。


そんなことは知らないユキヤは、上手く誤魔化せたと思い、ホッして居た。


そんな噛み合っているのか、いないのか。それでもお互いに余計な傷を負わなくて澄んだ、ユキヤとルメール。


後の世に、伝説として語り継がれる者達の初邂逅であった。


構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。

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